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歌う時の正しい姿勢をプロが解説!カラオケで歌うときのポイントも紹介

歌唱力向上を目指す上で、正しい姿勢は非常に重要です。姿勢は歌声に直接的な影響を与え、呼吸のしやすさや声の響き、安定性などにも関わります。この記事では、歌う時に意識すべき正しい姿勢や、カラオケで実践できる具体的な方法について詳しく解説します。

  • 歌が上手くなりたい
  • 歌う時にどのような姿勢で歌うのか知りたい
  • 歌う時の姿勢で注意すべきポイントを知りたい

上記に当てはまる人に役立つ情報を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

歌う時の姿勢の重要性


歌唱における姿勢は、単に見た目の問題だけでなく、声の質や安定性、さらには音楽表現にも深く関わっています。適切な姿勢をとることで、体の各部が連携し、自分の声のもつ魅力を最大限に発揮できるようになるでしょう。

当スクールの生徒さんにも、歌声に悩んでいた人が姿勢についての指導を受け、伸びやかで魅力的な発声ができるようになった事例がいくつもあります。プロが鏡の前で歌うのは、自分自身の姿勢をチェックするためでもあり、姿勢は音楽の基礎のひとつといっても過言ではないほど、重要な要素なのです。

姿勢が歌声に与える影響


歌うときに姿勢が崩れていると様々な問題が生じます。例えば、猫背のように背中が丸まっていると肺が圧迫され、呼吸が浅くなってしまいます。これでは、歌うときに必要な十分な息を吸い込むことが難しくなり、声量や持続力に影響が出ます。また、体の軸が不安定になることで、声帯への負担が増え、喉を痛める原因にもなるでしょう。

歌唱時に以下の問題を感じている人は、誤った姿勢が原因かもしれません。

  • 歌唱中に息切れしてしまう
  • 高音が発声しにくい
  • 声が伸びない
  • 歌唱後に喉に痛みを感じる

上記に当てはまる人は、自分自身の歌唱中の姿勢をチェックしてみましょう。

歌う時のNG姿勢


まずは、自分自身の姿勢が正しいのか誤っているのかをチェックするところから始めましょう。歌う時には、絶対に避けた方がいい2つのNG姿勢があります。自分が歌唱中にNG姿勢をとっている場合は、速やかに姿勢を改善してください。

猫背

歌う時に背中が丸まり猫背になってしまうと、喉が開きにくく、肺も充分に膨らみません。伸びやかな高音の発声がしにくくなり、肺が十分に膨らまないため呼気が足りず、歌唱中に息切れしてしまうこともあるでしょう。

また、猫背になる事で視線は下に向きやすく、発声した声が遠く響きません。自信がないように見えるため、ビジュアル的にも魅力をアピールしにくくなります。

反り腰

背中を大きく反った姿勢は一見すると、良い姿勢に見えるかもしれません。しかし、腰が反った状態では背骨同士が密集してしまい、背骨に接続する肋骨の動きも制限されてしまいます。肋骨が柔軟に動かないことで、肺の膨らみを阻害してしまい、大きく呼吸しにくくなってしまうこともあるでしょう。

また、大きな血管が多く通っている腰が不自然な体勢になっていると、良好な血液循環を妨げてしまうこともあります。血液が良好に循環しないことで、筋肉が硬くなりやすくなってしまうと、余計なりきみによって柔らかく伸びやかな歌声がでにくくなってしまうこともあるのです。

歌う時は動いてもいいの?


歌う時の姿勢については、さまざまな意見があります。なかでも、歌唱中の姿勢と動きについては、指導者によって意見が割れることも珍しくありません。

さまざまな指導方法や意見がありますが、当スクールでは自然体で伸びやかに発声するためにも「動いてもよい」という指導をすることが多いです。もちろん、生徒さんの状態を見ながら指導しますが、歌う時の基本的な姿勢さえ崩れなければ、動きながら歌うことで筋肉をしなやかに使うことができるようになります。

しなやかで力みの少ない状態で歌唱することで、本来の伸びやかな歌声を魅力的に響かせることができるのです。

ただし、良い姿勢を体が覚えていないうちは、動かずに歌う方がよいと指導する場合もあります。良い姿勢を体に覚え込ませることで、動いた時でも歌唱に適した姿勢が自然と取れるようになるでしょう。

動きながら歌うのかは、自分自身の歌唱レベルによっても異なります。まずは、自分自身が現状、正しい姿勢を取れているのかどうかをボイストレーナーなどにチェックしてもらい、そのうえでアドバイスを受けるのが最も効果的です。

歌う時の正しい姿勢


歌う時に良い声を出すためには、正しい姿勢を意識することが大切です。正しい姿勢は、自分の歌声が持つ魅力を最大限に引き出すための基盤となります。正しい姿勢を理解し、普段から歌唱時に姿勢へと意識を向ける習慣をつけましょう。

立つ場合の体の使い方

立つ場合の正しい姿勢として、以下のポイントに気を付けましょう。

  • 足を肩幅に広げる
  • 体の重心を土踏まずの中央よりやや前方にかける
  • 背筋をまっすぐ伸ばす
  • 腰を反りすぎないする
  • 肩の力を抜き、両腕は自然に体の脇に垂らす

上半身のりきみを落とすには、手を組んで頭上に伸ばした後に一気に脱力してみてください。急激に力を抜いて、何の抵抗も感じなくなった状態こそ、十分にりきみが取れたリラックス状態と言えます。上半身はリラックスしつつ、背骨が一直線になるように意識しましょう。鏡を見て姿勢をチェックすると、背骨から足先まで一直線になっているのか判断しやすいですよ。

座る場合の体の使い方

座って歌う場合も、基本的な考え方は立つ場合と同様に、体の軸を意識することが重要です。座って歌うときは、以下のポイントに気を付けてみてください。

  • 骨盤を立てて座る
  • 背筋を自然に伸ばす
  • 上半身はリラックスさせる
  • 重心は座面にしっかりと置き、体幹を使って上半身を支える意識を持つ

座って歌うと、立っているときに比べて重心が安定するため、深い呼吸がしやすくなる場合があります。一方で、骨盤を立てて座っていないと猫背になりやすいため、座って歌う時には重心の置き方に注意が必要です。

骨盤のうえに背骨が乗り、さらにその上に背骨がいくつも詰みあがっているイメージを持ちましょう。沈みやすいソファなどでは、姿勢が崩れがちなので特に注意してください。

正しい姿勢で歌う5つのメリット


正しい姿勢で歌うことには、歌唱に関する様々な面に良い影響を与える効果が期待できます。正しい姿勢によって身体のメカニズムを最大限に活かすことで、より質の高い歌声を目指すことができるでしょう。

具体的には、正しい姿勢で歌うことで以下の効果が期待できます。

メリット1.スムーズな呼吸

正しい姿勢をとることで、肺を圧迫することなく広げられるため、スムーズで深い呼吸が可能になります。十分に息を吸い込み、安定して吐き出せるようになることで、声の持続力が向上し、長いフレーズも息切れすることなく楽に歌えるようになります。

メリット2.声の安定と声量アップ

体の軸が安定し、体幹を使えるようになることで、声がブレにくくなり安定感が増します。また、腹式呼吸が効果的に行えるようになるため、より多くの息を声に変換でき、声量アップにも繋がります。

メリット3.音程の向上

呼吸が安定すると、声を支える息の流れが一定になり、音程を正確にとりやすくなります。姿勢を意識するだけで、音程のふらつきが改善されることもあります。

当スクールで指導している際、音程を外してしまいやすい生徒さんの多くは姿勢の指導から始めます。「上手く歌おう」「テクニックで音程を合わせよう」とする前の土台となるのが姿勢です。そのため、歌唱中の姿勢を指導するだけでも、歌唱レベルが上がる生徒さんは多くいらっしゃいます。

メリット4.高音の発声

正しい姿勢をとることで喉が開きやすくなり、声帯が自由に振動できる環境を作ります。これにより、無理なく高音を出すことができるようになるでしょう。姿勢がよく充分な呼気を送り出すこともできるため、裏声も出しやすくなります。

メリット5.喉への負担軽減

姿勢が整うことで、喉や肩、首などの余計な力が抜けるため、喉を柔軟に動かしやすく負担が軽減される効果も期待できます。また、余計なりきみが抜けることで、長時間歌っても疲れにくくなる効果も期待できるでしょう。

カラオケで歌う時はどんな姿勢がいいの?


カラオケで歌う時にも、立つ時の姿勢、座る時の姿勢で気を付けるポイントは特に変わりません。ただし、カラオケという空間特有の状況に注意が必要です。

1つ目は、柔らかいソファに深く腰掛けないことです。
カラオケのソファは柔らかい材質のものが多く、深く腰かけるとお尻が沈んでしまい、座った時に重心が後ろに傾き、猫背になってしまいやすい傾向にあります。カラオケで座って歌う時には、ソファに対して浅く腰掛け、骨盤を立たせることを意識しましょう。

2つ目は、モニターの位置に注意することです。
立って歌う際、カラオケのモニターは自分の目線よりも低い位置にあることが多いでしょう。そのため、モニターを見ながら歌っていると視線が下がりやすいです。顎を引き過ぎたり、猫背になってしまったりする人も多いので、視線を下げ過ぎないように注意してください。

出来れば、モニターを見ずに歌えるとよいですが、歌詞や音程をチェックしながら歌いたい場合はなるべくモニターから離れた位置に立つと視野が広がり、視線が下がりにくくなるのでおすすめです。

歌う時の姿勢は基本中の基本!正しい姿勢をマスターしよう

今回は歌う時の姿勢について解説しました。何となく「まっすぐ立っていればいい」と思っていた人も多いでしょうが、声という人間の器官を用いて奏でる音楽だからこそ、体の仕組みを理解し、理にかなった姿勢をとることが大切です。
姿勢ひとつにも気を付ける点は多くあるため、歌唱力やテクニックを磨く前に基本の姿勢から正していきましょう。

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