ボイトレにプロテインは効果的?声帯まわりの筋トレについて
筋肉に良いものといえば、プロテイン!ボイトレには、呼吸や発声まわりの筋肉トレーニングが大事と聞いたけど……。
「もしかして、声帯まわりの筋肉にも効くの?」
最近のプロテインブームもあり、ボイトレの成果を上げるためにも日頃からプロテインを摂取したほうが良いのか、気になっている方も多いはず。
そこで、ここでは「ボイトレにプロテインが効果的なのかどうか?」その真相に迫ってみました。
記事の終盤では、声帯まわりの筋トレに効果が見込める簡単なボイトレメニューもご紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてくださいね。
「ボイトレ×プロテイン」の効果は?結論からいうと……
さっそく結論からいいますと、
残念ながら、「ボイトレにおいて、プロテインの効果はさほど期待できない」と考えられます。
確かに、プロテインの主成分であるタンパク質は新しい筋肉を作る材料であるため、摂取しても声帯まわりの筋肉量が増加しないとは言い切れません。
しかし、勘違いしてはいけないのが、プロテインで摂取したタンパク質全てがあらゆる筋肉にたどりつくわけではないということ。
プロテインで摂取したタンパク質は、アミノ酸となって血液中に溶け込み全身を巡ります。そして、あるものは粘膜や血管の強化に使われ、あるものは免疫物質を作るなど、筋肉以外にも全身でさまざまに活用されます。
そのため、プロテインで摂取したタンパク質が声帯まわりの筋肉へ確実にたどりつくとは言えないのです。
声帯はわずか「1cm程」
また、全身の筋肉量に比べても、声帯まわりの筋肉はほんのわずかな量。小さな筋肉よりも、大きな筋肉に影響を及ぼしやすいと考えるのが自然ですよね。
下の図をご覧ください。
この図は、声帯周りの器官を描いたものです。
中央に2本並んでいる細長いものが声帯で、左が閉じているとき(発声時)、右が開いているとき(吸気時)をあらわしています。
人は呼気を声帯にぶつけ、振動させることで声を出しています。
声帯は喉の奥に位置し目視することができません。そのため、自分の声帯を見たことのない方がほとんどかと思いますが、
声帯の大きさはわずか1cmほど、体格の良い男性でも1.5cmほどしかないといわれています。
さらに声帯自体、筋肉の上を粘膜で覆った層構造をしていますので、筋肉の絶対量もほんのわずか。
この小さな筋肉に、タンパク質はどれだけたどりつくでしょうか……。
プロテインを飲んだからといって、確実な効果は期待できない
もちろん発声を行うためには、甲状披裂筋や輪状甲状筋といった声帯まわりの筋肉だけでなく、呼吸時に働く筋肉群なども関わってきます。
それらの筋肉は、声帯に比べて大きいので、もしかするとプロテインを摂取することで十分にタンパク質が行き渡るかもしれません。
しかし、筋肉は全身に張り巡らされています。どの程度のタンパク質が発声に関わる筋肉の合成に使われ効果を実感できるかは、確かな研究結果があるわけでもなく疑問が残るところです……。
「飲むだけで筋力アップ」も間違い×
また、プロテインはあくまで食事で不足したタンパク質を補うために開発された「栄養補助食品」であり、「筋肉増強剤」ではありません。
プロテインは、スポーツ選手や体を鍛えている方が積極的に摂取していることもあり、「飲むだけで筋力アップする」というイメージがついてしまっています。しかし、必ず運動や筋トレと組み合わせなければ筋力の増強には繋がらないので、注意が必要です。
筋肉量がアップするサイクル
プロテインを飲んだときの、筋肉量がアップするサイクルは以下の通り。
▼運動や筋トレによって、筋肉細胞が一時的に傷つく
▼プロテインで摂取したタンパク質で、傷ついた筋肉細胞を修復
▼筋肉が増強される
これらのサイクルを繰り返すことで、筋肉量・筋力がアップしていきます。
決してプロテインを飲むだけで筋肉が増えるわけではないので、正しく理解しておきましょう。
やはり、ボイトレは日々の練習の積み重ねが大切◎
もしかしたら、ボイトレとプロテイン摂取を組み合わせれば、多少の効果を見込める可能性もあるかもしれませんが、そもそも筋肉が増えたところで、歌が上手くなるわけではないのも事実……。
例えば、全身ムキムキの筋肉で鍛えあげられたボディビルダーが、サッカーや野球などのスポーツ全般が得意だとは限りませんよね。
発声も同様です。いくら強靭な筋肉を持っていても、声帯をコントロールする技術を身につけなければ発声のクオリティは向上しないと言えます。
やればやるほど声帯を自由に操れる!ボイトレの「運動学習」
また、ボイトレの音声開発は声帯のトレーニングといわれていますが、それはあくまで声帯の使い方を学ぶ「運動学習」であり、筋力の増強を指すものではありません。
大切なのは、正しい動作を反復して間違った動きを矯正するためのトレーニングです。こういった練習を積み重ねていくことで、声帯を自由に操れるようになっていきます。
声帯をコントロールする術が身につくと、歌唱力もグンとアップします。
ボイトレ=声帯のトレーニングという認識は間違っていませんが、そこまで声帯まわりの筋力アップにこだわりすぎなくても良いでしょう。
声帯まわりの筋肉に効く!おすすめトレーニング方法
例えば、声帯まわりの筋肉に効くといわれているボイトレは、次のようなものがあります。
ストロー発声法
細めのストローを口にくわえたまま発声を行うという、シンプルな方法です。
声門上からの抵抗が生じることで、声帯振動の周期運動を安定させることが期待できます。
リップロールやタントリルと同じ、Semi Occluded Vocal Tract Exercise(半閉塞状態の声道を使ったエクササイズ)と呼ばれる分類のトレーニングです。
準備するものは、ストロー1本。次の手順で行います。
- ストローを1本、軽く舌に乗っかる程度にくわえる
- 余裕のある音域で声を出す
- 音階を上げたり下げたりしながら発声する
ストロー発声法は、声がでなくなってしまった方や喉を痛めてしまった方へのリハビリメニューとしても取り入れられています。
声帯への負担も少なく無理なく発声練習ができますので、初心者の方にもおすすめです◎ストローが細いほど効果が高まりますが、上手く発声できない場合は少し太めのストローから始めてみてくださいね♪
裏声ハミング
裏声を出すと声帯まわりにある輪状甲状筋がよく使われます。そのため、高音域を伸ばしたい方は裏声のトレーニングを取り入れると良いでしょう◎おすすめの練習法は「裏声でのハミング(鼻歌)」です。
やり方はとってもシンプル♪
- 口を閉じる
- 口を閉じたまま「ん〜」と裏声を出す
- 音階を上げたり下げたり、色々な音の高さで裏声でハミングしてみる
ハミングは、声帯にかかる負荷が少ないのでレッスン前のウォーミングアップとして活用されることの多いメニューです。
大きな声を出さずにボイトレの練習ができるので、自宅での自主トレメニューとしてもぴったり◎ハミングでの裏声発声に慣れてきたら、お好きな曲を一曲ハミングで歌ってみるといいでしょう。
プロテインに頼るよりもずっと発声が上達する!本格的なボイトレレッスンを受けてみませんか?
プロテインを摂取してもしなくても、ボイトレを積み重ねていけば必ず発声は上達します。記事を読んでいる方のなかには、
「声帯のコントロールってどういうこと?」
「上手く声が出ない……」
などの発声の悩みを抱えている方もいるかもしれません。発声の悩みは原因や解決方法を理解せず、がむらしゃらに練習してもなかなか改善されないもの。一度ボイトレのレッスンを受講しプロのトレーナーに相談してみてはいかがでしょうか。
一度のレッスンで、飛躍的に発声が改善するケースもありますよ♪
【まとめ】ボイトレにプロテインは効果的?声帯まわりの筋トレについて
ここでは「ボイトレにプロテインが効果的なのかどうか?」について真相に迫ってみました。残念ながら思ったような効果が得られる可能性は低く、あまり有効といえないのでは、というのが結論です。
しかし、良い発声を身につけたいのであれば、ボイトレを日々コツコツと積み重ねていけば問題ありません!
ナユタスのボイトレレッスンでは、一人ひとりに合わせたトレーニングをご提案しております。ボイストレーニングの受講をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談くださいね♪