歌っていると「声が細い」「もっと響かせたい」と感じることはありませんか?その原因は、声の中に含まれる「倍音」が十分に育っていないことかもしれません。
倍音は、声に豊かさや厚みを与える重要な要素です。倍音がしっかり出ている声は、力を入れなくても自然と響き、聴く人に心地よい印象を与えます。
この記事では、倍音とは何かという基礎から、倍音がある声・ない声の違い、初心者でもできるトレーニング、独学でつまずきやすいポイントまで分かりやすく解説します。
倍音を理解することで、発声の悩みの原因が見えてきたり、今よりも魅力的な声に近づくヒントが得られるはずです。
・声に厚みがないと感じる
・通る声になりたい
・高音が苦しい
・歌っても平坦な印象になる
こうした悩みを抱えている方に向けて、この記事で詳しく解説します。
倍音とは?初心者にもわかりやすく仕組みを解説

倍音とは、ひとことで言うと「声の中に自然に混ざっている複数の音」のことです。
わたしたちが声を出すとき、実はひとつの音だけが鳴っているわけではありません。メインとなる音(基音)に加えて、その倍数の周波数の音がいくつも重なって聞こえています。
この「重なり」があることで、声はただの「大きい音」ではなく、豊かで深みのある響きになります。
クラシック歌手やジャズシンガーの声に厚みがあるように感じるのは、倍音がしっかり含まれているからなんですね。
ここでは、初心者でもイメージしやすいように倍音の仕組みを順番に解説していきます。
倍音と基音の違い
声の中心にある音が「基音」です。カラオケで音程バーに表示される「その人が出している音」が基音です。
一方、倍音はその基音に重なって鳴る複数の音。楽器でも同じで、ギターをポーンと鳴らすと1つの音に聞こえますが、実際には細かい音がいくつも含まれています。倍音が多い声ほど「豊か」「伸びやか」と感じられ、歌の説得力を支えているのは、基音よりも倍音と言われることもあります。
倍音が生まれる場所と声の仕組み
倍音は、声帯の振動だけでなく、声が通る空間(口・鼻腔・咽頭など)の響きによって生まれます。声帯で作られた音が、口の形・舌の位置・鼻腔の広さなどによって変化し、その過程で自然といくつもの周波数が重なり合います。
特に鼻腔や口腔は「共鳴の部屋」のような役割があり、この部屋が広く響くほど倍音が増え、聞き心地の良い声になります。
倍音が「聞こえる声」と「ただ大きい声」の違い
ただ大声を出すのと、よく響く声はまったく別ものです。大きな声でも倍音が少なければ、相手には「張り上げている声」「硬い声」と感じられます。
一方、倍音の多い声は無理に力を入れなくても遠くまで届きます。同じ音量で話していても、「通る声」として相手に明確に届く のは倍音がある声の特徴です。
吹奏楽や楽器で例える倍音
倍音は楽器の世界ではとても身近な存在です。フルートやサックスなどの管楽器は、息の入れ方ひとつで倍音の量が大きく変わります。
また、ホルンやトランペットは「倍音列」と呼ばれる音の並びに沿って音程を作ります。
楽器が「響く」と美しく聞こえるように、人の声も倍音が増えることで魅力が引き立ちます。声を「楽器」として考えると、倍音はその楽器の質を左右する大切な要素です。
倍音がある声とない声の特徴

倍音がどれくらい含まれているかで、声の聞こえ方は大きく変わります。倍音が多い声は柔らかさや奥行きが生まれ、自然と広がるような聞こえ方になります。
一方で倍音が少ない声は、単調で硬い印象を受けやすく、聞き手には疲れやすい声として感じられることが多いです。
倍音のある声の聞こえ方
倍音が豊富な声は「柔らかい」「落ち着く」「広がりを感じる」と思ってもらいやすい特徴があります。特に、声量が小さくても空間にふわっと広がるように響き、自然と耳に馴染みます。
プロ歌手の声が魅力的に感じられるのは、この倍音による響きがしっかり出ているためです。
感情表現の幅が広がり、朗読やスピーチでも印象が大きく変わります。
倍音が少ない声の特徴
倍音が少ない声は、音が一本の線のように聞こえやすく、響きが乏しい傾向があります。そのため、声を張り上げても遠くに届きにくく、聞いている側には「固い声」「張っている声」という印象を与える場合があります。
喉だけで声を作ってしまうと、倍音が生まれるためのスペースが確保できないことが原因の一つです。
結果として頑張っているのに伝わりにくい声になり、喉の疲れやすさにつながることもあります。
プロ歌手に倍音が多い理由
プロの歌手は、日常的に倍音を引き出すための身体の使い方を身につけています。姿勢や呼吸、共鳴腔の使い方を徹底して鍛えることで、必要な響きをコントロールしています。
特に、胸・口腔・鼻腔のどこに音を響かせるかを意識的に切り替えることができるため、その歌手らしい声の厚みや響きは、倍音によって支えられている部分が大きいのです。
倍音が魅力的に聞こえる心理効果
倍音の多い声は、複数の周波数が重なることで音が丸くなり、人に安心感を与えます。そのため「心地よく感じる声」「包み込まれるような声」として評価されやすく、聞いていて疲れにくい特徴があります。
赤ちゃんの声や母親の声が優しく聞こえるのも、倍音成分が豊富だからといわれています。歌や話し方においても、倍音は聞き手を自然と引き込む大切な要素です。
倍音を出すために必要な発声のポイント

倍音を生み出すには、声帯だけでなく身体全体の使い方が大きく影響します。
特に姿勢や呼吸、共鳴腔の使い方は倍音の量を左右する重要なポイントです。
喉だけで声を出そうとすると響きが閉じてしまい、倍音が十分に生まれません。しかし、身体の中にある空間をうまく使えると自然と倍音が増え、声に広がりが出てきます。
これから紹介するポイントは、初心者でも意識しやすい基礎的な内容です。倍音が出にくいと感じている人は、まずここから確認しましょう。
姿勢・呼吸・共鳴の関係
正しい姿勢は、声の通り道をまっすぐにし、空気がスムーズに流れる状態をつくります。この流れが整うことで声が広がるスペースが確保され、倍音も生まれやすくなります。
発声の土台となる腹式呼吸は、安定した息の圧を作るために必要です。息のコントロールが安定すると、声が無理なく響きやすくなり、倍音が増える土台が整います。
さらに、口腔・鼻腔・咽頭といった共鳴腔が適切に開くことで、声の成分が増え、聞き心地の良い響きが生まれます。姿勢・呼吸・共鳴はどれか単体ではなく、互いに支え合って倍音のある声をつくる重要な要素です。
参考:厚生労働省「腹式呼吸を繰り返す」深くゆっくりした呼吸の方法と効果
喉だけで歌うと倍音が出ない理由
喉に力が入ると、声帯周辺の筋肉が固まり、振動が十分に伝わらなくなります。結果として、声は硬く平面的になり、倍音がほとんど感じられない声になってしまいます。
喉だけで声を出している状態では、響きのための空間が狭くなり、倍音が逃げやすいことが大きな原因です。特に高音で無理をしてしまうと倍音が途切れやすく、喉の疲れにもつながります。
倍音を増やすには、喉を固めず、息と響きのバランスを保つことが大切です。声を出す時は「喉ではなく身体で響かせる」感覚を意識してみましょう。
響きを作るための口の開き方・響かせ方
口の開き方は、倍音の出やすさに大きく関わります。口が横に開いてしまうと響きが拡散し、倍音が育ちにくい状態になります。
そのため、歌う時は縦方向に口を開く意識を持つと、声が前方に集まりやすくなります。
口腔が縦に広がることで共鳴空間が確保され、倍音が自然に増える効果があります。
また、声を奥に集めるイメージを持つと、鼻腔や咽頭が開き、より豊かな響きが生まれます。響きがうまく作れない人は、まず口の形と舌の位置から見直すのがおすすめです。
初心者がやりがちなNGフォーム
初心者に多いのが、喉を使いすぎたり、無理に大きな声を出そうとしてしまうフォームです。これでは倍音が生まれず、声を出すほど苦しくなってしまいます。
もう一つのNGが、姿勢が丸くなり、呼吸が浅くなるケースです。呼吸が浅いと、声の支えが弱まり、響きを作る余裕もなくなります。
倍音を増やしたい時は、力を入れるのではなく、身体の使い方を整えることが最も大切です。苦しさや違和感がある状態で練習を続けても、響きは育ちません。
今日からできる!倍音を作るトレーニング方法

倍音は、専門的な知識がなくても日常の中で少しずつ育てることができます。まずは喉に負担をかけず、響きを感じる練習から始めることがとても大切です。
ここでは、初心者でも実践しやすいトレーニングを紹介します。
ハミングトレーニング
ハミングは、倍音の基礎を作るのに最適なトレーニングです。鼻の奥に響きを集めやすく、負担も少ないため初心者にも取り組みやすい方法です。
ハミングをするときは、以下のポイントを意識しましょう。
・口を軽く閉じて「んー」と小さく声を出す
・鼻の付け根や頬のあたりに振動がくるか確かめる
・喉ではなく、顔の奥がふるえる感覚を大切にする
鼻腔に響きが集まると、倍音の成分が自然に増えていきやすくなります。毎日1分でも続けると、響きの感覚がつかみやすくなります。
リップロール・タングトリル
リップロールやタングトリルは、喉の余計な力みを取り除くための練習です。唇や舌を震わせることで息の流れが整い、響きを妨げる緊張がほぐれていきます。
練習時のポイントは以下のとおりです。
・力まずに息を前へ流すことを意識する
・低めの音からゆっくり始める
・喉の奥が固まらないよう、リラックスした状態で行う
喉の力が抜けると、倍音が生まれるためのスペースが広がり、響きが安定します。高音が出にくい人にも、この練習はおすすめです。
母音トレーニング
母音を丁寧に出す練習は、倍音の量を増やすうえで非常に効果的です。特に「あ」「お」の母音は響きが前に集まりやすく、倍音が増える感覚をつかみやすくなります。
練習ポイントは以下のとおりです。
・一つの母音を長く伸ばす
・口の形を縦に開き、響きを前に集める
・息を止めずに、一定の流れで声を出す
母音が丁寧に響くと、倍音の成分が増え、声の厚みや伸びが安定していきます。毎日の最初のウォーミングアップとしても最適です。
鼻腔・口腔の共鳴を感じる練習
倍音の多い声を出すためには、鼻腔や口腔のどこに響きが集まっているかを感じることが欠かせません。響きを意識できるようになると、倍音の出方が大きく変わっていきます。
以下は、共鳴の感覚をつかむための具体的な練習です。
・指先を鼻の横や頬に添えて、微かな振動を確認する
・「んー」「あー」を交互に発声し、響きがどこに移動するかを感じる
・口腔の奥を広げ、空間が開く感覚を意識する
どこに響いているかを感じ取れるようになると、倍音が自然と乗りやすくなります。声の位置をコントロールすることが上達の近道です。
自分の倍音をチェックする方法
倍音がどれくらい出ているかを知りたいときは、録音して確認する方法がおすすめです。
スマホでも十分、響きの変化を把握できます。
録音する際のチェックポイントは以下のとおりです。
・母音を伸ばした声を録音してみる
・声の伸び方や空気感が変わっているか比べる
・練習前後の変化を定期的に記録する
録音した声は、倍音が育っているかどうかを判断する大切な材料になります。成長が目で見えると、練習のモチベーションも上がりやすいです。
倍音を使いこなせると歌はどう変わる?

倍音をコントロールできるようになると、歌い心地や声の印象が大きく変わります。
高音の安定や表現力の向上など、歌に欠かせない要素が自然と身につきやすくなります。
ここでは、倍音が使えるようになったときの具体的な変化を見ていきましょう。
高音が出しやすくなる
倍音のある声は、喉に力を入れずに高音へアプローチできます。響きの力で声を持ち上げるため、苦しくならずに自然と高い音へ届きやすくなるからです。
喉を押し上げて出していた高音が、身体の響きに支えられることで安定しやすくなるのが大きな変化です。限界だと思っていた音域にも、少しずつ余裕が出てくる実感が得られやすいです。
声量が小さくても響く声になる
倍音が増えると、音量を上げなくても声が前方に広がって聞こえるようになります。
響きが整うことで「通る声」になり、力みを使わずに相手に届く声を生み出せるようになります。
少ない力で響かせられるようになるため、頑張って張り上げる必要がなくなり、声の伸びも自然に豊かになります。
ライブやカラオケでも喉の負担が減り、長時間歌っても疲れにくい状態を維持しやすくなります。
少ない力で響かせられるようになるため、頑張って張り上げる必要がなくなり、声の伸びが自然に豊かになります。ライブやカラオケでも、無理に大声を出さなくてよくなるため疲労も減りやすいです。
参考:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)「音声識別研究用計算機入力装置の検討」
抑揚・表現力がつきやすくなる
倍音が育つと、音のニュアンスが細かくコントロールできるようになります。声の質が変化しやすくなり、優しさ・力強さ・切なさなどが伝わりやすくなるためです。
声そのものに表情がつくため、歌詞の世界観がより豊かに伝わるようになります。
「音は合っているのに感情が伝わらない」という悩みも軽減しやすくなります。
声の疲れが減る
倍音が使えるようになると、喉ではなく身体全体の響きで歌声を支えられるようになります。
この状態になると、長時間歌っても喉に直接負担がかかりにくくなります。
響きを使って声を出せることで、喉の力みによる疲労や声枯れが大幅に減るのが大きなメリットです。翌日に声が残りやすくなり、練習の継続もしやすくなります。
独学で倍音は習得できる?練習の限界と迷いやすいポイント

独学でも倍音の練習はできますが、どうしても限界を感じやすい部分もあります。
特に響きの感覚は目に見えないため、正しくできているか判断しづらいのが難しさの理由です。
ここでは、多くの初心者がつまずきやすいポイントを整理していきます。
響きの感覚は自己判断が難しい理由
倍音は耳ではっきり聞こえるものではなく、身体の中で起きている「響き」の変化によって生まれます。そのため、独学では自分の感覚が正しいかどうか判断しづらいことがあります。
響きは他人の耳で確認すると分かりやすいのですが、自分の声は骨伝導で聞こえるため実際の響きとは違って聞こえてしまうのです。これが独学で最初にぶつかりやすい壁です。
間違った発声で練習すると逆効果になるケース
響きを追い求めるあまり、喉に力が入りすぎてしまうケースは少なくありません。喉を固めたまま発声すると倍音が生まれず、声が平坦になり、疲れやすくなってしまいます。
独学の場合、自分では正しいつもりでも「喉声」になってしまう危険があるため、気づかないうちに悪いクセがついてしまうことがあります。
逆効果の癖は、後から修正するのに時間がかかることもあるでしょう。
初心者がつまづく「感覚の壁」
倍音を生み出す響きは「感覚的な動き」が多く、頭で理解しても体感としてつかみにくい部分があります。鼻腔・口腔・喉の奥など、複数の要素が絡むため最初は迷いやすいのも当然です。
感覚がつかめない状態で練習を続けると、何が正解か分からず、成長を実感しづらいことがあります。この「どう響かせればいいのか分からない」という壁が、初心者がつまづきやすいポイントです。
正解のフォームや響きを知る重要性
倍音のある声を出すためには、姿勢・息・共鳴のバランスを正しく整える必要があります。その「正解のフォーム」を体で理解できるかどうかが上達の大きな分かれ目です。
一度でも正しい響きを体感すると、その後の練習の精度が大きく上がり、倍音が安定しやすくなります。逆に、この最初の成功体験がないまま独学を続けると、遠回りになってしまうこともあります。
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