んごんごボイトレで鼻腔共鳴!美しい声の響きを考えよう
ボイトレをしていると苦手や癖など、自分の課題が見えてきますよね。
しかし、ボイトレにはたくさんの練習パターンがあるので、自分の悩みに適したトレーニングをすれば、悩みを改善することができます。
今回ご紹介するのは、歌うときに、息漏れして声がかすれやすい、声にハリが出ない、とお悩みの方におすすめしたいボイトレ、んごんごボイトレです。
んごんごボイトレは、鼻腔に音を響かせるトレーニングなので、息漏れの改善が期待できます。
また、響きの少ない「ガギグゲゴ」の音を鼻にとおし、言葉を美しく響かせるなど、さまざまな効果を得ることができるんですよ。
んごんごとは何ぞや、と思われる方もいるかもしれませんが「んごんご」つまり「ng」の発音は、無意識に使っている人もいるであろう、わたしたちにとってとても身近な発音です。
そのため、個人差はありますが、難易度の高いボイトレと比べると、理解しやすく、すんなり入りやすいトレーニングでもあります。
しかも効果はバツグン!
今日は、そんなんごんごボイトレについて詳しく解説していきます。
アナウンサーや声優も活用するんごんごボイトレとは
んごんごボイトレとは、アナウンサーや声優など言葉の仕事をする人も活用している発声トレーニングです。
「ガギグゲゴ」と、鼻腔にとおすのが難しい音を、鼻腔で響かせることができるため、言葉の音がなめらかで優しくなります。
この、鼻に響かせて発音する「ガギグゲゴ」の音を鼻濁音と言います。
普通の「ガギグゲゴ」は濁音と呼び、表記は「ガギグゲゴ」ですが、鼻濁音を文字で表すと、
「カ゜キ゜ク゜ケ゜コ゜」になります。
発音のやり方は、
「んが、んぎ、んぐ、んげ、んご」と「ng」の発音を使います。
たとえば、
濁音だと「わたしが」
鼻濁音だと「わたしnが」
と、文字で表すとこうなります。
んごんごの発音が特徴的な歌
歌だと、演歌が特に分かりやすいでしょう。
たとえば、石川さゆりさんが歌う「天城超え」のサビのラスト、歌詞でいうと「あまぎーごーえー」と歌う部分。
あまぎごえの「ぎ」と「ご」、特に「ご」の発音の仕方が鼻濁音です。
また、ポップスでいうと絢香さんも鼻濁音で歌うことが多く、「にじいろ」のサビの冒頭「てをつなぎ」の部分は特に分かりやすいですね。
鼻濁音は音楽的にも美しい?
天城声を例に考えてみると、「あまぎごえ」の「ぎ」と「ご」を濁音で歌った場合、音としても強調されすぎて変にアクセントがついてしまいます。
しっとりした曲のイメージとはかけ離れ、元気がある、少し幼い、または荒々しい印象になってしまいますが、鼻濁音であれば濁音も主張されず言葉も音の流れも自然できれいです。
文字だけでは分かりにくいので、実際に歌って比べてみましょう。
そして、鼻濁音を普段、意識して使っていない方はぜひ試してみてください。
んごんごの発音で鼻腔に音を響かせることで、言葉も音楽もとても美しく、それだけで表現力がレベルアップします。
んごんごボイトレは効果抜群
んごんごボイトレの効果はいろいろあるのですが、特に、声を鼻に響かせる鼻腔共鳴の感覚が分かり、声をきれいに響かすことができることです。
また、歌声に息が混ざってしまい、声がかすれたり弱くなってしまう人は、んごんごボイトレをしてみてください。
効果抜群ですよ!
他には、
・高音が楽に出せる
・日本語が柔らかくなめらかで美しくなる
・歌詞が自然で伝わりやすくなる
などの効果があります。
んごんごボイトレには言葉のルールがある
この章では、んごんごボイトレをする上で、知っておきたい鼻濁音のルールについてお話します。
んごんごの発音には、いくつかのルールがあります。
それを知らないと、せっかくんごんごの発音を覚えても使い方を間違ってしまう可能性があるので、ルールは覚えておきましょう。
単語の最初にくるのは濁音
「ガギグゲゴ」を、鼻腔に響かせて発音するためのんごんごですが、「ガギグゲゴ」が単語の最初にくるときは、鼻濁音ではなく濁音で発音します。
たとえば、「銀行」「外国」「頑固」「学校」などです。
これも実際に言葉に出してみた方が分かりやすいので、やってみましょう。
「がっこう」と「nがっこう」
「がっこう」の方が、音が自然ですよね。
大げさに「ん」を発音するとおかしくなってしまいますが、そこは鼻に響かせる「n」
の音として自然に発音してみてくださいね。
単語の途中や語尾にくるのは鼻濁音
一方で、単語の途中にくる「ガギグゲゴ」は、んごんごの鼻濁音で発音します。
たとえば、「ハガキ」「もぐら」「りんご」「小学校」「中学校」など。
「しょうがっこう」「しょうnがっこう」
こちらも、天城声ほどの鼻濁音で発音することは少ないかもしれませんが、「りんご」などは無意識に鼻濁音を使っているのではないでしょうか。
助詞は鼻濁音
「〇〇が」など、助詞に「が」を使う場合は鼻濁音になります。
アナウンサーが、ニュース原稿を読んでいるのを聞いてみるとよく分かりますよ。
文章だけでなく、歌でも同じように使うと言葉が美しく響き、音楽的にもきれいにまとまります。
単語の途中でも濁音の場合がある
単語の途中に出てくるのは鼻濁音だと説明しましたが、そうではない場合があります。
たとえば「音楽学校」です。
この場合は、「音楽」と「学校」で別々の単語が組み合わさった言葉になるので、「学校」は「がっこう」と発音します。
「音楽」の「が」は鼻濁音ですね。
「高等学校」なども同じです。
んごんごボイトレでトレーニングをしてみよう
んごんごボイトレは、とても簡単で分かりやすいのでぜひトライしてみましょう。
① 口を閉じて「んー」と発声します
② 声を鼻腔に響かせます
ハミングの練習と同じですね。
発声しているとき、鼻を指で触ってみて指に振動がくれば、声を鼻腔に響かせることができているサインです。
このとき、鼻から空気をスーッと流してしまうと、息が漏れて声がスカスカになってしまいます。s
また、ただ声をだすだけでは音に響きがなく、鼻の上の方で音が詰まっている感じになります。
きれいに音を響かせるためには、鼻腔で音が丸く膨らむようなイメージをしましょう。
ハミングができたら、次は、
③ 「んーご」と、発音します。
ハミングで「んー」と響かせ、そこからなめらかに「ご」につなげましょう。
「んーが」「んーぎ」「んーぐ」「んーげ」「んーご」すべての音でやってみます。
④ 「んが、んぎ、んぐ、んげ、んごー」と発音し、最後はロングトーンで伸ばします。
んごーと伸ばすとき、「ご」の音を「O~」と母音に移行するときれいな声でロングトーンができます。
⑤ 音階練習をします
「ドーレーミーファーソー」に合わせて、
「んーがー」「んーぎー」「んーぐー」「んーげー」「んーごー」と発音していきます。
ドーは「んーがー」、レーは「んーぎー」、ミーは「んーぐー」といった感じです。
どの発声練習でもそうですが、「んー」はしっかり鼻腔に響かせてハミングで、「ガギグゲゴ」も鼻濁音で発音しましょう。
鼻腔に響かせるのが難しい場合は、んごんごボイトレに入る前に、ハミングの練習をしてから行うとよいですね。
【まとめ】
んごんごボイトレで鼻腔共鳴!美しい声の響きを考えよう
最近の歌では、あまり鼻濁音を使うことがなくなってきたと聞くこともあります。
しかし、演歌のような分かりやすい鼻濁音はなくても、やはり濁音が強調されて音が飛び出してしまう場合には、鼻濁音で発音した方が、美しい流れが作れるのではないでしょうか。
ジャンルや曲調、リズムによって変わってくることもあるので、自分が歌う曲の表現を考えながら、うまく活用していけるとよいですよね。
んごんごボイトレは、言葉の美しさ以外にも、鼻腔共鳴や息漏れ改善の練習に効果があるので、ぜひ普段のボイトレにプラスしてみてください。