「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」の違いって何?
「ボイストレーニング」「ボーカルトレーニング(ボーカルレッスン)」などと、さまざまな名称を目にするかと思います。
似たような名称であるために同じものととらえている方もいるかもしれませんが、実際は別物。目的やトレーニング内容も異なります。
では具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
本記事では、ボイストレーニングとボーカルトレーニングの違いについて詳しく解説していきます。
また、確実に歌唱力を身につけていくためにはどちらに重点をおくべきなのか、トレーニングの選択方法についても触れていきます。
「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」の違いとは?
「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」
両者に厳密な区分があるわけではないですが、その違いをスポーツで例えるなら、
日々の地道な基礎トレーニング(筋トレや走り込みなど)が、ボイストレーニング。
実践をイメージした練習や練習試合などが、ボーカルトレーニング。
といったところでしょう。
それぞれ役割は違うものの、本番の試合で良いパフォーマンスをするということを考えると、どちらも欠かせない練習ですよね。
また、「試合で勝つ!=歌が上手くなる!」といった最終目標も同様かと思います。
ただ、違う点を挙げるのであれば、その練習内容と得られる効果。
「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」では、目的設定が異なるため、練習内容も習得できるスキルもまるで違います。
それぞれ、どんな練習をするのかをみていきましょう。
ボイストレーニングでは何を練習するの?
ボイストレーニングでは、どのような練習を行うかといいますと、いわゆる発声練習とよばれているものです。
「あああ~♪」のような練習をイメージする方も多いかもしれませんが、まさにその通り。
発声能力の向上を目的に、呼吸法や喉の使い方、音程の取り方など、歌唱の土台となる部分の練習を行います。
スポーツでいえば、走り込みや筋トレ、ストレッチなどの体作り。もしくは野球の素振り、サッカーのパス練などがこれにあたります。
ボイストレーニングを行うと、
- 声の通りがよくなる
- 音域が広がる
- 声の響きがよくなる
- 声量がUPする
などの、声の変化を感じることができます。
ボーカルトレーニングでは何を練習するの?
一方ボーカルトレーニングでは、楽曲を利用したより実践的な練習を行います。
好きな曲や課題曲を使ったレッスンがまさにそれ。
「どう歌うか」を突き詰めることを目的に、ボイストレーニングに比べてより発展的な練習を行います。内容は講師によってさまざまですが、リズムやピッチ、抑揚、強弱、ビブラート・しゃくりなどの歌唱テクニックの習得などが一般的。
スポーツでいえば、練習試合がこれにあたります。ライブやオーディション、デモ音源の録音など、歌を実際にパフォーマンスする機会がある際に、準備としてボーカルトレーニングを行います。
得られる効果としては、
- 表現力が上がる
- 曲の完成度が上がる
- ボーカルテクニックの精度が上がる
などが挙げられます。
初心者の方はまず「ボイストレーニング」から始めよう!
両者の違いと整理していくと、ボーカルトレーニングの方が歌を使ったより実践的な練習のため、「好きな歌を使って練習できて楽しそう♪」「すぐに歌が上手くなりそう♪」などと、ボーカルトレーニングの方が魅力的に感じるかもしれません。
しかし、普段ボイストレーニングをされていない方は注意が必要です。
というのも、いきなりボーカルトレーニングを行うのは基礎練習をまったくせずにいきなり練習試合にのぞんでいるようなものだから。
スポーツでは基礎練習→試合、勉強では基礎問題→応用問題という流れが当たり前のように、歌においてもまず基礎の習得が第一優先となります。
もともとセンスや能力のある方であれば、もしかしたら基礎など学ばなくても上手く歌えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、それも一時的なもの。
基礎を飛ばしたリスクは、その後さまざまな問題を引き起こし、のちのち苦労することになります。
そのため、発声の基礎が身についていない初心者の方は、まずボーカルトレーニングよりもボイストレーニングに重点をおいて練習を始めることが大切です。
「ボイストレーニング=発声の基礎」を飛ばしたリスク
例えば、発声練習を行わずに(基礎を習得せずに)、歌を使った練習に入ってしまうと次のようなリスクがあります。
喉を痛めやすくなる
まず、喉を痛めやすくなります。
正しい呼吸法や発声法を知らないと、ついつい無理な発声をしてしまうからです。
カラオケで首筋に血管を浮かべながら、顔を真っ赤にして歌っている方を見たことはありませんか? 本来正しく発声ができていれば、体や喉まわりもリラックスしている状態が正解です。
全身に力が入った状態では声帯も緊張し思うように声は出ません。そればかりか、喉も痛めるリスクを高めてしまうのです。
表現力の幅が広がらない
また、表現力を磨くにしても幅をきかせることができません。
なぜなら発声の基礎がない方は、出せる声にも限界があるからです。
頭では理解していても、実際にやってみたら「できない……。」ってことはよくありますよね。歌も一緒です。歌が上手く聞こえるテクニックを知っていても表現できるかどうかは別問題。
再現する力がなければ、おのずと表現力にも制限がかかってしまうのです。
歌唱力の向上が早い段階で頭打ちになる
そして、歌唱力の向上も早い段階で頭打ちにもなります。
理由は、表現力と同様です。
歌唱力を高めていく過程においてさまざまなテクニックを習得していかなければいけませんが、最初はごまかせていても難易度が高くなればなるほど、手におえなくなっていくのです。
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