自分の声がコンプレックスになっている人の中には、いわゆる「ダミ声」に悩んでいるケースも少なくありません。
ダミ声とはどんな声で、なぜそうなるのか、そして改善策はあるのか等、気になる点は多いはずです。
この記事では、ダミ声の基本的な特徴やハスキーボイスとの違いから、原因、ダミ声を魅力として活かすための方法や、改善したい場合の対策について具体的に解説します。
自分の声と向き合うための知識として役立ててください。
ダミ声とは?

ダミ声とは、一般的に濁っていて、がらがらとした響きを持つ声を指します。
単に声が低いというだけでなく、声にノイズが混じったようなザラザラした質感が特徴です。
医学的な専門用語ではありませんが、声帯の振動が不規則になることで生じると考えられており、やや聞き取りにくい声と感じられることもあります。
一方で、その独特の響きから、個性的で深みのある声として魅力的に捉えられることもあり、その印象は人によって大きく異なります。
ダミ声って具体的にはどんな声?
ダミ声は、濁りが強くザラザラとした響きが特徴で、具体的には「がらがら声」や「しゃがれ声」といった表現がぴったり当てはまります。例えば、風邪をひいて喉が炎症を起こしたときに、声がかすれて聞き取りにくくなる状態に近いイメージです。しかし、一時的な風邪の声と異なり、ダミ声は日常的にその声質であるというケースがほとんどです。
アニメ「ドラえもん」の初代ドラえもんの声優を務めた大山のぶ代さんや、NHKの子供向け番組「ニャンちゅうワールド放送局」のニャンちゅうの声は、独特の濁りやザラつきがダミ声の一例として挙げられることも少なくありません。これらの声は、単なる低い声というよりも、声に混じるノイズ成分が個性として際立っています。
ダミ声は後天的になる事もある
ダミ声になる原因はひとつに限定されるものではなく、先天的な声帯の特性に加え、後天的な要因が複合的に関わっていると考えられます。
特に、日常的な声の使い方や生活習慣が声質に大きな影響を与えているケースは少なくありません。
喉に負担をかける発声の癖、喫煙や飲酒、さらには精神的なストレスなどが、声帯にダメージを与え、ダミ声につながることがあります。
また、声の変化の裏には、声帯に関わる病気が隠れている可能性も考慮しなくてはなりません。
ダミ声の特徴

ダミ声をコンプレックスに感じている人は非常に多くいます。続いては、ダミ声が人に与える印象などを含めて、その特徴を解説します。
ガラガラしたしゃがれた声色
ダミ声は、そのガラガラとした濁った声色が最大の特徴です。響きが不安定で声が枯れかけている印象を与えることもあります。
しゃべっている時だけダミ声になる人や歌っているとダミ声を感じない人なども居るため、発声方法によってダミ声になるケースもあると考えられるでしょう。
ダミ声の人の声は、「声を聞けば誰かわかる」と言われることが多いですが、これは一般的にダミ声が少数派であり、普段聞く機会の少ない声質だからだともいえるでしょう。
苦しそうな印象を与える
ダミ声は、聴いている人にとって苦しそうな印象を与えることがあります。ガラガラしたしゃがれた声は、喉が不調の時にも出やすく、声枯れの症状と良く似ているからです。
実際に、先天的な声質ではなく、喉の病気などの理由によってダミ声になる人もいます。
ダミ声の人は、喉の不調などを心配されるケースも少なくありませんが、なかには調子が良くてもダミ声になるという人もいるため、「ダミ声=喉の不調」ではありません。しかし、どうしても一般の人には「不調からダミ声になっているのではないか?」と心配されがちです。
使い方によって力強さや哀愁を感じさせることもある
ダミ声の独特な響きは、使い方次第で、時に力強さや哀愁といった深い感情を表現する手段となります。例えば、ブルースやロックのボーカリストが持つ、しゃがれた声は、人生の苦悩や情熱を歌い上げ、聴衆の心を揺さぶります。これは、クリアで均一な声では表現しきれない、人間的な奥行きや泥臭さといった感情をダミ声が演出しているからです。
また、時代劇や任侠映画などで、貫禄のあるキャラクターが発する少し濁った声は、登場人物の経験や重みを表現し、物語に説得力を持たせます。ダミ声は単なる声の不調ではなく、特定のジャンルやキャラクターにおいて、感情移入を深め、聞き手に強い印象を与える強力なツールとして機能するのです。
重要なのは、喉に無理な負担をかけずに、その独特な響きをコントロールして活用することです。
ダミ声になる理由

ダミ声になる理由は多岐にわたり、先天的な声帯の特性だけでなく、後天的な要因が大きく関わっています。ここでは、ダミ声になる主な理由について、詳しく解説していきます。
無理な発声や喫煙・飲酒などで声帯に炎症や損傷が起こっているから
日常的に大声を出したり、無理に低い声を出そうとしたりすると、声帯に炎症が生じ、これが慢性化することで声帯が硬くなることがあります。こういった状態ではダミ声になりやすく、ダミ声自体が喉の不調を表すサインとなっています。
飲酒や喫煙においてもこれらの症状は現れやすいです。
また、状態が悪化した場合、声帯ポリープや声帯結節といった器質的な変化を引き起こし、声が恒常的に濁ってしまうこともあります。その他、教師や販売員のように長時間声を使う職業の方や、頻繁な咳払いをする方は、知らず知らずのうちに喉にダメージを蓄積させ、その影響でダミ声になっている可能性があります。
口や舌が適切に動いていないから
口や舌が適切に動いていないことも、ダミ声の出し方に関わる重要な要因です。
声は、声帯の振動によって作られた音が、口や舌、唇などの「構音器官」と呼ばれる部分で調整され、言葉として形成されます。これらの構音器官がスムーズに動いていないと、声の響きや明瞭さが損なわれ、結果として濁ったダミ声として認識されることがあります。
例えば、口を十分に開かなかったり、舌の動きが硬かったりすると、声がこもってしまい、聞き取りにくくなるのです。これは、まるで口の中に何かを含んで話しているような状態に近いといえます。また、発声時に口や舌、あごなどに余計な力が入ってしまうと、喉が締め付けられ、声に不必要なノイズが混じることがあります。
これらの不適切な動きは、日常的な話し方の癖として無意識のうちに行われていることが多く、自分では気づきにくい場合もあります。舌は特に発音において重要な役割を担っており、その柔軟性や可動域が声の質に大きく影響します。
緊張で喉が締まっているから
声は心身の状態を反映するため、緊張もダミ声の大きな原因となり得ます。強いストレスや極度の緊張状態が続くと、無意識のうちに首や肩、喉周辺の筋肉が硬直し、声帯の動きが阻害されます。この筋肉の緊張は、声帯がスムーズに振動するのを妨げ、声がかすれたり、思うように響かなかったりする原因になるケースが多いです。
例えば、人前でのプレゼンテーションや発表など、緊張する場面で声が震えたり、出にくくなったりする経験をした事がある人も多いのではないでしょうか。極度の緊張からくるストレスによって自律神経のバランスが乱れ、声帯の血流が悪くなったり、粘膜の潤いが失われたりすることで、声のコンディションが低下してダミ声になってしまう事も珍しくありません。
ダミ声とハスキーボイスの違い

ダミ声とハスキーボイスはどちらも声に特徴がある点で共通していますが、その発生メカニズムと印象において明確な違いがあります。
ダミ声は、声帯を強く締めた状態で無理に息を流すことで生じる、濁ったガラガラとした声が特徴です。声帯の不規則な振動や、声帯に炎症や損傷がある場合に起こりやすく、声にノイズが混じったようなザラザラとした質感があります。時に力強さや哀愁を表現することもありますが、一般的には聞き取りにくい、あるいは苦しそうな印象を与えることがあります。
一方、ハスキーボイスは、声帯が完全に閉じずにわずかな隙間ができることで、空気が漏れ出してかすれたような音になる声質を指します。これにより、息が混じったようなソフトな響きが生まれ、セクシーさや大人っぽさ、落ち着いた印象を与えることが特徴です。 ハスキーボイスは、先天的な声帯の形状や、声帯の粘膜の状態によって自然と出ることもありますが、声帯が過度に酷使されたり、乾燥したりすることで後天的にハスキーな声になることもあります。
これらの違いをまとめると、ダミ声は声帯の「濁り」や「ノイズ」が強く、喉への負担が大きい発声によるものが多いのに対し、ハスキーボイスは声帯の「息もれ」による「かすれ」が特徴で、必ずしも喉に無理な負担がかかっているわけではない点にあります。
ダミ声は悪い印象を持って使われることの多い言葉ですが、ハスキーボイスは「嗄声」の一形態とされ、良い意味で用いられることが多いです。
ダミ声の改善方法

ダミ声は、時に個性として魅力的である一方で、発声のしにくさや喉への負担から、改善を望む方も少なくありません。ここでは、ダミ声をより聞き取りやすく、喉への負担を減らすための具体的な改善方法について詳しく解説します。
腹式呼吸をマスターする
ダミ声の改善には、腹式呼吸の習得が非常に重要です。腹式呼吸は、横隔膜を大きく動かしてお腹の筋肉を使って行う呼吸法で、喉に負担をかけずに発声するための土台となります。胸式呼吸と異なり、肺の下部を使うため、安定した息の供給が可能となり、声量強化やロングトーンの安定にもつながります。これにより、喉の力みを緩和し、声を安定させて出すことができるようになるのです。
腹式呼吸の基本的なやり方は、以下の通りです。
まず、背筋を伸ばして肩の力を抜きます。次に、口からゆっくりと息を吐き切り、お腹をへこませます。このとき、体の中の空気を全て出し切るイメージを持つと良いでしょう。その後、鼻からゆっくりと息を吸い込み、おへその下に空気を溜めるようにしてお腹を膨らませます。この際、肩が上がらないよう注意してください。息を吸う時間よりも倍くらいの時間をかけて、口からゆっくりと息を吐き出します。これを1日10〜20回を目安に、無理なく継続することが大切です。
慣れないうちは、仰向けに寝て、胸とお腹に手を置いて練習すると、お腹の膨らみやへこみを意識しやすくなります。 息を吸うときに心地よいものを、吐くときにストレスや不安が出ていくイメージを持つと、リラックス効果も期待できます。
飲酒や喫煙を控える
ダミ声を改善したい場合、飲酒や喫煙を控えることは非常に重要です。タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、喉の粘膜を直接刺激し、声帯に慢性的な炎症を引き起こします。これにより、声帯がむくんで厚くなり、「ポリープ様声帯」と呼ばれる状態になることがあります。ポリープ様声帯は、声が低くなる、声が枯れる(嗄声)、息苦しさを感じるなどの症状を引き起こし、進行すると手術が必要になる場合もあります。喫煙は喉頭がんのリスクも高めるため、注意が必要です。
また、アルコールには利尿作用があるため、飲酒によって体内の水分が失われ喉の粘膜が乾燥しやすくなります。声帯が乾燥すると、振動がスムーズに行われず、発声時に摩擦の刺激が強まることで炎症を起こしやすくなるでしょう。特にアルコール度数の高いお酒は、喉や食道の粘膜を傷付ける可能性があり、アルコールの分解過程でも水分が消費されるため、より脱水が進みます。
飲酒と喫煙を併用すると、アルコールが喉の粘膜を傷つけ、そこにタバコの有害物質が吸収されやすくなるため、喉頭がんや食道がんのリスクが数十倍に増加する「相乗効果」があることも指摘されています。
声帯を緩める
声帯周りの筋肉を柔らかくすることも、ダミ声の改善に繋がります。首のストレッチで首周りの筋肉をほぐしたり、舌を前後左右に動かしたり、前に突き出したりする舌のストレッチも効果的です。これにより声帯の動きがスムーズになり、声が出やすくなります。
リップロールやハミング(鼻歌)といったボイストレーニングは、唇や表情筋をほぐし、声帯への負担を軽減しながら、声の通りを良くする効果が期待できます。特にリップロールは、顔に力が入っていると上手くできないため、顔のマッサージなどで力を抜くことも意識しましょう。ハミングでは、口を閉じたまま鼻腔に響かせるように「ンー」と声を出し、鼻の頭で振動を感じましょう。これらのトレーニングは、声帯の緊張をほぐし、発声しやすくするために役立ちます。
発声に用いる筋肉を鍛える
ダミ声の改善には、発声に用いる筋肉を適切に鍛えることが不可欠です。発声に関わる筋肉は声帯周辺の「声帯筋」や「喉頭筋群」、呼吸を司る「横隔膜」や「肋間筋」、そして口や舌を動かす「構音器官」など多岐にわたります。これらを総合的に鍛えることで、声量、声のコントロール、音域の向上につながり、ダミ声の改善が期待できます。
具体的なトレーニング方法としては、「リップロール」が有効です。これは唇を震わせながら音を出す練習で、声帯のストレッチと呼吸のコントロールに役立ちます。
また、声帯を鍛える「ストロートレーニング」もおすすめです。ストローを使って発声することで、声帯への負担を軽減しながらトレーニングができ、医療機関でもリハビリとして活用されています。
歌は声帯を伸び縮みさせて振動させるため、トレーニングとして最適ですが、無理に声を絞り出すと声帯を傷める原因になるため注意しましょう。
悪い事ばかりじゃない!ダミ声が魅力になる歌唱ジャンル

ダミ声は、その特徴的な声質ゆえに、特定の歌唱ジャンルにおいて非常に魅力的で強力な表現ツールとなります。例えば、ブルースやロック、ソウルミュージックといったジャンルでは、ダミ声が持つ「がなり声」や「シャウト」が、楽曲に力強さや情熱、そして深い感情の表現をもたらします。
ブルースシンガーが歌い上げる人生の苦悩や悲しみは、そのしゃがれた声によって、より一層リアルに、そして魂に響くものとして聴衆に伝わります。ロックボーカリストのダミ声は、反骨精神やエネルギーを表現し、楽曲のメッセージ性を強める効果があります。
さらに、演歌においても、ダミ声は歌い手の「味」となり、楽曲に独特の哀愁や人間味を加えることができます。演歌特有のこぶしやビブラートに、ダミ声が持つ力強さや深みが加わることで、歌の世界観がより深く表現され、聴く人の心に強く訴えかけます。例えば、北島三郎さんのような演歌歌手は、その力強いダミ声で、数々の名曲を歌い上げ、多くの人々に感動を与えてきました。
このように、ダミ声は単なる声の不調ではなく、特定の音楽ジャンルにおいては、そのアーティストの個性や表現力を際立たせる「武器」となり得ます。重要なのは、喉に無理な負担をかけずに、その独特な響きをコントロールして活用することです。正しい発声法を身につけ、声帯を健康に保ちながら、ダミ声の持つポテンシャルを最大限に引き出すことで、聞き手の心に深く響く歌唱を可能にします。
ダミ声の出し方

ダミ声を出すには、喉を強く締めて無理に息を流すことで、意図的に声帯を不規則に振動させることがポイントです。ただし、この方法は喉に大きな負担をかけるため、長期的な視点で見ると喉を痛める原因にもなりかねません。一時的に特定の表現としてダミ声を使いたい場合は、喉に過度な負担がかからないように工夫することが重要です。
ダミ声を出すコツとして、まず「舌の付け根」に意識を集中させ、軽く力を加えて引き締めるように発声すると、濁った印象の声が出やすくなります。魚屋さんのように大きな声を出すイメージを持つことも、ダミ声を出す感覚を掴むのに役立ちます。さらに、口の奥、上顎の軟口蓋あたりで声がビリビリと振動する感覚を意識すると、声に深みとノイズを加えることができます。
喉に負担をかけずにダミ声を出す練習方法として、以下のステップを試すことが推奨されます。
- ウォームアップ:仮声帯を振動させる「エッジボイス」の練習を取り入れましょう。低くガラガラとした声で、喉に力を入れずリラックスした状態で発声することが大切です。
- 喉を開く感覚:あくびをするように喉を開き、は行やわ行の音を発声する練習も効果的です。これにより、声帯が開きやすくなり、スムーズな発声につながります。
- 共鳴を意識する:鼻の奥から口の屋根の突き当たりにかけて、声を持っていくような感覚で発声すると、声の共鳴感を高めることができます。
これらの練習は、あくまで喉を痛めない範囲で行い、少しでも痛みや違和感がある場合はすぐに中止してください。ダミ声は魅力的な個性となり得ますが、発声方法を誤ると声帯を損傷するリスクも伴うため、慎重に取り組むことが重要です。
まとめ
ダミ声は、一般的に濁りを伴うガラガラとした声質を指し、息が漏れるような響きを持つハスキーボイスとは区別されます。その原因は、喉に負担をかける発声、喫煙などの生活習慣、ストレス、あるいは声帯の病気など多岐にわたりますが、使い方次第では個性的で魅力的な声質にもなるでしょう。
もしダミ声の改善を望むのであれば、喉をいたわる生活習慣を実践し、正しい発声方法を身につけることが重要です。ボイストレーニングスクールNAYUTAS(ナユタス)では、一人ひとりの声質に合わせた専門的な指導を行っておりますので、無料体験レッスンであなたに合った改善策を見つけてみてはいかがでしょうか。



