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ボイトレ

喉の力を抜く方法を分かりやすく解説!歌う時のポイントや注意点も紹介

歌唱中に喉に違和感があったり、表現の窮屈さを感じたりすることはありませんか?もしかすると、その原因は喉に力が入っているからかもしれません。

歌唱中に喉に力が入ってしまうと感じている方へ、その原因やデメリット、そして具体的な力を抜く方法や練習方法、注意点について詳しく解説します。この記事を読むことで、より楽に、そして表現力豊かに歌うためのヒントが得られるでしょう。

  • 声が途切れてしまう
  • 歌っていると「苦しそう」と言われてしまう
  • 声が震える
  • 歌い終わると喉に痛みを感じる

上記に当てはまる人は、記事を最後までチェックしてみてください。

「思い通りに歌えない」その理由は喉に力が入っているから?


歌唱中に発声が思う様にできなかったり、歌唱後に喉に負担を感じてしまったりすることはありませんか?発声のテクニックの問題や呼吸方法の影響かもしれないと考える人もいるでしょう。しかし、発声や呼吸方法を練習しても改善されず悩んでいる人も少なくありません。

もしかすると、その原因は喉の力みにあるのかもしれません。喉に力が入りすぎる影響で、さまざまな不調が現れている可能性があります。

最初に、「喉に力が入る」という現象について、どのような現象なのか、どうして不調を招くのかについて解説します。

喉に力が入る状態とは

歌唱時に喉に力が入っている状態とは、喉やその周辺の筋肉が必要以上に緊張している状態を指します。喉に力が入っていると、声帯がスムーズに振動できず、声の響きやコントロールに悪影響を及ぼす可能性があります

筋肉の状態からすると、強く咳払いをする時の感覚に近いと言えるでしょう。喉周辺の筋肉を強張らせた状態を数分間キープし、尚且つ無理矢理声帯を振わせている状態は喉の健康を損うリスクもあります。

歌っている本人にも喉に力が入る状態は不快感として認識され、喉が締まっているように感じたり、首や肩周り、顎に余分な力が入ったりすることから、肩こりや顎の痛みなど苦痛として感じられることもあります。

喉に力が入ることのデメリット

歌唱中に喉に力が入ることで、以下のデメリットが生じます。

  • 喉が疲れやすくなる
  • 喉に痛みを感じる
  • 声枯れが起こる
  • 音程が安定しない
  • 不意に声が裏返る

まず、喉が疲れやすくなり、痛みや違和感、声枯れの原因となります。また、声の線が細くなったり、響きが悪くなったりして、声量が出にくくなることもあります。

さらに、高音が出しづらくなったり、裏声やビブラートがかけづらくなったりするなど、歌唱表現の幅が狭まってしまう可能性もあるでしょう。

喉の力みは、体全体のバランスを崩し、呼吸が浅くなる原因にもなります。呼吸が浅くなると、伸びやかな発声やロングトーン、力強い声量を出すことも難しくなります。

喉に力が入ってしまう原因


歌う時に喉に力が入ってしまう原因には、精神的なものと身体的なものの2種類が考えられます。また、これらの原因が複合的に影響し合っている場合もあるでしょう。

原因を理解することで、適切な改善策を見つけやすくなります。自分自身に当てはまる原因について考えてみましょう。

精神的な原因

精神的な原因として多くみられるのが、歌うことへの緊張やストレスです。人前で歌うことに苦手意識があったり、失敗を恐れたりする気持ちが強いと、無意識のうちに体に力が入ってしまい、それが喉の力みにつながります。

また、高い声を出そう、大きな声を出そうといった過剰な意識も、体に余分な力みを生む原因となることがあります。

精神的な原因で喉に力が入っている場合、喉が詰まる感じや締め付けられるような感覚を訴える人も少なくありません。さらに強く影響してきた場合、歌う時だけでなく話す時にも同じような状態になることがあります。

身体的な原因

身体的な原因としては、まず限界を超えた高音や声量を出そうとすることが挙げられます。声帯の限界を超えて無理に声を出そうとすると、喉を締め付けて音を出そうとするため、力が入ってしまいます。

また、首や肩周り、顎などに余分な力が入っていたり、腹式呼吸が十分にできていなかったりすると、喉で息のコントロールをしようとして力が入ることもあります。変声期であったり、そもそも発声方法がおかしかったりする場合も、喉に力が入る原因となります。

身体的な力みが原因の場合、肩が上がってしまっている、顎が上がり過ぎているなど、歌う姿勢が崩れていることが多いです。全身を鏡に映して姿勢をチェックすることでも、身体的な原因で力んでいないか確認できます。

歌う時の喉の力を抜く方法


歌唱時の喉の力みを改善するためには、具体的な喉の力の抜き方を知り、実践することが重要です。ここでは、喉の脱力の基本的な考え方と、日常や歌唱中に取り組める具体的な脱力方法について解説します。

喉の脱力の基本的な考え方

喉の脱力とは、単に「喉の力を抜けば良い」「力を入れない」というものではありません。むしろ、体全体のバランスを整え、必要な場所に適度な力が入ることで、喉の余分な力が抜けると考えられています。

歌う際には、体幹などの必要な部分にしっかりと力が入っている状態が、喉の力を抜くための土台となります。リラックスした状態で体をしなやかに使うことが、良い声で歌うためには大切です。

具体的な脱力方法

喉の力を抜くためには、いくつかの具体的な方法があります。これらの方法を試しながら、自分に合ったものを見つけていくことが大切です。

呼吸を意識する

腹式呼吸を意識することで、喉の力みを軽減できます

息を吸い込む際に肩が上がってしまう胸式呼吸は、姿勢が不自然に歪み、喉に力みが生じやすくなります。一方で、肩を張らずお腹の膨らみを意識する腹式呼吸は、姿勢が歪むことなくたっぷりの呼気を使った歌唱が可能です。

歌う時にはリラックスして、お腹周りを意識した深い呼吸を心がけましょう

舌の力を抜く

舌に力が入っていると、それが喉の力みにつながることがあります。舌の力を抜くには、舌を前に出すトレーニングをしたり、舌の付け根をマッサージしたりすることが有効です。歌う際には、舌に余分な力が入らないように意識してみましょう。

特に「か」行や「た」行などの発音で舌に力みが入りやすい傾向があるので注意してください。

顎の力を抜く

顎の力みも、喉の力みと深く関係しています。

顎の力を抜くためには、顎を意識的に動かしたり、顎の周りの筋肉をほぐしたりすることが効果的です。口を必要以上に大きく開けようとすると、顎に力が入る原因となるため、リラックスした自然な口の開け方を意識しましょう。

その他の方法

上記以外にも、喉の力を抜く方法はいくつかあります。

歌う前に軽いストレッチを行い、体全体の緊張をほぐすことも有効です。特に首や肩甲骨周りを重点的にストレッチすると良いでしょう。

また、あくびをするように喉の奥を開くイメージを持ったり、ハミングでリラックスした発声を試したりすることも効果が期待できるでしょう。

ジャンプしながら歌う、利き手ではない方の手を振りながら歌うなど、人によってさまざまな脱力の方法があります。色々な動きを試してみながら、自分自身の体が最も脱力しやすい方法を探してみてください

喉の力を抜くための練習方法


喉の力を抜く感覚を掴み、適切に脱力した状態を維持するためには、日頃からの意識と練習が不可欠です。ここでは、日常的にできるボイトレと、実際に歌っている最中に喉の力を抜く方法について解説します。

日頃からできる練習

日頃から、意識的に脱力するトレーニングを実践しましょう。ルーティーンワークを作り、トレーニングと脱力を紐づけることで、緊張や不安を感じたときでもスムーズに脱力できるようになります

【喉の脱力ボイトレ】腹式呼吸トレーニング

脱力と呼吸は密接に関わっています。毎日、腹式呼吸のトレーニングをすることで、正確な呼吸方法をマスターすれば喉の力みも改善しやすくなるでしょう。

まずはドッグブレスで「ハッハッハッ」と短く呼吸することから始めてみましょう。お腹の膨らみ方を確認しながら呼吸を繰り返し、徐々に長く「ハーハーハー」と長く呼吸できるようにします。

体全体に酸素が回ることをイメージして、リラックスしながら行うのがポイントです。

【喉の脱力ボイトレ】タングトリル

舌の脱力にはタングトリルがおすすめです。巻き舌で「トゥルルルルルルルル」と発声しましょう。下回りの筋肉が緩み、適度に解されます。

巻き舌が楽にできるようになってきたら、タングトリルで徐々に音階を上げ下げするトレーニングをするのもよいでしょう。歌唱前にもおすすめのトレーニングです。

【喉の脱力ボイトレ】リップロール

口周りの筋肉を脱力させるなら、リップロールがおすすめです。リップロールは、上唇と下唇を振動させるトレーニングです。喉を開いて、腹式呼吸による大量の呼気を一定の力で吐き出しましょう。「プルルルルルルル」と唇を震わせて、口周りの筋肉をほぐします。

歌唱中に意識するポイント

歌っている最中に喉の力を抜くためには、いくつかの意識を持つことが大切です。

まず、「喉で歌う」という意識を手放し、体全体を使って声を出すイメージを持ちましょう。喉は声を作る場所ではありますが、歌唱は体全体の筋肉が連動して起こるものです。体全体をひとつの楽器として意識し、伸びやかな発声を心掛けてみてください

また、「大きな声を出そう」と力むのではなく、「楽に気持ちよく息を流そう」という意識を持つことで、結果的に声量が増すこともあります。高音を出す場合は、音が高くなるにつれて無意識に顎が上がったり、首に力が入ったりしがちです。時折、姿勢をチェックするクセをつけて、無理に発声するために姿勢が崩れてしまっていないか確認すると改善しやすいでしょう。

歌詞を発音する際も、顎や舌に余分な力が入らないように、リラックスした口の動きを心がけてください。

喉の力を抜く上での注意点


喉の力を抜くことは歌唱において重要ですが、実践する上でいくつか注意すべき点があります。誤った方法で脱力しようとすると逆効果になることもあるため注意しましょう。

無理に力を抜こうとしない

「喉の力を抜く」という言葉にとらわれすぎると、体の必要な支えまで失ってしまうことがあります。歌うためには、体幹など、必要な部分に適切な力が入っていることが重要です。無理に全ての力を抜こうとするのではなく、まずは体全体のバランスを整え、余分な力が入っている部分を見つけることから始めましょう。

当スクールの生徒さんを指導していても、真面目な生徒さんほど陥りやすい点です。そもそも「脱力している状態」と「適度に力が入っている状態」の違いが理解できない場合、専門的な知識を持つ人に指導してもらった方が早く改善できるでしょう。

体のバランスを整える

喉の力みは、体全体のバランスの崩れからきていることも多いです。姿勢を正したり、重心を意識したりすることで、不必要な力みを軽減できる場合があります。体の軸を意識し、安定した状態で発声できるように練習することが、結果的に喉の脱力につながります。

継続することの重要性

喉の力みは長年の癖であることも多く、すぐに改善されるものではありません。日々の練習や歌唱中に意識し続けることが重要です。焦らず、少しずつ改善を目指していくようにしましょう

もし独学での改善が難しいと感じる場合は、専門家であるボイストレーナーに相談することも検討してみてください。自分自身では気付かなかった点を指摘して貰えれば、改善までの最短ルートを歩めます。

喉の力を抜く方法をマスターして伸びやかな発声を実現しよう

緊張、不安などの精神的な影響や、姿勢、筋肉の使い方などの身体的な影響など、さまざまな理由で喉に力が入ってしまいます。喉に力が入ったまま歌唱を続けると、歌のクオリティが下がるだけではなく、喉を痛めてしまう可能性もあります。

今回紹介した方法を参考に、喉の力を抜く方法や適切な脱力、トレーニング方法などを実践してみてください。

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