喘息でもボイトレをすれば歌は上達する?喘息持ちのわたしの体験談
喘息は、とても苦しいものです。
発作が起きているときは、激しい咳や息苦しさで、眠ることも、横になることもできず、発作が治まるまでひたすら耐えるしかありません。
大きな発作がなくても、日常生活の中の少しの刺激でぜえぜえしたり、息苦しさを感じたり、常に発作の不安がつきまとうこともあります。
わたしも喘息持ちで、子供の頃は、入退院を繰り返すほど症状がひどく、喘息の方の気持ちや苦しさがよく分かります。
そして、音楽が大好き、歌うことが大好きで、ステージで歌いたいという憧れがありました。
でも、息苦しさを少しでも感じると、歌を歌うなんてもってのほか。
歌う気力も奪われてしまいますよね。
喘息の人の中には、かつてのわたしのように、歌が好きでライブで歌ってみたい、カラオケで思いきり歌いたい、という人もいるでしょう。
しかし「喘息で息が続かない」「ボイトレもしてみたいけれど、喘息でも上達するのかな」と、不安になり、半ばあきらめモードになっていませんか。
そこで今回は、喘息の方のボイトレ事情についてお話していこうと思います。
人によって、喘息の重症度が違うので、すべての人に当てはまることではありませんが、少しでも参考になれば幸いです。
喘息持ちでもボイトレはできるのか

喘息の人でも、ボイトレはできますし、歌は歌えます。
実際に、喘息持ちの歌手や声優さんも多くいらっしゃいます。
ASUKA(CHAGE and ASUKA)
元AKB48高橋みなみ
テレサテン
TERU(GLAY)
はいだしょうこ
などの有名人が喘息で、ASUKAさんはステージの上でも吸入薬を吸っているという話があります。
また、極楽とんぼ加藤浩次さんも喘息です。
加藤浩次さんは歌手ではありませんが、朝の情報番組で長年、声を使う仕事をしていますね。
高橋みなみさんも、歌って踊る激しいパフォーマンスを見せていますし、TERUさん、ASUKAさんにしても、ステージに立つときはアスリート並みの気力、体力が必要なはず。
他にも、喘息持ちのオペラ歌手の方を知っています。
発作の時はさすがに歌えないと話していましたが、普段はずば抜けた声量、声の響きの美しさを高く評価されているんです。
喘息でもプロの歌手として活躍している人がいることは、希望になりますよね。
喘息だからといって歌を諦める必要はなく、ボイトレもできるわけですから。
しかし、喘息は重症度が人によって変わりますし、発作を誘発する原因も人それぞれに違います。
ボイトレを始める前は、医師に相談してみるのがよいでしょう。
また、ボイトレの講師にも喘息であることをきちんと伝えておくことで、あなたに合わせた無理のないレッスンをすることができます。
喘息で声が枯れやすい理由
喘息を持っている人の中には「すぐ声がかすれる」「歌うと喉が痛くなる」といった悩みを抱える方も少なくありません。
実は、喘息そのものだけでなく、治療薬や呼吸のクセが声枯れの原因となっているケースもあり
ます。
特に以下の3つの理由が大きいです。
- 喘息と声帯の関係
- 吸入ステロイドによる声枯れのリスク
- 喘息の発作が声に与える影響
それぞれ詳しく見ていきましょう。
喘息と声帯の関係
喘息は気道に慢性的な炎症が起こる病気で、呼吸の通り道が狭くなりやすい特徴があります。
その影響で、呼吸時に声帯周辺の粘膜が乾燥し、炎症を起こしやすくなります。特に発作の後は、息苦しさから呼吸が浅くなり、発声のときに必要な空気をうまくコントロールできなくなることも。
結果として、声が枯れたり、かすれ声になったりしやすくなるのです。
吸入ステロイドによる声枯れのリスク
喘息治療で使用される吸入ステロイド薬は、気道の炎症を抑える一方で、喉や声帯の粘膜に残ると炎症や乾燥を引き起こすことがあります。
これは「ステロイド嗄声(かせい)」と呼ばれ、医療現場でもよく知られている副作用の一つです。
吸入後にうがいや水で口をすすぐことで予防できますが、これを怠ると声帯がダメージを受け、声質の低下や発声時の違和感を感じる人もいます。
参考:J-STAGE・吸入ステロイド薬の副作用である嗄声発現の要因解析
喘息の発作が声に与える影響
発作が起きると、気道の筋肉が収縮し、十分に息を吸い込めなくなります。
この状態では、発声に必要な空気の圧力が安定せず、声が震えたり、途中で途切れたりすることがあります。
また、発作後に咳が続くことで声帯が擦れ、炎症を悪化させるケースもあります。
頻繁な発作を繰り返すと、声の調子が戻りにくくなることもあるため、日常的な発作コントロールが声の健康維持にも重要です。
喘息だとボイトレや歌にどんな影響がでるのか

喘息の人の特徴は、呼吸が浅いことです。
特に、息を吐くことがうまくできません。
肺活量が少ないんですよね。
わたしも、20代の頃に肺活量検査をしたとき、息を長く吐くことができず、肺年齢は70歳という結果に。
ショックすぎました。
また、咳喘息の場合、咳が長く続くことで声帯が傷つき、声が出しにくくなることがあります。
大きな声で歌ったり、話したりするだけで咳き込んでしまうことも。
咳が出はじめると、歌い続けることはできなくなります。
ほかにも、
・発音がしにくい
・ロングトーンが続かない
・ピッチが取りにくい
・声量が弱い
・声が細い
・痰が絡んでしまう
など、個人差はありますが喘息がボイトレにもたらす影響はさまざまあります。
しかし、普段体調が良いときは、何の問題もなく歌える、という人もいましたから、本当に人それぞれなんですね。
薬の副作用で声が枯れる
喘息の人の中でよく聞くのが、吸入薬を使うと声が枯れるという話。
実際、吸入薬の中には、副作用で声枯れする薬があります。
薬の使用後は、うがいをすれば声枯れの予防になると説明はあるものの、実際、声枯れに悩む人も多いです。
この場合、医師に相談すれば薬を変えてもらうこともできますが、この声枯れを改善するために、ボイトレが役立つこともあります。
喘息でもボイトレで歌は上達する?わたしの体験談

ボイトレでは、呼吸法や発声法のトレーニングをします。
それが、声枯れの改善につながった人のブログを拝見しました。
また、わたしの場合、呼吸のための筋肉を鍛えたり、ストレッチをすることも、健康のための体力作りになっていると感じていました。
子どもの頃は、肺活量を鍛えるために水泳をすすめられていたので、ボイトレで肺活量を鍛ることも、水泳と同じ効果があるのではと、期待していましたね。
ただ、肺活量については、わたしはあまり成果が出せず。
しかし、ボイトレで肺活量がアップしたという方のブログもあったので、期待はできるでしょう。
わたしは、肺活量が増えず、声量は常に課題でしたが、音域が広くなったり、声の響きや伸びが良くなるほか、上達を感じられる部分もたくさんありました。
練習を重ねれば、少しずつできることが増えていきます。
結果的には、ボイトレ以外にもバンドを組んでライブに出演、合唱にも参加するなど、歌を楽しむことができました。
喘息も個人差があるので注意
しかし、何度も言いますが喘息の重症度も、喘息を引き起こす要因も人それぞれです。
わたしは、大人になってからは、体調が良ければ軽い運動程度なら問題なくできていましたが、人によっては少しの負荷や運動でぜえぜえしてしまうこともありますよね。
歌を一曲歌うと、発作が出てしまうなんてこともあるでしょう。
肺活量トレーニングも同じで、苦しさを感じるなら無理に続けるのは危険です。
医師に相談しながら、また、自分の体調を見ながら正しい判断をしてくださいね。
喘息をコントロールしてボイトレを楽しむ

喘息は、薬や日々の生活の仕方で症状をコントロールすることができると言われていますよね。
喘息の発作が起きやすい環境をいちばん分かっているのも、自分自身。
たとえば、
季節の変わり目
気温の変化(寒暖差)
アレルギー物質
煙草の煙
ストレス
など。
気を付けていても外からの刺激に反応して発作が起きてしまうので、どうしようもない時もありますが、ボイトレを続けるためには、自分に合った対策を取りながら体調管理をしていくことも必要です。
また、個人的には、喘息だということを気にし過ぎないことも大事だと思っています。
気にしすぎたり、不安がふくらむと、ストレスがかかり、発作を起こしてしまうこともあり得ますよね。
また、喘息ばかりにフォーカスすると、ボイトレをすることに自信をなくしてしまいます。
高橋みなみさんも、AKB48時代はダンスをしながら喘息の発作が起きないか不安になったこともあったそうですが、今は喘息とのうまい付き合い方を見つけることができたと話ていました。
わたしも、「喘息がなければ好きなことをもっと思いきり自由にできるのに」と、病気を嘆いた時期もありましたが、今はやりたいことは何でもチャレンジしています。(不安があるものは医師に相談しています)
参考:独立行政法人環境再生保全機構 ERCA・ぜん息児へのエール|51号|WEB版すこやかライフ
声が枯れたときのNG行動
喘息を持っている人が声を枯らしたとき、自己流のケアでかえって喉を悪化させてしまうことがあります。
特に、発作を起こしやすい人は喉や気道がデリケートなため、間違った対処法が症状の長期化につながることも。
特に喘息持ちの方がやりがちなNG行動として以下が挙げられます。
- 無理に声を出し続ける
- 喉スプレーやトローチを使いすぎる
- 発作時に深呼吸練習をする
それぞれ詳しく解説していきましょう。
無理に声を出し続ける
「仕事だから」「練習だから」と、声がかすれていても発声を続けるのは危険です。喉の粘膜が炎症を起こしている状態で無理に声を出すと、声帯の表面にさらに負担がかかり、回復が遅れる原因になります。
特に喘息の人は、呼吸が浅くなりやすく、声を出すために必要以上に喉を締めてしまう傾向があります。こうした状態が続くと、慢性的な声枯れ(嗄声)に発展することもあるため、痛みや違和感を感じたら、しっかり休ませることが大切です。
喉スプレーやトローチを使いすぎる
喉の痛みをやわらげるために、スプレーやトローチを頻繁に使用する方もいますが、使いすぎは逆効果になる場合があります。殺菌作用の強い成分が喉の粘膜を刺激し、乾燥を悪化させることがあるためです。
喘息を持つ方の場合、もともと気道が敏感なため、薬剤の成分で咳や違和感を感じることもあります。喉を潤す目的なら、加湿やこまめな水分補給の方が安全で効果的です。
発作時に深呼吸練習をする
「呼吸を整えよう」と思って深呼吸を試みても、発作中に行うのは危険です。発作時は気道が狭くなっており、無理に息を吸い込もうとすると余計に喉が締まり、咳を誘発することもあります。
ボイストレーニングで学ぶ呼吸法は、あくまで症状が落ち着いている時期に行うもの。体調が不安定なときは安静を優先し、医師の指導のもとで練習を再開するようにしましょう。
喘息の人が声枯れを防ぐための生活習慣
喘息を持つ人は、気道や声帯が敏感なため、ちょっとした環境の変化でも喉を痛めやすい傾向があります。
普段の生活を少し見直すだけでも、声の調子を大きく改善できることがあります。
ここでは、喘息持ちの方が意識したい3つの生活習慣を紹介します。
- 加湿と温度管理で喉を守る
- 食生活で炎症を抑える
- 睡眠とストレスケアで呼吸を整える
それぞれ詳しく見てみるとしましょう。
加湿と温度管理で喉を守る
喘息持ちの人にとって、乾燥した空気は最大の敵です。湿度が低いと喉の粘膜が乾燥し、炎症を起こしやすくなります。加湿器を使って室内を50〜60%に保つのが理想的です。
また、冷暖房の風を直接浴びるのも避けましょう。エアコンの風は気道を刺激し、喘息の発作や咳を誘発することがあります。特に就寝中は、枕元に濡れタオルを置くなどして喉の潤いを保つことが効果的です。
食生活で炎症を抑える
喉の炎症を和らげるには、体の中からのケアも大切です。ビタミンAやEを多く含む緑黄色野菜、オメガ3脂肪酸を含む魚などを積極的に摂ることで、粘膜の修復が促されます。
一方で、刺激物(辛い料理、アルコール、カフェイン)は喉の乾燥を助長するため、控えめにしましょう。喘息の人はアレルギー体質を併発している場合もあるので、食事の選び方にも注意が必要です。
睡眠とストレスケアで呼吸を整える
喘息は自律神経の乱れとも関係が深く、睡眠不足やストレスが続くと発作が起こりやすくなります。発作が増えれば当然、喉への負担も増加し、声枯れの原因になります。
就寝前には深呼吸や軽いストレッチを行い、体をリラックスさせてから眠る習慣をつけましょう。規則正しい睡眠リズムを保つことが、結果的に「声帯を休ませる時間」を確保することにもつながります。
喘息でボイトレに通えるか不安な人は大手スクールがおすすめ

大手ボイトレスクールは、
・レッスンの日時を自分の都合に合わせて予約できる
・振替レッスン可
・未消化のレッスン枠を翌月持越し受講できる
・コースの途中変更ができる
・毎回違う校舎に行くこともできる
など、自由度が高いことが特徴のひとつ。
忙しい人でも、通いやすくなっています。
喘息は人によって、季節によって、お天気によって、体調不良が長引いてしまうこともありますよね。
そんなときは、大手ボイトレスクールのシステムをぜひ活用しましょう。
自分のペースで通うことができるので、安心感があり、レッスン代をムダにすることがありません。
ただし、翌月持越し受講は対応なしなど、スクールによってシステムや、料金の支払い方法に違いがあるので、事前にチェック。
自分のスタイルに合ったスクールを選びましょう。
また、スクールに通うことがネックになるときは、オンラインレッスンに切り替えることも可能です。
今は、ウィルスの心配もありますから、喘息で不安がある場合は、オンラインレッスンから始めるのもよいですね。
まずは体験レッスンで不安を解消しよう
ボイトレが気になる方は、いちど体験レッスンを受けてみましょう。
その際、カウンセリングもありますし、実際に講師と話をするので、喘息でボイトレをすることについて、気になることは質問してみてください。
講師から直接、気になることの答えをもらえたら、また、見える世界が変わるかもしれません。
喘息による声枯れに関するよくある質問
喘息によって声が出にくくなったり、枯れやすくなったりする人は少なくありません。ここでは、読者から寄せられることの多い疑問にお答えします。
自分の症状や状況と照らし合わせながら、正しいケアや発声方法を見直してみましょう。
Q1:喘息の人はなぜ声が枯れやすいのですか?
喘息では気道に炎症があるため、喉や声帯も乾燥しやすくなります。さらに、吸入ステロイド薬の成分が声帯に残ると、炎症やかすれ声の原因になることもあります。
また、発作の後は呼吸が浅くなり、声を出す際に喉を締めてしまうことも。これらが重なることで声が枯れやすくなるのです。
Q2:喘息でもカラオケやボイトレをして大丈夫?
体調が安定しているときであれば、無理のない範囲で楽しむことができます。ただし、発作後や喉に違和感があるときは避けた方が安全です。
発声時に呼吸が乱れると、気道を刺激して咳が出やすくなるため、トレーニングを行う際は「腹式呼吸」など喉に負担をかけない方法を意識しましょう。
Q3:吸入薬を使っていると声が出にくくなるのはなぜ?
吸入ステロイド薬の微粒子が喉や声帯に残ると、粘膜が乾燥しやすくなります。その結果、声がかすれたり、張りがなくなったりすることがあります。
吸入後には必ずうがいを行い、薬剤を洗い流すことが重要です。これだけでも声枯れのリスクを大幅に減らすことができます。
Q4:喘息で咳が続くとき、声を出すのはNG?
はい、咳が続いているときは声帯がすでに炎症を起こしているため、発声を控えるべきです。
無理に声を出すと声帯の摩擦が強まり、回復が遅れてしまいます。まずは咳の原因を医師に相談し、症状が落ち着いてから発声練習を再開しましょう。
Q5:ナユタスでは喘息持ちでもレッスンできますか?
はい、ナユタスでは喘息をお持ちの方でも、体調や呼吸の状態に合わせて無理のない発声トレーニングを行っています。
呼吸法の基礎から丁寧に指導し、声枯れを予防しながら発声を安定させることを重視しています。
不安がある場合は、体験レッスン時に講師へ体調を相談してみてください。
【まとめ】
喘息でもボイトレをすれば歌は上達する?喘息持ちのわたしの体験談

喘息のボイトレ事情について、体験談を交えながらまとめました。
喘息による歌への影響は、ゼロではありません。
しかし、体のコントロールとやる気次第では、歌の上達は十分に期待できます。
喘息でも素晴らしい歌声を聴かせてくれているプロの歌手が、何よりの証明ですよね。
もちろん個人差があるので、誰もがすぐに思うようなボイトレができる状況ではないかもしれませんが、医師やボイトレの講師と相談しながら、今のあなたに最適な方法を探してみてください。
自分を表現できること、大好きな歌を歌えることは本当に楽しいもの。
体調管理とボイトレで、歌うことの楽しみを増やしていきましょう。
ナユタスでは喘息の方、声が枯れやすい方とも向き合い、適切なボイトレメニューを考案・実践しています。喘息でお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。



