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丸サ進行(43651)とは?Just The Two of Usコード進行と有名曲を解説

作曲や編曲をする人のなかには、丸サ進行という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。丸サ進行とは、お洒落で都会的な雰囲気を持つ、J-POPで頻繁に使用される人気のコード進行です。

過去の多くのヒット曲にもみられるコードの一種で、作曲初心者にも使いやすいコードとして頻繁に紹介されています。

この記事では、丸サ進行の基本的な仕組みから名前の由来、そしてなぜ多くの人々を魅了するのかを音楽理論に基づいて解説します。

  • 初めて作曲・編曲をする人
  • コードについて学びたい人
  • 丸サ進行の意味やコード、由来などを詳しく知りたい人

上記に当てはまる人はぜひ、参考にしてみてください。

記事では、国内外の有名曲を例に挙げながら、このコード進行がどのように楽曲の中で活かされているかを探ります。さらに、初心者でもピアノやギターで演奏できる簡単な方法も紹介するため、作曲や演奏に役立つ知識が得られるでしょう。

「丸サ進行」とは?椎名林檎の楽曲が名前の由来


「丸サ進行」という名称は、シンガーソングライター椎名林檎の楽曲「丸の内サディスティック」のAメロで使われているコード進行が由来です。

この曲が持つ独特のお洒落な雰囲気が多くの音楽ファンやクリエイターに強い印象を与え、いつしかそのコード進行自体が「丸の内サディスティック進行」、略して「丸サ進行」と呼ばれるようになりました。

この俗称が広まった背景には、楽曲そのものの人気に加え、多くのミュージシャンがカバーしたり、似た進行を用いたりした影響があります。そのため、この進行について語る上で、椎名林檎の存在は欠かせないと言えるでしょう。

丸サ進行の認知度が高まったことから「椎名林檎の楽曲には丸サ進行が頻繁に登場する」と言われることもありますが、実は彼女のリリースしている楽曲で丸サ進行を使用しているものは、そう多くありません。「歌舞伎町の女王」「闇に降る雨」「ドッペルゲンガー」など、丸サ進行を彷彿させるコード進行は多数見られるものの、定義としては丸サ進行に当てはまらないものが多数あります。実は、しっかり丸サ進行を使っている楽曲は「丸の内サディスティック」「長く短い祭」位で、他の楽曲に関しては丸サ進行がイメージできるコード進行だけど、少し違うニュアンスのもの多いのです。

もう一つの呼び名「Just The Two of Us進行」


日本では椎名林檎のリリースした「丸の内サディスティック」によって知名度が広がった丸サ進行ですが、実はこの楽曲がリリースされる前から同様のコードは存在しています。日本では、丸サ進行の知名度が高いため「椎名林檎が考えたコード進行」と思われがちですが、それは誤りなのです。

「丸サ進行」は、世界的には「Just The Two of Us進行」という名前で知られています。この呼び名は、1981年にリリースされたグローヴァー・ワシントン・ジュニアの楽曲「Just The Two of Us」が原曲であることに由来します。

この曲が世界的なヒットを記録したことで、このコード進行もジャズやR&B、ポップスなど様々なジャンルで使われるようになりました。そのため、海外のミュージシャンや音楽理論の解説ではこちらの名称が一般的です。

現在では、この進行が使用されている楽曲は邦楽・洋楽を問わず非常に多すぎると言えるほどで、ヒット曲の定番パターンのひとつとして確立されています。

数字で簡単解説!丸サ進行の基本的なコード構成(43651)


丸サ進行の仕組みは、ディグリーネームという数字を用いると音楽理論的に理解しやすくなります。

ティグリーネームとは、ダイアトニックスケールにコードにローマ数字を当て表記したものです。例えば、ドレミ表記なら「ドレミファソラシド」という部分がABC表記なら「CDEFGAB」になり、さらにティグリーネームだと「ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ」と表記されます。ティグリーネームに置き換えることで、コード進行のパターンを掴みやすくなるでしょう。

丸サ進行の基本的な構成は「Ⅳ△7→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅴm7→Ⅰ7」というコードの流れで、これを数字に置き換えると「4-3-6-5-1」と表せます。

この数字は、キーとなる音階の何番目の音をルートにしているかを示します。例えば、キーがCメジャーの場合、4番目の音はF、3番目の音はEとなります。このように数字で捉えることで、どんなキーにも応用が可能です。
一部の解説では、よりシンプルな「4-3-6-1」という流れで説明されることもあり、丸サ進行は楽曲によって多少のアレンジが加えられるのが特徴です。

丸サ進行を最も分かりやすいキーであるCメジャーに当てはめてみましょう。Cメジャーの音階は「ドレミファソラシ」です。
この音階を基準にディグリーネームの「4-3-6-5-1」を当てはめると、具体的なコード進行は「F△7→E7→Am7→Gm7→C7」となります。
それぞれの数字と音の対応は、4がファ(F)、3がミ(E)、6がラ(A)、5がソ(G)、1がド(C)です。Am7のようにmが付くコードはマイナーコードを意味します。

この進行は、それぞれの和音の構成音が生み出す響きの移り変わりが特徴的で、都会的でお洒落なサウンドの源泉となっています。まずはこのCメジャーの例で、コードの響きを実際に確かめてみるのがおすすめです。

丸サ進行は派生コードも多い


丸サ進行は、基本的な「Ⅳ△7→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅴm7→Ⅰ7」という形だけでなく、多様な派生コード進行が存在します。楽曲にさらなる変化や個性を加えるために、作曲家やアレンジャーはさまざまな方法でこの進行をアレンジしています。

例えば、本来の進行に含まれる「Ⅰ7」のコードを省略する形や、「Ⅴm7」と「Ⅰ7」を別のコードに置き換えるパターン、あるいはダイアトニックコード(特定のキーの中で使われる主要なコード)に収める形などがあります。

これらの派生形の中には、一時的に別のキーへ転調しているような響きを持たせるものや、セカンダリードミナントと呼ばれるコードを効果的に活用し、より強い進行感やドラマチックな展開を生み出すものもあります。

丸サ進行は、派生コードを理解し使いこなすことで、単調さを避け、楽曲に深みや新鮮な驚きを与えることが可能なコード進行です。だからこそ、ジャズやR&B、ポップスなど、洗練されたサウンドを追求するジャンルでは、こうしたアレンジが楽曲の魅力を高める重要な要素となっています。

近年ボカロPにも人気が高い丸サ進行


近年、丸サ進行はボカロP(ボーカロイドプロデューサー)の間でも非常に人気が高く、多くのボカロ楽曲に採用されています。この進行がボカロPに好まれる理由としては、都会的でお洒落な雰囲気を手軽に演出できる点や、聴き手に「エモい」と感じさせる独特の響きがあることが挙げられます。また、丸サ進行が持つ浮遊感やループ感は、短い動画サイトやSNSでの拡散に適した中毒性の高い楽曲を生み出しやすいという側面も人気の理由として挙げられるでしょう。

実際に、ハチの「マトリョシカ」や「パンダヒーロー」、れるりりの「脳漿炸裂ガール」、DECO*27の「ヴァンパイア」や「乙女解剖」、Kanariaの「KING」、かいりきベアの「ベノム」や「ダーリンダンス」、R Sound Designの「帝国少女」など、数多くの人気ボカロ曲で丸サ進行が使われています。

なぜお洒落に聴こえる?丸サ進行が持つ3つの音楽的な特徴


丸サ進行が多くの楽曲で採用され、なぜこれほどまでにお洒落な印象を与えるのでしょうか。続いては、丸サ進行に見られる音楽的な特徴を解説します。

特徴1:都会的で洗練された雰囲気を生み出す

丸サ進行が都会的で洗練された雰囲気を持つ最大の理由は、多用されるセブンスコードにあります

特にメジャーセブンスやマイナーセブンスといった4和音は、3和音に比べて複雑で豊かな響きを持ち、楽曲に色彩感を与えます。この響きはジャズやR&B、フュージョンといったジャンルで古くから用いられてきたもので、落ち着きがありつつもスタイリッシュな印象を生み出すでしょう。

このコード進行の上に乗るメロディーも、自然とお洒落な雰囲気を纏いやすくなるため、シティポップを始めとする洗練された音楽スタイルと非常に相性が良いのです。

特徴2:トニックに解決しない独特の浮遊感とループ感

多くのコード進行は、物語の結末のように安定した響きを持つトニックコード(Ⅰ)に着地することで解決感を生み出します。

しかし、丸サ進行の最後のコードはⅠ△7ではなくⅠ7(ドミナントセブンス)が使われることが多く、これが完全な終止感を和らげています。
このⅠ7は次の進行への橋渡し役を担うため、聴き手は安定しきらないまま次の展開を期待することになります。
この解決しきらない感覚が、独特の浮遊感や心地よいループ感を生み出す要因です。

さらに、コードにテンションノートを加えるアレンジを施すことで、この浮遊感は一層増し、楽曲に深みを与える効果があります。

特徴3:どこか切なさを感じさせる「エモい」響き

丸サ進行がお洒落なだけでなく、どこか切なさを感じさせるのは、進行の中にマイナーコードが効果的に含まれているからです。

特にⅥm7(キーがCならAm7)という短調の響きを持つコードが、進行の核として機能しています。

このマイナーコードの響きが、全体的に明るく洗練された雰囲気の中に、一瞬の陰りや哀愁をもたらします。長調のキーの中にいながら、一時的にマイナーキーの要素が加わることで、甘く切ない、いわゆる「エモい」感情を呼び起こすのです

この絶妙な感情の揺らぎを生み出す音の響きが、多くのリスナーの心を掴む大きな魅力となっています。

【邦楽・洋楽】丸サ進行が効果的に使われている有名曲を紹介


丸サ進行の魅力は、理論だけでなく実際の楽曲を聴くことでより深く理解できます。

このコード進行は、ジャンルや年代を問わず、邦楽・洋楽の数多くの名曲で使用されてきました。お洒落な雰囲気を演出するだけでなく、歌のメロディや歌詞が持つ世界観を効果的に引き立てる使い方をされています。

ここでは、近年のJ-POPのヒット曲から、世代を超えて愛される洋楽のスタンダードナンバーまで、丸サ進行が印象的に使われている有名曲の具体例を挙げていきます。

丸サ進行を使用しているJ-POPの有名曲

近年のJ-POPシーンにおいて、丸サ進行はヒット曲の法則のひとつと言えるほど多用されています。
ボカロ文化から生まれた楽曲群にも広く浸透していることから、現代の日本の音楽シーンを象徴するコード進行であるといえるでしょう。

続いては、丸サ進行を使用しているJ-POPの有名曲について、丸サ進行の存在感や特徴を解説します。

夜に駆ける(YOASOBI)

YOASOBIの「夜に駆ける」は、丸サ進行を効果的に用いることで、楽曲全体にお洒落で疾走感あふれる雰囲気を生み出しています。具体的には、サビの部分でこのコード進行が使われており、楽曲の持つ都会的な世界観やドラマチックな展開を強調する役割を果たしています。この進行の特長であるトニックに解決しない浮遊感と切ない響きが、歌詞で描かれる感情の機微と見事に調和し、リスナーに強い印象を与えているのです。

例えば、通常であれば安定感のあるトニックコードで着地する場面をあえて不安定なドミナントセブンスで終わらせることで、楽曲に次の展開への期待感を抱かせ、中毒性の高いループ感を生み出しているといえるでしょう。また、マイナーコードの響きが、曲が持つ切なさや儚さを際立たせ、聴く人の感情を深く揺さぶる要因となっています。

この楽曲が持つ爆発的なヒットの背景には、丸サ進行が持つ普遍的な魅力と、YOASOBIの卓越したメロディセンス、そして物語性を感じる歌詞が一体となったことが挙げられます。

愛を伝えたいだとか(あいみょん)

あいみょんの「愛を伝えたいだとか」では、楽曲全体のお洒落で都会的な雰囲気を形成する上で、丸サ進行を効果的に活用しているのが特徴です。曲のAメロやサビで印象的に使われる丸サ進行は、特有の浮遊感と切なさを楽曲にもたらし、歌詞の世界観と見事に調和しています。例えば、丸サ進行の特徴であるトニックに解決しないループ感が、歌詞で描かれる繰り返される感情や思考を音楽的に表現し、聴き手に心地よい中毒性を与えています。

また、進行に含まれるマイナーコードの響きが、曲が持つ甘く切ない感情を際立たせ、あいみょん特有の歌声と相まって、より深い感動を呼び起こす要因となっています。この楽曲における丸サ進行の使い方は、単なるコードの羅列ではなく、楽曲のテーマや感情を増幅させる効果的な表現手法として機能しているのです。

つつみ込むように・・・(MISIA)

MISIAの「つつみ込むように・・・」は、丸サ進行の持つ魅力を最大限に引き出した楽曲の代表例と言えます。この曲は、日本のR&Bシーンにおける金字塔のひとつであり、その洗練されたサウンドの核には丸サ進行の存在があります。

特に、AメロやBメロで丸サ進行が効果的に用いられており、曲全体に都会的でグルーヴィーな雰囲気を醸し出しています。この進行の特長であるトニックに解決しない浮遊感が、MISIAの伸びやかなボーカルと相まって、聴き手に心地よい高揚感と情感豊かな世界観を与えています。例えば、通常の楽曲であれば安定感のあるトニックコードで着地する部分を、あえてドミナントセブンスで終わらせることで、楽曲に次への期待感や、終わりのない広がりを感じさせる効果を生み出している点にも注目すべきでしょう。

また、丸サ進行に含まれるマイナーコードの響きが、曲が持つ切なさやソウルフルな一面を際立たせ、聴く人の感情を深く揺さぶる要因となっています。この楽曲における丸サ進行は、MISIAの音楽性や歌唱力を引き立てる重要な要素として機能しており、日本の音楽シーンに多大な影響を与えました。

キラーボール(ゲスの極み乙女)

ゲスの極み乙女の「キラーボール」は、丸サ進行を楽曲全体に織り交ぜることで、彼ら特有のトリッキーかつお洒落なバンドサウンドを構築しています。この曲では、丸サ進行が持つ都会的な響きと、トニックに解決しない浮遊感が最大限に活用されており、複雑でありながらも耳に残る中毒性の高いグルーヴを生み出しています。特に、曲のイントロからAメロ、そしてサビにかけてこの進行が巧みに配置されており、予測不能な展開の中に心地よい安定感をもたらす役割を担っています。

丸サ進行の特徴であるセブンスコードの多用は、「キラーボール」のジャジーで洗練された印象を強め、バンドの演奏技術と相まって独特の世界観を形成しています。また、進行に含まれるマイナーコードの響きが、曲全体に漂うどこか退廃的で切ない雰囲気を際立たせ、聴き手に感情的な深みを与えています。

彼らの楽曲は、奇抜な構成や変拍子を多用することで知られていますが、その根底には丸サ進行のような普遍的な魅力を持つコード進行が用いられており、それが多くのリスナーを惹きつける要因のひとつとなっています。

琥珀色の街、上海蟹の朝(くるり)

くるりの「琥珀色の街、上海蟹の朝」は、丸サ進行を巧みに取り入れることで、楽曲に都会的で洗練された雰囲気と独特の浮遊感を与えています。この曲は、サビの部分で特に丸サ進行が印象的に使われており、歌詞で描かれる「上海蟹食べたい」というフレーズとともに、どこかノスタルジックでエモーショナルな世界観を構築しています。

また、丸サ進行に特徴的なセブンスコードの響きが、くるりならではの洗練されたサウンドと融合し、ブラックミュージックやヒップホップからの影響も感じさせ、彼らの新たな音楽的側面を提示している楽曲ともいえるでしょう。

この楽曲における丸サ進行の存在感は、「人と人とのつながり」や「現代社会へのノスタルジー」といった歌詞のメッセージ性を音楽的に強調する役割も果たしています。 くるりは、この進行を用いることで、都会の喧騒とそこに漂う切なさを表現し、聴き手に深い共感を呼び起こしていると言えます。

Vaundy(東京フラッシュ )

Vaundyの楽曲「東京フラッシュ」は、彼の初の配信シングルであり、丸サ進行を取り入れることで、都会的で洗練された雰囲気を楽曲全体に醸し出しています。 この曲では、丸サ進行の特徴である「IV△7-III7-VIm7-Vm7-I7」というコード進行が効果的に使用されており、これにより独特の浮遊感と切なさが生まれ、歌詞が描く「都市の夜を一人お洒落に歌う」という世界観を見事に表現しています。 イントロ部分のキーはGであるとする情報や、Dであるとする情報も存在します。

「東京フラッシュ」では、この丸サ進行を基盤としつつ、さらに洗練されたアレンジが加えられている点も特徴です。例えば、C#7-F#m7の部分でディミニッシュコードを用いることで、よりお洒落な雰囲気を演出しています。このディミニッシュコードの使用は、ドミナントモーションの際に不安定な音(オルタードテンション)を加えることで、その後の解決感を増幅させる効果があります。また、コードヴォイシングの工夫により、同じコードでも雰囲気を変えたり、曲のメロディーをトップノートに持ってきたりするなど、アレンジの幅広さを見せているといえるでしょう。

丸サ進行が持つトニックに解決しないループ感と、マイナーコードがもたらす「エモい」響きが、Vaundyの多様な音楽性と融合し、聴き手に強い印象を与えています。このように、「東京フラッシュ」における丸サ進行の存在感は、Vaundy自身の音楽的センスによって、楽曲の世界観を深く、そして魅力的に表現するための重要な要素として機能しているのです。

丸サ進行を使用している洋楽の有名曲

丸サ進行の元祖とされるGrover Washington, Jr.の「Just The Two of Us」は、今なお世界中で愛されるスタンダードナンバーです。

この曲の影響は計り知れず、ポップスはもちろんのこと、ヒップホップのアーティストがサンプリングソースとして用いることも少なくありません。また、ロックやソウルミュージックの分野でもこの進行を応用した楽曲は数多く存在します。

続いては、丸サ進行を使用している洋楽の有名曲を紹介していきます。

What You Won’t Do for Love(ボビー・コードウェル)

ボビー・コードウェルの「What You Won’t Do for Love」は、そのお洒落で洗練されたサウンドがAOR(Adult Oriented Rock)の金字塔として、今なお多くの音楽ファンに愛されている楽曲です。この曲は1978年に発表され、グローヴァー・ワシントン・ジュニアが1981年に発表した「Just The Two of Us」と並び、これらのコード進行が持つ都会的な雰囲気やメロウな響きを世に広めるきっかけとなりました。

この楽曲のキーはF#メジャーが基本とされており、一部ではF#マイナーとも解釈されています。 コード進行については様々な解釈がありますが、Dmaj7→C#7(#9)→F#m7→B13のような進行が用いられています。 Dmaj7やF#m7といったメジャーセブンス系のコードが楽曲全体に豊かな響きと都会的な洗練された雰囲気をもたらしていると言えるでしょう。

また、この曲が持つどこか切なく甘い雰囲気は、丸サ進行の特徴であるトニックに解決しない浮遊感とマイナーコードがもたらすエモい響きが存分に活かされているためです。 特に、そのイントロの印象的なエレピのサウンドと相まって、コードのお洒落さが際立っています。

このコード進行は、単なるプレイボーイソングではない、甘さだけでなく苦さも感じる歌詞の世界観とも深く結びつき、聴き手に感情的な深みを与えています。 このように、「What You Won’t Do for Love」は、丸サ進行の普遍的な魅力と、ボビー・コードウェル自身の音楽的センスが融合した、この進行の存在感を示す重要な楽曲であると言えるでしょう。

Got To Be Real(Cheryl Lynn)

シェリル・リンの「Got To Be Real」は、1978年にリリースされた彼女のデビューシングルであり、ディスコやR&Bを代表する楽曲として広く知られています。この曲は、作曲家デイヴィッド・ペイチ、デイヴィッド・フォスター、そしてシェリル・リン自身によって作詞作曲されました。

そのお洒落で都会的なサウンドと力強いボーカルが特徴であり、この楽曲の魅力の中心に丸サ進行の存在があります。この進行は、曲の主要な部分で効果的に用いられ、リスナーに心地よいグルーヴと高揚感を与えています。実際に「Got To Be Real」のコード進行は、メジャーセブンスコードやドミナントセブンスコードが多用されており、これらが都会的で洗練された雰囲気を生み出す要因となっているのは間違いないでしょう。

1979年にはビルボードホット100で12位、ホットソウルシングルチャートでは1位を記録し、2005年にはダンス・ミュージックの殿堂入りを果たすなど、その音楽的功績は高く評価されています。この楽曲における丸サ進行の使い方は、単なる流行のコードをなぞるだけでなく、シェリル・リンの圧倒的な歌唱力と相まって、楽曲が持つ「リアルな愛」というメッセージを力強く、そして魅力的に表現するための重要な要素として機能しています。

Emotions(Mariah Carey)

マライア・キャリーの「Emotions」は、丸サ進行が持つ魅力を最大限に引き出した楽曲のひとつです。1991年にリリースされたこの曲は、R&B、ダンス、ポスト・ディスコ、ハウスいったさまざまなジャンルからの影響を色濃く受けており、特に1970年代のディスコミュージックであるThe Emotionsの「Best of My Love」からの影響が顕著であるとされています。

マライア・キャリーの広い声域とホイッスルボイスの存在感が強いですが、その根底にあるコード進行が楽曲全体のお洒落で高揚感あふれる雰囲気を生み出しているのです。実際に、サビやバース部分でFメジャーセブンスからEセブンス、Aマイナーセブンスへと続く進行が確認でき、これが丸サ進行の典型的な「4-3-6」の動きに該当します。この進行は、楽曲に心地よい浮遊感とループ感をもたらし、歌詞で歌われる「感情の起伏」を音楽的に表現しています。

丸サ進行に特徴的なセブンスコードの多用が、楽曲全体に都会的で洗練された印象を与え、マライア・キャリーの力強いボーカルと相まって、ディスコやR&Bのグルーヴ感を際立たせています。この「Emotions」における丸サ進行の存在感は、単なるコードの羅列に留まらず、マライア・キャリーの卓越した歌唱力と楽曲の世界観を支える重要な音楽的要素として機能していると言えるでしょう。

Virtual Insanity(Jamiroquai)

Jamiroquaiの「Virtual Insanity」は、丸サ進行(Just The Two of Us進行)が持つグルーヴィーでファンキーな魅力を最大限に引き出した楽曲の代表例と言えます。この曲は、1996年にリリースされ、その斬新なサウンドとミュージックビデオが世界中で大きな話題となりました。楽曲の核となるのは、丸サ進行が持つ都会的で洗練された響きと、トニックに解決しないことによる心地よい浮遊感です。これにより、曲全体に中毒性のあるループ感が生まれ、リスナーを自然とダンスへと誘います。

特に「Virtual Insanity」では、丸サ進行の特徴であるセブンスコードやテンションコードが巧みに使用されており、それがジャズやファンクの要素を強く感じさせる要因となっています。これらのコードが織りなす複雑でありながらも耳に残るハーモニーは、Jamiroquai特有の洗練されたグルーヴと相まって、楽曲に独特の世界観を形成しています。また、マイナーコードの響きが、曲が持つどこか皮肉でメッセージ性の強い歌詞の世界観に深みを与え、単なるダンスミュージックに留まらない芸術性を感じさせます。

この楽曲における丸サ進行の存在感は、単に流行のコード進行を取り入れるだけでなく、Jamiroquaiの音楽的個性を際立たせるための重要な音楽的要素として機能していると言えるでしょう。

thank u, next(Ariana Grande)

Ariana Grandeの「thank u, next」は、丸サ進行が持つポップでお洒落な魅力を存分に引き出した楽曲として知られています。この曲は、失恋を乗り越え、自己肯定へと向かうポジティブなメッセージが込められていますが、その音楽的な基盤として丸サ進行が重要な役割を果たしています。特に、曲のバースやコーラス部分でこの進行が効果的に使われており、楽曲全体に心地よい浮遊感と中毒性のあるループ感をもたらしています。

「thank u, next」における丸サ進行の存在感は、単に流行のコード進行を取り入れるだけでなく、Ariana Grandeの透明感のあるボーカルと、現代的なR&Bやポップスのサウンドプロダクションとが融合することで、より一層輝きを増しています。

丸サ進行の特徴であるセブンスコードの多用は、楽曲に都会的で洗練された印象を与え、歌詞で描かれる「自己成長」というテーマと見事に調和していると言えるでしょう。また、トニックに解決しきらない進行が、楽曲に次への展開への期待感や、終わりのないポジティブなエネルギーを感じさせ、聴き手を惹きつけます。この楽曲における丸サ進行の使い方は、ポップミュージックにおけるコード進行の力を示す好例です。

【初心者向け】ピアノやギターで丸サ進行を弾いてみよう


丸サ進行の理論や使われている楽曲を知ると、次は自分で演奏してみたくなるかもしれません。
一見すると複雑でお洒落な響きを持つため、初心者には難しく感じられるかもしれませんが、基本的なコードの形さえ覚えれば、ピアノやギターでも簡単に弾くことが可能です。
ここでは、楽器の経験が浅い人でも挑戦しやすいように、シンプルなコードの押さえ方を紹介します。
まずは簡単なフォームから始めて、この心地よい響きを自分の手で奏でる楽しさを体感してみてください。

ピアノで弾く場合の簡単なコードの押さえ方

ピアノで丸サ進行を弾く場合、まずはキーをCメジャーに設定し、「F△7→E7→Am7→Gm7→C7」のコードを練習するのがおすすめです。
初心者は、左手でコードのルート音(F→E→A→G→C)を単音で弾き、右手でコードの和音を押さえる方法から始めると良いでしょう。
例えば「F△7」は右手で「ラ・ド・ミ」、「E7」は「ソ#・シ・レ」といったように、構成音を3つに省略すると指の形が簡単になります。

最初はコードチェンジが難しく感じるかもしれませんが、ゆっくりとしたテンポで繰り返し練習することで、指がスムーズに動くようになります。
慣れてきたら、構成音を増やして本来の響きに近づけていくと、より深く楽しめます。

ギターで挑戦するときの基本コードフォーム

ギターで丸サ進行を演奏する場合も、キーCの「F△7→E7→Am7→Gm7→C7」から始めると分かりやすいです。

「E7」や「Am7」は、ギター初心者が最初に覚えるオープンコードに近く、比較的簡単に押さえられます。

一方で「F△7」や「Gm7」は、人差し指で複数の弦を押さえるバレーコード(セーハ)が必要になることが多いため、少し難易度が上がります。

しかし、全ての弦を鳴らさずに一部の音を省略した簡単なフォームも存在するため、まずはそちらから試すのもひとつの方法です。

コードチェンジの際は、次のコードへの指の動きを意識し、特にベース音の流れを滑らかにつなげる練習をすることが上達のポイントです。

丸サ進行でエモいコード進行を楽しもう

「丸サ進行」は、椎名林檎の楽曲「丸の内サディスティック」で使われたことから日本で広まったコード進行の俗称です。世界的には「Just The Two of Us進行」として知られています。

その構成はディグリーネームで「4361」または「IVmaj7→III7→VIm7→I7」と表され、理論的に理解することで様々なキーに応用可能です。また、「Fmaj7 →E7→Am7 →C7(Gm7 / C7)」と表記されることもあります。

このコード進行が持つ、セブンスコードを多用した都会的な響き、トニックに完全解決しないことによる浮遊感、そしてマイナーコードがもたらす切なさといった特徴が、多くのリスナーを惹きつけています.

近年のJ-POPヒット曲から洋楽の名曲まで幅広く使用されており、初心者でもピアノやギターで挑戦できる普遍性も魅力のひとつです。ぜひ、実際に丸サ進行を演奏してみて、そのエモいグルーヴを体感してみてください。

NAYUTAS(ナユタス)は、ボイトレから楽器演奏まで幅広く音楽を学べるミュージックスクールです。丸サ進行を使ったさまざまな名曲を演奏してみたい、丸サ進行を使った楽曲を作曲してみたいなど、受講者の希望に合わせたレッスンを受けられます。まずはお気軽に、NAYUTASの無料体験に足を運んでみてください。