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ボイトレに役立つ論文4編を紹介!視野を広げてモチベアップ!

ボイトレに役立つ論文4編を紹介!視野を広げてモチベアップ!

ボイトレで歌唱力をアップさせるため、テクニック習得のため、そしてボイトレをより追及していくために書籍を活用する人も多いのではないでしょうか。

実技トレーニングで行う実践的なことを理論的に学べたり、さまざまなメソッドや考え方を知ることで、視野を広げ、知識を深められるので、上達においてとても有効、モチベーションアップにつながることもありますよね。

また、芸術、スポーツ、医学的にみるボイトレなど、分野もさまざまなので、読み物として楽しめる場面もあるでしょう。

そこで今回は、ボイトレにかかわる論文を4編ご紹介します。

異なる視点からみたそれぞれのテーマが興味深く、ボイトレの実践に役立てたい内容の論文もピックアップしてみました。

一見、歌唱力アップとは関係がなさそうに見える分野のテーマでも、読み進めてみるとあなたとつながる意外な気付きがあるかもしれません。

気になる論文があれば、ぜひチェック、あなたのボイトレライフに活かせるものを見つけてみてください。

ボイトレ経験が幸福を促進!高齢男性の変化をまとめた論文

引用元:https://www.photo-ac.com/

〇タイトル・著者
ボイストレーニング・プログラムへの参加経験が心理的健康と夫婦間のコミュニケーションに及ぼす影響―高齢男性と配偶者のwell-beingを促進するか
長谷川孝治 信州大学人文学部

こちらの論文は、スポーツボイスと呼ばれるボイストレーニング・プログラムに参加することによって、高齢男性の心理的健康と配偶者とのコミュニケーションが促進されるかを調査し、まとめています。

ボイトレプログラムに参加したのは高齢男性とその配偶者。

ボイトレをしたり、発表会に参加したり、集団のコミュニティにも入り、開始前、終了直後、その3ヶ月後までの過程や結果が記されています。

ボイトレやボイトレをとおした集団での行動が、人の心に及ぼす影響がよく読み取れます。

なかでも、3ヶ月後の結果が衝撃で、少しネタバレしますが、「ボイトレの効果はなくなってしまったけれど、高齢男性にはあるものが残った」という結末のくだりが興味深く。

高齢の家族がいる人やご夫婦、高齢の生徒さんをもつトレーナーさんなどに、ぜひおすすめしたい論文です。

声優さん必見!ボイトレ指導者の熱い思いが伝わる論文

引用元:https://www.photo-ac.com/

〇タイトル・著者
音声学を活用した声優演技音声指導~演技で音声は何を表現しているのかとその指導法の考察~
長塚全(Zen Voice Factory)

声優、または声優志望の方におすすめしたいこちらの論文。

ボイストレーナーである著者が、ボイトレの感覚的で曖昧な指導内容にメスを入れ、音声学を紐解いた考察とともに、声優への指導、教育について述べ、音声学、言語学が芸能音声教育にいかに有効かを述べています。

たしかに、歌唱や演技など表現の指導は、ポピュラーな側面もありますが、芸術的な要素も強く、感覚や精神論になりがちで、感性に頼るところも多いですよね。

こちらの論文の著者は、各業界の協力をもとに、音声学、音響学、スポーツ医学などを盛り込んだ教育体系づくりを進め、生徒のモチベーションや喜びをアップさせること。

それがよい作品作りにつながり、作りて聞き手の両者が喜びを得られることを目指しています。

著者のブログを拝見しましたが、感覚に頼ったトレーニングは、そもそも理解が難しいにもかかわらず、生徒が自分にはセンスがないという理由でボイトレを諦めてしまうことに疑問を抱き、うまくできない人へ科学的、理論的なアプローチを!と、とにかく熱い思いを感じます。

論文は、分かりやすく書かれているので、論文に苦手意識がある人でもスムーズに読むことができるでしょう。

体の構造や言語、感情表現までを音声学などを用いて論理的に解説。

ラッセルの感情円環など、載せられている図表を用いての演技、声の表現に対する説明がわかりやすくされています。

声優さんはもちろんのこと、歌や演技にかかわる人なら表現の追及において参考になることばかりです。

※ラッセルの感情円環とは…「快・不快」「覚醒水準の高・低」を軸とした、感情を分類した円環モデルで、心理学やマーケティングなどで使われています。

防災放送は演技力必須!?論文で知るボイトレから見たアナウンス

引用元:https://www.photo-ac.com:

〇タイトル・著者
避難する気になるボイストレーニングシステム構築に向けて-伝わる感情音声を引き出す教示―
長塚全(Zen Vice Factory)高野佐代子(金沢工業大学)土田義郎(金沢工業大学)

こちらは、先ほどご紹介した声優演技音声指導の論文を書いた長塚全氏が参加する論文。

以前の避難放送の一部で「重大性、緊急性」が伝わらずに避難行動につながらなかった事例を踏まえ、「逃げる気になる防災放送」の研究が進められています。

しかし、「強く、高く、速く」という指示は、演技経験のない人では十分に発揮できなかったそう。

そこで、ボイストレーナーである長塚氏が実験に参加し指導を行った結果や、伝わる感情音声について考察をまとめています。

演技経験のない人では、緊急性や重大性を伝えるためのスキルが不十分だったこと。

その事実にも感心したのですが、その他にも、たとえば「避難してください」のセリフもまた、息漏れが多いと緊張感が伝わりにくい、セリフは緊迫していても口角があがっていると明るい印象を与えてしまうなど、ボイトレや演技のスキルが必要とされることがよく分かります。

感情を感情のままに伝えるのではなく、伝わる感情音声の重要性とその根拠を知ることができるほか、ボイトレや演技のスキルをどう活かすのかという観点からも学びになる論文です。

ボイトレ男子はこの論文をチェック!ミックスボイスの新メソッドとは

引用元:https://www.photo-ac.

〇タイトル・著者
裏声発生に着目した歌唱力向上メソッドの考案
村井亮介 法政大学情報科学部コンピューター科学科

こちらは、ミックスボイスの発声法に着目し、歌唱力向上のメソッドを考案、ミックスボイス習得までの実験をまとめた論文です。

実験は、音痴ではないが歌がうまく歌うことができない3人の男性を対象に、段階的なトレーニングを実施。

ミックスボイス習得に向けて実験前からメソッド実験後の変化が記されていますが、3人がどのようなトレーニングをしたか、なぜそのトレーニングをするに至ったのかなど、経緯がデータとともにこまかく記されています。

また、表声と裏声の音階練習に使用した楽譜もデータとして掲載されているので、練習や研究の参考になるでしょう。

ほかにも、ミックスボイスについての講義も十分にされていて、体の構造、筋肉の動きなどについてもくわしく説明されているので、ミックスボイスの習得に向けてボイトレをしている人には、特におすすめの論文です。

実験の結果では、それぞれの個性を持った3人ともが、発声したい高音に対して正しい声区を判断、ピッチまで正確にとれるようになったそう。

ミックスボイスの勉強にもなるので、ぜひチェックしてみてください。

【まとめ】
ボイトレに役立つ論文4編を紹介!視野を広げてモチベアップ!

引用元:https://www.pakutaso.com/

ボイトレに役立つ4つの論文をご紹介しました。

気になる論文はありましたか。

どのテーマも興味深く、実技で実践してみたくなる研究やデータが散りばめられています。

今回ご紹介した論文は、とても読みやすいものが多いので、ボイトレの参考に活用してみてはいかがでしょうか。

どの論文も、ネット検索で探すことができるので、ぜひチェックしてみてくださいね。