子どもの「声変わり」はどう乗り切る?変声期との上手な向き合い方
成長とともに必ずおとずれる変声期。
親としては、子どもの成長を感じられる喜ばしい出来事ではありますが、歌を歌うことが大好きな子どもにとっては大問題!
「いつのまにか高音が出なくなってしまった」
「歌っている最中に声がひっくり返るようになった」
「裏声が出なくなり、声もガラガラする」
など、変声期に伴う声の変化に戸惑い、歌うことにストレスを感じているお子様もいるのではないでしょうか?
そこで、この記事では声変わりに悩むお子様とその親御様に向けて、変声期との上手な向き合い方をご紹介していきます。
「前みたいに歌えなくなってしまった……」と自信をなくしてしまった子どもに、親はどうしてあげるのが正解なのでしょうか?一緒に考えていきましょう。
変声期とは?
変声期とは、体の成長に伴い「声域」や「声質」が変わる期間のことです。
個人差はありますが、小学校高学年〜中学生にかけておとずれ、変声期が始まってから終わるまでに、約3ヶ月〜1年かかるといわれています。
変声期の主な影響は以下の通り。
・声が出しにくくなる
・ガラガラ声になる
・声がかすれる
・声が裏返る
・高い声が出なくなる
中にはまったく声が出なくなるという子どももおり、症状の程度は個人差があるようです。
声変わりはいつから始まるの?平均年齢と時期の目安
声変わりが始まる年齢は気になるところです。特に「何歳ごろから変化が出るのか」「男の子と女の子では違いがあるのか」という点を知りたい方が多いでしょう。ここでは声変わりの一般的な時期と特徴を詳しく解説します。
男の子の声変わりはいつ?
男の子の声変わりは、一般的に11〜15歳の思春期にかけて起こります。
特に中学1〜2年生の時期にピークを迎えることが多く、声が急に低くなったり不安定になったりするのが特徴です。
これは思春期に男性ホルモンが増加し、喉頭や声帯が成長することで生じる自然な変化です。中には小学高学年から声変わりが始まる早熟タイプの子もいれば、高校生になってようやく変化する子もいます。
学校生活や部活動の発声練習などで違いが目立つこともありますが、医学的には正常な範囲であり心配はいりません。
女の子の声変わりはいつ?
女の子の場合、男の子のような大きな声の変化は見られませんが、小学校高学年から中学生ごろにかけて少しずつ声質が変わることがあります。
思春期に女性ホルモンが増えることで声帯が成長し、高音域が出にくくなったり、声がやや低めに安定したりするのが特徴です。合唱の授業などで「昔より高い音が出にくくなった」と感じる子も多いでしょう。
ただし、女の子の声変わりは緩やかで周囲から気づかれにくく、本人も「声変わり」と意識しない場合が少なくありません。
声変わりの個人差について
声変わりは成長のスピードに大きく左右され、同年代でも開始時期や変化の幅に違いが出ます。
遺伝的な要素や体格の発達度合い、生活習慣なども関係しており、「周りの子が声変わりしているのに自分はまだ」と不安に思う必要はありません。
一般的な範囲は男の子で11〜15歳、女の子で10〜14歳ほどとされますが、これより早くても遅くても医学的には問題ないことがほとんどです。
もし声のかすれが長引いたり、日常生活に支障を感じたりするようであれば、耳鼻科や小児科で相談すると安心できます。
声変わりの前兆やサイン
声変わりの始まりには、いくつかのサインがあります。代表的なものとして声が裏返る・かすれるといった現象で、特に大きな声を出したときに目立ちます。
また、男の子の場合は喉ぼとけが少しずつ出てくる、声が高音から低音に移行していくなども特徴です。女の子では、以前より高い音域が出にくくなる、小さな声が安定しにくいといった変化が前兆になります。
これらは思春期における正常な生理現象であり、数か月から1年ほどで落ち着いていくのが一般的です。本人や保護者は焦らず、ゆったりと経過を見守ることが大切です。
声変わりがこない・遅いときは?
周囲の同年代が声変わりを迎えているのに、自分だけ変化がないと「遅れているのでは」と不安になる人も少なくありません。しかし声変わりの時期には個人差が大きく、必ずしも一律ではありません。ここでは、声変わりがこない・遅いと感じるときに考えられる要因や、受診の目安、安心してよい範囲について詳しく解説します。
声変わりが始まらない原因の可能性
声変わりが始まらない背景には、いくつかの要因が考えられます。代表的なものとして思春期の開始が遅れる「発育の個人差」で、これは医学的に問題のないケースが大半です。
また、栄養不足や睡眠不足、慢性的なストレスなど生活習慣の乱れも成長のペースに影響を与えることがあります。ホルモン分泌に関わる内分泌系の疾患が隠れている場合もまれにありますが、多くの場合は自然な成長の遅れにすぎません。
焦らず様子を見つつ、必要であれば医療機関で相談するのが安心です。
参照:文部科学省・3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題
受診を検討すべきケース
声変わりの遅れが必ずしも病気を意味するわけではありませんが、一定の目安を超える場合には受診が望ましいとされています。
たとえば、男の子で15歳を過ぎても声変わりが全く始まらない、女の子で14歳以降も声質に変化が見られないといった場合は、小児科や耳鼻科、内分泌科に相談すると安心です。
先にお伝えしたように、思春期の発育には個人差があるものではありますが、声の変化が全く見られないだけでなく、体全体の思春期の発達(体毛、身長の伸びなど)が遅れている場合は、ホルモンの異常が関係している可能性もあります。
安心できる成長の個人差
声変わりの時期には大きな個人差があり、同じ学年でも早い子と遅い子では数年の開きがあるのは珍しくありません。
周囲と比べて遅れていると感じても、それが成長の「異常」を意味するわけではなく、多くは自然に追いつきます。
保護者は必要以上に不安を煽らず、本人のペースを尊重することが大切です。声変わりは必ず訪れる成長過程の一部であり、たとえ遅めであっても健康に大きな問題がないことがほとんどです。
声変わりを促すためにできる生活習慣
声変わりそのものを人工的に早めることはできませんが、健やかな生活習慣がスムーズな成長を後押しします。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動はホルモン分泌を整えるために欠かせません。また、過度なストレスや不規則な生活は成長に影響する可能性があるため、できるだけ規則正しいリズムを意識しましょう。
のどの健康を守るために水分補給を心がけ、カラオケや大声での無理な発声を避けることも大切です。日常生活を整えることが、声変わりを迎えるための自然な準備になります。
声変わりに伴う注意点と過ごし方
声変わりの時期は、日常生活の中で声をよく使う場面にさまざまな影響が出ることがあります。特にカラオケや部活動の発声、大声での会話などでは喉に負担がかかりやすく、思わぬトラブルにつながることもあります。
ここでは、声変わり期に注意したいポイントを解説します。
カラオケや大声を出すときに気をつけたいこと
声変わりの時期は声帯が成長途中で不安定なため、無理に大きな声を出すと声がかすれたり、のどを痛めやすくなります。
特にカラオケで高音や低音を無理に出そうとすると、声帯に負担がかかり炎症を起こすこともあります。この時期は「声が裏返るのは自然なこと」と割り切り、無理にコントロールしようとせず、歌う際には音量を抑える・マイクを活用するなどの工夫をしましょう。
カラオケは楽しい時間ですが、声変わり期は練習の場ではなくリラックス目的と考える方が安心です。
部活動(合唱・吹奏楽・運動部)への影響
合唱部や吹奏楽部など声や息を多く使う部活動では、声変わりの影響を強く感じやすいでしょう。今まで出ていた音域が出にくくなったり、声が安定せずパート移動を勧められることもあります。
しかしこれは一時的なもので、多くの場合1年前後で落ち着きます。無理に以前の声を維持しようとするより、今出せる声を大切にしながら活動を続けることが重要です。
また、運動部でも掛け声や応援で大声を出す場面がありますが、必要以上に張り上げるのは避けましょう。顧問や仲間に声変わり中であることを伝えると理解が得やすくなります。
保護者ができるサポート
声変わりの時期は、本人にとって不安やストレスを感じやすいものです。保護者は「自然な成長の一部」であることを伝え、焦らずに見守る姿勢が大切です。
具体的なサポートとしては、声を無理に出させないよう配慮すること、乾燥を防ぐために十分な水分補給を促すこと、のど飴や加湿器を活用して環境を整えることなどがあります。
また、声が出にくいことをからかわれるなど心理的な負担が生じる場合もあるため、家庭で安心して気持ちを話せる環境を作ることも重要です。もし声の不調が長期間続くようなら、耳鼻科での診察を検討すると安心できます。
喉の環境を整えるための飲み物やケアアイテムを下記で紹介しています。保護者として気になる方は是非チェックしてみてください。
ボーカリスト必見!喉に良い飲みもの & 喉ケアアイテム12選
男の子は高音が出なくなる!?変化する音域の幅

声変わりが男の子に出るイメージが強いのは、男の子の方が変化の幅が大きいから。
女の子は約2〜3音低くなる一方で、男の子は音域が1オクターブも低くなるといわれています。
変化の幅が大きくなればなるほど、今までと同じ感覚で声が出せなくなったり、声帯のコントロールも難しくなります。男の子の方が大きな変化を受け止めて、乗り越えなければいけないのです。
20歳頃まで声が安定しないことも・・
一般的に声変わりは3ヶ月〜1年程度で終わりますが、なかには「声が安定したのは高校生になってから」「20代に入ってからやっと高音が無理なく出せるようになってきた」と、声が安定するまでに長くかかる方もいます。
なかなか声が安定しないと、このまま上手く歌えなくなってしまうのではないかと、不安におそわれることもあるかもしれません。
ですが、ほとんどの場合3〜4年で落ち着き、20歳頃には裏声や高音も無理なく出せるようになってきますので安心してください。いつか声が安定する日がくると、焦らずに待つことが大切です。
「変声期にボイトレはしない方が良い!」はウソ?ホント?

不安定な時期なので、やらない方が良いという意見もあります。しかし、声の状態を丁寧に観察し無理なく行われるボイトレであれば、そこまで問題はないでしょう。
練習に無理が生じている場合はかえって悪影響になる可能性もあるため、注意が必要です。
「ボイトレしたらノドの痛みが酷くなった」
「逆に声の出が悪くなった」
などの症状がみられた場合、正しくボイトレができていない可能性があります。
直ちにボイトレをやめ、専門知識のあるボイストレーナーに一度相談してみるといいでしょう。
変声期こそボイストレーナーの指導が必要!無料体験レッスンのすすめ
声変わりが始まると常に声が変化の中にいるので、最近まで出ていた声がいつの間にか出なくなってしまったということも少なくありません。
そのため、「どうにか前と同じように歌えるようになりたい」「以前のような高いキーを取り戻したい」と焦り、自己流で無理な練習をしてしまう子どもが出てきます。
しかし、変声期に無理な練習は禁物!
声帯を痛めるだけでなく、変なクセが身についてしまうことにも繋がります。
親御さんは、お子様がひとりで無理な練習をしないためにも、ボイトレ教室の無料体験レッスンに行くなど、早めに専門的な知識のあるトレーナーから指導を受ける機会を作ってあげると良いでしょう。
世界的なシンガー・ジャスティンビーバーも、変声期は信頼のおけるボイストレーナーをパートナーにし、不安的な時期を丁寧に乗り越えていったそうですよ。
習い事におすすめ◎変声期の子どもがボイトレ教室に通う「3つのメリット」

声の変化に合わせたボイトレメニューを考案してもらえる
ボイトレ教室に通うと、声の状態を定期的にみてもらえるので、そのときの状態に合った適切なボイトレをすることができます。
変声期はその変化に焦りやもどかしさを感じるものですが、ボイトレ教室でトレーナーと会話をしているうちに、
「プロのトレーナーがついているから大丈夫!」
「今はこの練習をしていれば大丈夫!」
と、今やっている練習に確信が持てるように。すると、自然と気持ちが安定し自信にも繋がっていくようになります。
声変わりが終わった後も発声に困らない
変声期にボイストレーナーの適切な指示のもとボイトレをしていると、声変わりが完了した後の発声もスムーズになります。
変声期に無理な高音の練習をすると、声変わりを終えた後に発声障害が残ってしまうケースもあります。変声期の音声開発はとてもデリケートなため、無理に高音域の練習を行わず、基礎的な土台を固める期間にすると良いでしょう。
そういった観点でも、声変わりの後に高音発声で困らないように対策をしたいという方は、ボイトレ教室で専門的なレッスンを受けられることをおすすめします。
根本的な音楽力も向上する
ボイトレは、ただ歌唱力をアップさせるだけのものではありません。
心肺機能を高めることができたり、表現力を磨けたりと、心身ともに子どもの能力を高める効果も期待できます。
また、ナユタスのボイトレ教室では音楽的素養の指導にも力を入れています。
多感な時期にさまざまな音楽にふれ知識を得ることは、その後の音楽的な能力にも影響を及ぼします。変声期はアウトプットに制限がかかる時期なので、インプットに力を入れ根本的な音楽力の向上を目指すのも良いでしょう。
カウンセリングで変声期の悩みもしっかりサポート!ナユタスのキッズ・ジュニアコース
ナユタスは、子ども向けボイトレコース(=キッズ・ジュニアコース)もマンツーマンでレッスンを行っています。
変声期というデリケートな時期にいると、なかには「集団レッスンだと人目が気になって集中できない」というお子様もいるでしょう。マンツーマンであればそのような心配も少ないので、トレーナーと会話をしながらリラックスしてレッスンに臨みやすいです。
また、レッスンに入る前に必ずカウンセリングの時間を設けているのも特徴。お子様が抱えている問題や悩み、目的などを共有し明確化したうえで、一人ひとりに沿ったカリキュラムを提案させていただきます。
変声期のお子様もしっかりサポートさせていただきますので、お悩みを持っている方はぜひ一度ナユタスまでお問合せください。
【まとめ】
子どもの「声変わり」はどう乗り切る?変声期との上手な向き合い方

声変わりする前の声より、声変わり後の声との付き合いの方が長くなります。
「終わった後はさらに魅力的な声になるんだ」という前向きな気持ちで、変声期中は無理のないボイトレを取り入れたり、ノドを思いきって休めたりと、変化に合わせた過ごし方を意識してみてくださいね。



        