ボイトレで正しくデスボイスを習得しよう!間違ったやり方は危険!?

ボーカリストが、あの特殊なタイプの声で低音を鳴らしたり、高音を響かせたりしている姿を見ると、声の魔術師のように思えてきます。
そんなデスボイスですが、ボイトレでしっかりトレーニングを積めば、誰でも出せるようになるんですよ。
海外では、デスボイスで地鳴りのような低音を響かせる女性アーティストもいます。
しかし、デスボイスは難易度の高いテクニック。
正しい方法でトレーニングをしなければ、喉を痛めてしまう危険性も伴います。
そこで今日は、デスボイスの正しいボイトレ方法と注意点などについて解説していきます。
デスボイスが人気を集めている理由とは?
デスボイスは一部のヘヴィメタル愛好者だけのものと思われがちですが、実際には世界中で幅広い層から支持を集めています。その理由は、単なる叫び声ではなく強烈な表現力を持ち、ジャンルを超えて音楽に新たな魅力を与えるからです。ここでは人気の背景を3つの観点から解説します。
迫力ある表現力で観客を圧倒できる
デスボイスの最大の魅力は、圧倒的な迫力と独特の重厚感です。
通常の歌声では表現しきれない怒りや激情、絶望といった感情を直接的に伝えることができ、聴く人に強烈なインパクトを残します。
ライブパフォーマンスでは観客を一気に惹き込み、会場全体を熱狂させる力を持っています。こうした非日常的なエネルギー体験が、多くの人々を惹きつけてやまない理由のひとつです。
ジャンルを超えて幅広く使われている
デスボイスはデスメタルやデスコアを中心に使われてきましたが、近年ではスクリーモやハードコア、さらにはポップスやアニメソングにまで広がっています。
アーティストによっては曲中の一部にデスボイスを取り入れることで、楽曲全体にアクセントを加え、意外性や迫力を演出しています。
ジャンルを超えて幅広く使われることで、多様なリスナーに受け入れられやすくなり、その結果「人気のある発声法」という地位を確立しています。
自己表現の幅が広がり個性を出せる
通常の歌唱では再現できない声質を身につけられることも、デスボイスが人気を集める理由です。
特に若い世代を中心に「人と違う歌い方をしたい」「自分らしいスタイルを確立したい」と考える人にとって、デスボイスは強力な武器になります。
声を歪ませたり低音や高音を極端に使い分けることで、自分だけの表現を生み出せるのも大きな魅力です。
その結果、デスボイスは音楽的な個性を際立たせる手段として、多くのボーカリストに選ばれています。
デスボイスをマスターするためにはボイトレ必須

デスメタルやブラックメタル、ハードコア系のジャンルでよく使われる発声法ですね。
主に低音域で発声し、メロディを歌わず叫び声で音楽を表現しています。
そして、高音域のシャウトというテクニックもありますが、シャウトは音程やメロディにのせて高い声で叫びます。
しかし、シャウトはデスボイスとは少し種類が異なるので覚えておきましょう。
デスボイスは、ボイトレで習得することができますが、正しいトレーニングをしなければ喉を痛める危険性が高くなってしまいます。
ボイトレの先生の中には、デスボイスはおススメできない、という人もいますが、一方で、デスボイスを専門に教えいているボイストレーナーもいますし、もちろん一般のボイトレスクールにも対応してくださる先生はいらっしゃいます。
正しい方法でデスボイスを習得したい人は、ボイトレスクールを検討してみるのもよいでしょう。
デスボイスの種類とボイトレの前準備
デスボイスには、いくつもの種類があります。
大きく見ると、
・仮声帯を使うフォールスコードスクリーム
・喉を閉めて発声するフライスクリーム
この2種類に分けられます。
それ以外には、
・グロウル
・グラント
・ガテラル
・スクリーム
などがありますが、他にも挙げだしたらキリがないほど、とにかく種類が多いのがデスボイスの特徴です。
しかし、その違いは何かといえば曖昧で、声質、音質、音域、声の出し方、国やジャンルなどで呼び方が変わってきます。
そして、それらの総称を日本ではデスボイスと呼びます。
デスボイスは種類によってボイトレ方法が大きく変わってくるので、自分が出したい声はどの種類の声なのか、確認しておきましょう。
また、ボイトレの基礎となる腹式呼吸はどの種類のデスボイスにも必要です。
デスボイスのボイトレの前に、腹式呼吸のトレーニングをして準備をしておきましょう。
余談ですが、デスボイスは、ジャンルのイメージからもdeath「死」の声と思われがちですが、本当はディストーションボイスの略です。
ちなみに、ディストーションは歪みを現します。
ボイトレを始める前に知っておきたいデスボイスの注意点

間違ったトレーニングは、喉を痛めるだけでなく、喉のポリープなどを誘発する危険性もあります。
そうなると、歌を歌えなくなってしまいますので注意してくださいね。
特に初めてデスボイスにチャレンジする方は、しっかり情報を見極めてからボイトレを始めましょう。
注意点①長時間の練習は絶対NG
デスボイスは声帯周辺の筋肉に少し負担がかかる歌唱法です。
そのため、正しい発声法で歌えるようになるまでは、長時間の練習は避けましょう。
また、身体のコンディションを整えることも大切になってきます。
特に喉、首、肩などの状態を整えながら、少しずつ練習を進めていきましょう。
注意点②ウォーミングアップは必ず行う
デスボイスで歌うときは、必ずウォーミングアップをしましょう。
ライブの本番前はもちろんのこと、ボイトレの前でも、友人とのカラオケであってもウォーミングアップは必須です。
ウォーミングアップのやり方は、このあとご紹介するのでチェックしてくださいね。
ウォーミングアップについては下記でより詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
【声が出しづらい朝に!】ウォーミングアップ3選でスッキリ発声しよう!【NAYUTAS(ナユタス)岡山校】
注意点③水分補給と喉のケア
しつこいですがデスボイスは、喉に負担がかかりやすいです。
水分補給や喉の保湿には十分に気をつかいましょう。
のど飴やはちみつで喉のケアをすることも忘れないでくださいね。
デスボイスの前のウォーミングアップをボイトレに取り入れよう

ボイトレのメニューに組み込んで、ボイトレの前にもぜひ活用してください。
首のストレッチ
首のストレッチをして喉元をほぐし、温めてリラックスさせます。
① 首をゆっくり回す
② 上を向き首の前の筋肉を伸ばす
③ 上を向いたまま頭を横に傾けて首の左右の筋肉を伸ばす
④ 首や鎖骨周辺を優しくマッサージする
首周りがリラックスすると、喉のあたりが温まり喉も開きやすくなります。
喉のと舌根のストレッチ
① 身体をリラックスさせる
② 口をあくびの形にして喉を広げる
③ そのまま舌根を前に出してキープする
④ 数回繰り返す
喉をほぐすと発声や発音がよくなります。
肩のストレッチ
① 肩に手をおきます
② その状態で内側から外側に腕を回す
③ 次は外側から内側に反対回しする
歌うときは身体がリラックスして、喉が開いていることが大切なポイントです。
丁寧なストレッチをして、身体をしっかりほぐし余分な力を抜いておきましょう。
デスボイスのボイトレ方法

・フォールスコードスクリーム
・フライスクリーム
この2種類のボイトレですが、無理をせずゆっくり進めていきましょう。
フォールスコードスクリーム発声方法
① 息をたっぷり吐きだしながら地鳴りのような音を出し仮声帯を振動させる
② 口を開きすぎずにすぼめる
③ お腹を使って強く吐き出す
このとき、声がはっきりとでていなくても大丈夫です。
まずは、息を吐くこと、お腹を使うことを意識しましょう。
また、口の形も大切になってきます。
大きく開かず、すぼめて行うのがポイントです。
フォールスコードスクリームのボイトレでは、仮声帯を振動させる感覚を知るのが難しいところ。
ボイトレに通っていない方は、動画やブログで仮声帯を振動させるコツや感覚をつかむ練習をしてみてください。
また、このボイトレでは大量の息を吐くことが必要になってきます。
腹式呼吸を使う必要があるので、腹式呼吸のトレーニングも併せて行いましょう。
息を吐くトレーニングもおススメです。
フライスクリームの発声方法
フライスクリームは、フォールスコードスクリームよりも喉に負担がかかりやすいので、長時間の練習は控えましょう。
① エッジボイスを出す
② エッジボイスから裏声に持っていき叫ぶように発声をする
このとき、声帯は軽く閉じた状態にするのがポイント。
そして、エッジボイスのガラガラ感を感じられればOKです。
エッジボイスとは
エッジボイスは、声帯を閉じた状態で出す声のことです。
エッジボイスで発声すると「あ゛あ゛あ゛あ゛」という、ガラガラ声が出ます。
エッジボイスを使ったトレーニングをすると、喉が鍛えられ声量や音程が安定したり、声に張りが出るなどの効果があります。
エッジボイスはデスボイスには欠かせません。
ぜひ、マスターしておきましょう。
ファルセットのトレーニング
デスボイスは、喉を開いた状態で歌うので、エッジボイスと共にファルセット(裏声)を習得しておくとよいでしょう。
ファルセットを習得するためには、ハミング(鼻歌)の練習がおススメです。
① 口を閉じて鼻歌を歌う
② 少しずつ声を高くしていき、地声から裏声になるポイントを見つける
腹式呼吸で歌うこと、喉をリラックスさせることを意識してみてください。
また、途中で喉が力んでしまわないように注意しましょう。
下記では喉のケアについてを掘り下げていますので、デスボイスに興味のある方は併せてご覧ください。
ボーカリスト必見!喉に良い飲みもの & 喉ケアアイテム12選
デスボイスに対するよくある誤解と真実
デスボイスは「危険」「特殊な才能が必要」「一部の音楽ジャンルにしか使えない」といった誤解を持たれやすい発声法です。しかし、実際には正しい方法で練習すれば安全に習得でき、多くの人が取り入れられる技術でもあります。ここでは代表的な誤解を3つ取り上げて、正しい理解を解説します。
デスボイスは喉を壊すだけの危険な発声?
「デスボイス=喉を壊す」というイメージは根強いですが、それは誤解です。
確かに自己流で無理に叫び続けると声帯に負担がかかり、炎症や声枯れを起こす可能性があります。しかし、実際のデスボイスは声帯ではなく仮声帯を振動させて発声するため、正しい練習を行えば声帯を酷使する必要はありません。
むしろ腹式呼吸やリラックスを重視する発声法なので、通常の歌唱よりも喉に優しいケースもあるのです。大切なのは「正しいフォームを理解して少しずつ練習すること」であり、それさえ守れば危険な発声ではありません。
才能のある人しか出せない特殊な声?
「デスボイスは一部の人しか出せない特殊な才能だ」と思われがちですが、これも誤解です。
デスボイスは声帯の仕組みを利用した技術であり、特別な喉を持つ人だけができるものではありません。もちろん習得には時間がかかりますが、正しい練習を続ければ誰でもある程度は習得可能です。
実際に初心者が基礎からトレーニングを積み、数か月で安定したデスボイスを出せるようになった例も少なくありません。「才能」ではなく「方法と練習」が鍵であり、正しい知識さえあれば幅広い人が身につけられる技術なのです。
デスボイスはデスメタル以外では使えない?
デスボイスは「デスメタルだけの発声法」と思われがちですが、実際にはさまざまな音楽ジャンルで活用されています。
デスメタルやデスコアはもちろん、スクリーモ、ブラックメタル、ハードコアなど幅広いシーンで取り入れられており、ジャンルごとに使われ方も異なります。
低音のグロウルや重厚なガテラルはヘヴィなサウンドを支え、高音のフライスクリームは鋭い叫びとして楽曲の迫力を増します。
このように、デスボイスは特定の音楽に縛られず、表現力を高めるための有効な技術として多彩なジャンルで使われているのです。
デスボイスを体感できる洋楽の代表曲
デスボイスをまだ聴いたことがないとっては、文字で説明されるより、実際に楽曲を聞いた方がわかりやすいはずです。
そこでデスボイスを楽しめる楽曲をいくつか紹介します。ぜひ耳で体感し、「デスボイスとは?」の疑問を解消してください。
Arch Enemy – Nemesis
女性ボーカルが圧巻のデスボイスを披露する名曲。力強くも美しいメロディックデスメタルの代表です。
Slipknot – Duality
世界的に有名なバンド。デスボイスとクリーンボイスの切り替えが分かりやすく、初心者にも聴きやすい一曲です。
Bring Me The Horizon – Chelsea Smile
若い世代からも支持されるメタルコアの代表曲。鋭いデスボイスが曲全体に迫力を与えています。
【まとめ】
ボイトレで正しくデスボイスを習得しよう!間違ったやり方は危険!?

間違った癖がついてしまうと、修正するのに時間もかかってしまいますから、じっくり取り組んでいきましょう。
そして、無理は禁物。
カッコいいデスボイスで長く歌い続けるためにも、水分補給や喉のケアを忘れずに、バランスを整えてトレーニングをしてください。
デスボイスは危険な発声法と思われがちですが、正しく理解して練習すれば喉を壊すことなく習得できる技術です。種類や発声の仕組みを知り、無理をせず段階的に取り組むことで、迫力ある表現力を身につけられます。
「独学では感覚がつかめない」「効率よく学びたい」と感じた方には、専門のボイストレーニングを受けるのがおすすめです。プロの指導を受ければ、安全に、そして短期間で確実にデスボイスを習得できます。
ナユタスのボイトレスクールでは、経験豊富な講師が一人ひとりのレベルに合わせて丁寧に指導しています。無料体験レッスンも用意されていますので、この機会にぜひチェックしてみてください。
デスボイスとは?についてのよくある質問(FAQ)
デスボイスに興味を持った初心者からは、安全性や練習方法、音楽ジャンルとの関係についてよく質問が寄せられます。ここでは代表的な疑問に答えていきます。
Q1:デスボイスは喉を痛める危険はありませんか?
A1:正しい発声法で練習すれば喉を大きく痛めることはありません。デスボイスは仮声帯を使う発声で、声帯への負担は少ないとされています。ただし、無理に大声を出したり長時間練習したりすると声枯れや炎症につながるため、喉に違和感を感じたら休養をとりましょう。
Q2:初心者でも独学でデスボイスを習得できますか?
A2:独学でも可能ですが、感覚をつかむまでは時間がかかります。間違った方法で続けると喉を壊すリスクもあるため、参考書や教材を活用したり、可能であれば専門のボイストレーナーに学ぶのがおすすめです。プロの指導を受ければ、安全かつ短期間で習得できるでしょう。
Q3:デスボイスはどんな音楽ジャンルで使われていますか?
A3:デスボイスはデスメタルやデスコアなどのヘヴィメタル系で特に多用されます。さらにブラックメタルやスクリーモ、ハードコアといったジャンルでも活躍し、低音のグロウルや高音のスクリームなどを使い分けることで楽曲の迫力を高めています。