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鼻腔共鳴とは?「歌への影響」から「やり方」まで解説!

鼻腔共鳴とは?「歌への影響」から「やり方」まで解説!

皆さんは、鼻腔共鳴のことをどこまで知っていますか?

「響きの良い美しい声になる!」
「歌の表現力がアップする!」
「ミックスボイスの習得につながる!」

など、歌の上達に良い影響を与えてくれるものと認識し、マスターしたいと考えている方は多いのではないでしょうか。

そのため、なかには「鼻腔共鳴ができないから歌がなかなか上達しない」と悩んでいる方もいるかもしれません。

しかし、心配ご無用!

なぜなら鼻腔共鳴にそこまでこだわらなくても、発声の上達を目指せるからです。

「え・・・?」

と驚いた方、本記事を最後までご覧ください。

ここでは、賛否両論ある鼻腔共鳴の歌への影響について解説するとともに、鼻腔共鳴の本当の目的や、具体的なやり方までご紹介していきます。

そもそも「鼻腔共鳴」って何?

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鼻腔共鳴とは、鼻の奥にある「鼻腔」という空間で声を響かせる発声のテクニックです。

ボイトレを学んでいるとよく耳にしますよね。というのも、ボイトレ界隈では少し前に結構HOTなキーワードだったのです。

鼻腔共鳴ができるようになれば

「声の響きが良くなり、表現力が上がる」
「声が明るくなる」
「高音が出るようになる」
「ミックスボイスができるようになる」

などといわれ、鼻腔共鳴の習得は重要視されていました。

もちろん、今でも鼻腔共鳴を重要と考えるトレーナーはいますし、多くのボイトレ教室で指導が行われています。ネット上でも、鼻腔共鳴のメリットをうったえる記事は多く見かけます。

ところが、その内容をそのままうのみにするのは少し注意が必要です!

なぜなら、鼻腔共鳴にそこまでこだわらなくても発声技術の上達を目指せるからです。

理由は以下で詳しく解説していきましょう。

実は鼻腔共鳴はいらない・・・?

実は、「鼻腔共鳴」の練習自体が必要ないという考えがあるのをご存じですか?

鼻腔共鳴とはいわゆる感覚論から広がったワードで、研究の途上にある分野。

つまり、鼻腔共鳴の効果についての是非は、科学的にはまだ明らかにされていないのです。

確かに鼻腔共鳴をトレーニングした方のなかには、実際に声の響きがよくなった、高音が出しやすくなった、などのメリットを感じる方はいるようです。

しかし、必ずしも「鼻腔共鳴により発声が改善した」とは言い切れません。

「鼻腔共鳴で高音発声やミックスボイスを習得できた!」は勘違い?

鼻腔共鳴の練習をしたら「高音の出が良くなった」「ミックスボイスができるようになった」という話をよく耳にしますよね。

ただし、実際のところは「鼻腔で共鳴が起こった」から発声が改善されたのではなく、別の現象により声帯の伸展度合いや圧着率などが正されたという可能性があります。

鼻腔共鳴が根本的な誘因ではないということも大いにあり得るのです。

あくまでも声帯がピンと伸びることなしに高音は出ませんし、鼻腔共鳴をマスターしたところで必ずしもミックスボイスができるようになるとも限りません。

そもそも、鼻腔共鳴とはどうしても体内で起きていることなので、体感と現象には差異があることも。

実際は「鼻に声は通っていない=共鳴は起こっていない」にも関わらず、鼻腔共鳴ができているという錯覚に陥ることもなしにもあらず。

事実、「鼻に声を通して響かせる」といっている歌手が発声しているときの軟口蓋(鼻腔への通り道にある器官)の様子を観察すると、軟口蓋の末端部である口蓋帆がしっかり挙上し、鼻腔への通り道が塞がっていたというケースもあったようです。

鼻腔共鳴については、さまざまなメリットが取り沙汰されていますが、必ずしもそうとは限らない「勘違い」の可能性があることをしっかり押さえておきましょう。

「共鳴」ではなく「共振」

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たとえば、鼻腔共鳴の「共鳴」は「共振」という説があります。

具体的には、口腔や咽頭腔といった他の共鳴腔が生む音の振動が鼻腔に伝わり、鼻腔で響いているという感覚になるからです。

鼻腔も共鳴腔のひとつとはいえ、発声に際して主として使われる部分ではありません。だからこそ、振動を感じることで「声が共鳴している」と感じてしまうというのは十分に考えられますよね。

もし、共鳴する声(響きの良い声)を目指すのであれば、「鼻腔共振」ととらえ、鼻に集中せず他の共鳴腔も意識しながら発声を整えていく方が良いでしょう。

過度な鼻腔共鳴はかえって逆効果に・・。

意外と知られていませんが、「鼻腔共鳴」のやりすぎにも注意する必要があります。

なぜなら、過度な鼻腔共鳴は、悪い発声に繋がってしまう恐れがあるからです。

例えば、鼻腔共鳴を意識するあまり、過剰に鼻へ声が抜けてしまうと「開鼻声(オープンネイザル)」と呼ばれる発声になってしまうことがあります。

開鼻声とは、 鼻から息が漏れて音が抜けてしまうために、常に鼻声のような状態になってしまっていること。チェックの方法としては、発声しながら鼻をつまんでみてください。
音量が激減し、フガフガと上手く声を出せなくなってしまったら、開鼻声であると言えるでしょう。

開鼻声は、実際に「鼻腔に共鳴させている」状態。デメリットとして、他の共鳴腔と邪魔し合ってしまい、声の抜けが悪くなる「反共鳴(アンチフォルマント)」を引き起こす原因にもなります。
また、この状態はいわゆる「叫びあげる発声」がしづらくなるという特徴を持っています。そのため、結果的に過度に声帯を圧着させた発声状態が緩和され、中高音の発声がしやすくなる、ミックスボイスの体感に近づくというメリットはあるでしょう。

しかし、本来は声帯周りの筋肉によって発声状態をコントロールしなくてはいけません。ミックスボイスへの取っ掛かりとして鼻声を活用するのは良いとしても、ある程度のところで脱却する必要があります。

結論:鼻腔共鳴の練習にこだわる必要はない!

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結論、鼻腔共鳴の練習だけにそこまでこだわらなくても良いでしょう。

ここまででお伝えしたとおり、鼻腔共鳴で得られる効果については、ネット上でさまざまな情報が出回っていながらも、基本的には科学的根拠が十分でないからです。

そのため、

「鼻腔共鳴がなかなかできない・・・」
「歌が上手くならないのは、鼻腔共鳴ができないからだ」

と悩むことはありません。

実際、あなたの発声が上手くいかない原因は、もっと他にあるかもしれないのです。

繰り返しになりますが、鼻腔共鳴ができなくても歌を上達させることは可能なのです!

鼻腔共鳴は、歌の表現力をあげたい方におすすめ◎

とはいえ、鼻腔共鳴をマスターすることによって得られるメリットもあります。先述の「叫びあげる発声を緩和して、ミックスボイスの取っ掛かりにできる」というのも、そのひとつ。

もうひとつ挙げるとすれば、「歌の表現力」が上がるのです。

鼻腔共鳴することで一番変化を感じるのが、声色です。

もちろん、過度な鼻声のようになってしまっては意味がありません。しかし、程良く鼻腔共鳴を使った声というのは柔らかく親しみやすい音色をしています。

「あえて前に出すぎない声色を出したい」
「表現として一時的に弱々しい声を出したい」

こういった方は、鼻腔共鳴を手段のひとつとして練習に取り入れてみるのも良いでしょう。

鼻腔共鳴のやり方とコツ

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では、具体的に鼻腔共鳴のやり方をご紹介していきましょう。

1. ノドの力を抜く

まず、どのような発声でも同じことがですが、ノドの力を抜きましょう。過度な緊張はコントロールを邪魔し、意図しない発声につながります。歌う前にはウォーミングアップを行い、全身リラックスした状態で始めるのが良いですね。

2. 鼻から息を吸い、口を閉じたまま「ん〜」

次に、鼻から息を吸いハミングと同じ感覚で「ん〜」と発声します。

3. その感覚を引きずったまま口を開いて発声

「ん~」と発声したときの感覚を意識したまま、「あー」と声を出してみましょう。そのまま鼻をつまんでみたときに、音量がぐっと下がれば鼻腔側に声が流れている状態と言えます。
違和感があり聞き苦しい鼻声にならないよう、程度の調整を行ったら実際に歌唱で実践してみてくださいね。

鼻腔共鳴の練習方法

最初はなかなか上手くいかないものですが、鼻の奥が震える感覚をつかんでしまえば、すぐに歌声に反映しやすくなります。

なかなか感覚がつかめないという方は、次のステップに沿って練習をするといいでしょう。

ステップ①:ハミングで音階練習

まずはハミングで音階練習をしましょう。

口を閉じて発声するハミングは必然的に鼻腔側への道が開くため、鼻腔共鳴の感覚をつかむのにうってつけの練習です。

「ドレミファソラシド」の音階練習をしながら、鼻の奥の振動を体で感じましょう。

ステップ②:ハミングだけで1曲歌う

音階練習に慣れてきたら、ハミングだけで1曲歌ってみるのがおすすめ。

というのも、単純な音階練習だけでは練習もマンネリしてしまうからです。

選曲はなんでもOK!お好きな曲や課題としている曲など楽しく歌える曲をチョイスし、ハミングで難しい音階にも挑戦していきましょう。

1曲ハミングで歌い切るのは意外と体力を使いますので、無理せずゆっくりとノドを慣らしていってください。

1曲歌いきれる頃には、きっと鼻腔共鳴の感覚もつかめるようになっているでしょう。

ステップ③:鼻腔共鳴を意識しながら発声練習

ハミングで鼻腔共鳴の感覚がつかめてきたら、口を開いて発声してみます。

おすすめは「い」「え」「あ」の母音発声。

なかでも「い」は鼻の奥の振動を感じやすいといわれています。

【ハミングで「ん〜」といいながら、口の形を変えて「い〜」の発声に切り替える】

このような練習を重ねていけば、次第に鼻腔共鳴を意識して発声できるようになりますよ♪

やり方が分からない方は、NAYUTAS(ナユタス)の無料体験へお越しください♪

やってみたものの「上手くできているのか分からない」「やり方がいまいち分からない」という方は、ぜひナユタスの無料体験にお越しください。

経験豊富なトレーナーがマンツーマンで指導させていただきます。

鼻腔共鳴はなんとなくで習得すると、過剰に鼻へかかった声になってしまったり、発声のコントロール面で依存してしまったりするなどのリスクが伴います。

正しく身につけるためにも、一度プロのボイストレーナーに正しいやり方や自分にあった練習法を教えてもらうのがおすすめです◎

ぜひ、ナスタスでボイストレーニングを体験してみてくださいね!