ボイトレの基礎ドッグブレスで安定した歌声を手に入れよう!
ボイトレにおいて大切な腹式呼吸。正しい腹式呼吸を使えていれば、大きな声が出たり、安定感のある声を出せます。
逆を言えば、声が小さい、安定感がなく声が震えてしまう、という人は呼吸をコントロールできていないのかもしれません。
腹式呼吸は、発声をするための土台のようなもの。
土台がしっかりしていなければ、どんなボイトレをしても効果を発揮できず、上達スピードも遅くなってしまいます。
そこで今回は、腹式呼吸の練習になるドッグブレスという、ボイトレの基礎練習法をご紹介します。
ドッグブレスは、腹式呼吸に必要な横隔膜の動きを柔軟にしたり、お腹の筋肉を強化する効果もあるので、ぜひチャレンジしてみてください。
ボイトレの基礎ドッグブレスはどんなトレーニング?
ドッグブレスは、息を吐くための練習です。
名前のとおり、犬のように口を開けて「ハッハッハッ」と短く鋭い呼吸をするのが特徴で、歌のためには欠かせないボイトレです。
なぜ欠かせないのか。
ドッグブレスは腹式呼吸をするために必要な横隔膜を鍛えるからです。
ボイトレに腹式呼吸はマストですよね。
しかし、わたしたちは普段、胸で呼吸をする胸式呼吸で生活していることがほとんどで、腹式呼吸を習得するためには少しコツが必要です。
また、声が小さい、安定しないのは、呼吸をうまくコントロールできていないから。
そして、息をコントロールするためには、腹式呼吸のときに使う横隔膜やお腹周りの腹筋を鍛える必要があります。
ドッグブレスは、横隔膜を動かす練習になり、上達してくると横隔膜を自分の意志で動かせるようにもなります。
すると、発声が楽にできるようになったり、身体や喉の余分な力が抜けて声も安定してきます。
ドッグブレスは、腹式呼吸のコツをつかみ発声を安定させるのに最適なトレーニングなのです。
ボイトレにドッグブレスを取り入れたらどんな効果があるのか
ドッグブレスを行うと、腹式呼吸がしやすくなるだけでなく、息がしっかり吐けるようになります。
息がしっかり吐けるということは、声も通りやすくなるということ。
つまり、声量アップの効果もあるのです。
この他にも、嬉しい効果が盛りだくさん。
ひとつずつ見ていきましょう。
呼吸をコントロールして安定した声が出る
先ほどもご説明したとおり、声が小さい、安定しないなどの悩みは呼吸が不安定なことにあります。
ドッグブレスで横隔膜を鍛え、腹式呼吸で呼吸をコントロールできるようになると、安定感のあるロングトーンや声をうまく揺らすなど、歌の表現にもつながります。
また、深い呼吸ができるようになると、息が続かないなどの悩みも改善されるでしょう。
ピッチが良くなる
ドッグブレスに音階をプラスして練習をすると、歌の出だしのピッチが安定してきます。
ピッチとは、音楽用語で音の高さのことです。
例えば出だしの音が「ソ」だった場合、「ソ」の音でちゃんと歌えてはいるけれど、微妙に音が低いような気がしたり、高いような気がしたり。
なんとなくうまくハマらなかったな、という経験はありませんか。
それはピッチがズレているからです。
「ソ」を「ラ」の音で歌ったり「ソ」を「ファ」の音で歌う、これははっきり音程がズレていると分かるものですが、ピッチが合わないときは「ソ」の音だけれど微妙にズレている感覚があります。
ピッチが良いと、いきなり声を出してもブレることが少なく、「ソ」のど真ん中に近い音が出せます。
自分でも「キマッた!」と心地よく感じるでしょう。
カラオケやライブでも、出だしの音(声)が安定していると、とても上手に聴こえます。
一瞬で引き込まれる魅力的な歌も、やはり出だしの音が安定していることが多いです。
アタックがよくなる
ドッグブレスでは、音の出だしのアタックも良くなる効果があります。
アタックも音楽用語で、音の立ち上がりのことを言います。
出だしの音がくっきり明確であるということですね。
楽曲によっては裏声を使って弱々しく表現することもありますが、そうではない場合、出だしの声がぼんやりしているよりも、安定感のあるくっきりした声の方がやはり魅力的な歌に聴こえます。
ドッグブレスは、ピッチやアタックの練習でもあると意識してみましょう。
スタミナがつく
横隔膜やお腹周りの筋肉を動かすトレーニングは筋トレと同じですから、継続することで筋力がつきます。
最初は、普段使わない筋肉を使うので筋肉の疲労感がありますが、徐々に力がつくと、スタミナもつき、一曲歌いきったら疲れてしまうなんてことも減ってくるでしょう。
横隔膜を動かすための腹筋やインナーマッスルを鍛えられるのは、呼吸の練習だけです。
今日トレーニングを始めて明日結果が出る、というものではありませんが、正しい練習をしていれば確実に力はつくので、コツコツと積み重ねていきましょう。
メンタルが安定する
腹式呼吸をすると、精神を安定させる働きを持つセロトニンが分泌されます。
セロトニンは、別名「しあわせホルモン」とも呼ばれていて、自然とポジティブな気持ちが湧き上がってきたり、活動的になったりもします。
気持ちが安定するので、ボイトレの集中力も高まりますよ。
また、歌を歌うときは身体や喉がリラックス状態になっていることがポイント。
本番前の集中や緊張をほぐすのにも有効ですね。
ドッグブレス実践!実際にボイトレをしてみよう
ここではドッグブレスの実際のやり方をご紹介します。
コツをつかむまでは少し難しいかもしれませんが、マスターしてしまえばあらゆる効果が期待できるので、ぜひトライしてみてください。
どうしても感覚がつかめない、上手く行かない場合は、家族や知人に見てもらったり、ボイトレの先生に相談してみるのもよいでしょう。
ドッグブレスで息を吐く練習
① 口を半開きにします。力まず自然な力で開くのがポイントです。
② 小刻みに「ハッハッハッハッ」と息を吐きます。
③ 息を吐ききったら、また息を吸って「ハッハッハッハッ」と息を吐きます。
④ 30秒ほど繰り返しましょう。
このとき、呼吸に合わせてお腹が動いているか確認してみましょう。
もし動いていない場合でも、無理にお腹だけを動かさないでくださいね。
お腹は呼吸と連動していることが大事です。
うまく動かせないときは、ゆっくりで大丈夫。
まずは、呼吸をすると自然にお腹が動く感覚をつかみましょう。
呼吸とお腹が連動したら、手のひらを顔の前において、息が手のひらに届くように吐きます。
このとき、息を吐くことに意識を向けてください。
「ハッハッハッ」と強く短い息を連続的に吐けているかどうかがポイントです。
呼吸をしながらドッグブレス
次は、「ハッハッハッ」のリズムに合わせて呼吸をします。
「ハ」で息を吐いて「ッ」のタイミングで息を吸いますが、難しく考えすぎないでくださいね。
リラックスして「ハッハッハッ」と息を吐きながら呼吸することを意識すると、息を吐いたあと自然に息を吸うことができます。
イメージがつかみにくい人は、犬の呼吸を思い出して真似してみてください。
犬も小刻みに「吸って吐いて」を繰り返していますよね。
こちらも、最初はゆっくりから始めてみましょう。
基本をマスターしたら声をつけて
ドッグブレスの基本形ができるようになったら、今度は声を出してみましょう。
① 「ハッハッハッハッ」と、声に出してみます。小さな声で大丈夫です。
やり方は基本のドッグブレスと同じ。
息を吐ききったらまた吸って、30秒ほど繰り返します。
声と呼吸を合わせようとすると、お腹の動きがぎこちなくなることもありますが、コツをつかんでしまえば自然に合わせられるようになりますよ。
音階をつけてみる
今度は音階をつけてみましょう。
① 「ハッハッハッハッ」の呼吸に、「ドレミファソ」「ドミソミド」と音階をつけて発声します。
音階をつけるとピッチの練習にもなるので、一石二鳥ですね。
ドッグブレスをボイトレでするときのポイント
ここでは、ドッグブレスを行う際のポイントについてご紹介します。
ボイトレに限らずですが、練習はただやみくもに続けるだけではあまり効果が期待できません。
しっかり成果をだすためには、正しい練習方法である必要があります。
ドッグブレスのポイントを理解しておきましょう。
正しい姿勢
ドッグブレスは、正しい姿勢で行うことが大切です。
猫背で背中が丸まってしまうと、胸が閉じてしまうので空気を十分に送り込めなくなってしまいます。
姿勢の悪さは、呼吸や発声に影響してしまうので、猫背にならないように注意しましょう。
息の量を一定に保つ
ドッグブレスを続けていると、呼吸がブレてしまうことがあります。
息は、吐いた分だけ吸う。
これを基本にして、ムラが出ないように気をつけましょう。
もし疲れからムラが出てきたときは、無理せず休憩を挟むか、その日の練習は終わりにしましょう。
無理をしない
ドッグブレスを行うときは、無理をしないように注意してください。
あまり使わない筋肉をたくさん動かしますし、筋トレと同じとは言え呼吸の練習です。
長時間続けてしまうと、酸欠になってしまったり、立ちくらみや過呼吸になってしまう可能性もあります。
一度に長時間の練習をしない、休憩を挟みながら行うなど、自分のペースを知って無理をしないようにしてくださいね。
【まとめ】
ボイトレの基礎ドッグブレスで安定した歌声を手に入れよう!
ボイトレの基礎練習、ドッグブレスは、横隔膜を鍛えることで腹式呼吸がしやすくなり、深い呼吸ができるようになることで、声量がアップし、安定した声が出せるようになります。
呼吸や発声においては即効性が高いので、歌う前の基礎練習メニューにするのもよいですね。
腹筋やインナーマッスルについては、すぐ筋肉が強化されるわけではありません。
しかし、コツコツ続けていけば必ず力がついてきます。
横隔膜や腹式呼吸は歌を歌う上で欠かせない部分。
一時的にドッグブレスを行うのではなく、継続していけるようボイトレのメニューに取り入れてくださいね。