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椰子の実

皆さん、こんにちは!
ナユタス船橋校ボーカル講師の森居朱美です。

暑い夏がやって来ましたね🌻💦
今日は夏の日本歌曲「椰子の実」についてお話しようと思います🍉

この歌は詩人、小説家である島崎藤村が明治時代に執筆した詩に、昭和に入って作曲家の大中寅次が曲をつけたもので、過去の戦争で南方に送られた多くの日本の兵士達に愛唱されていたそうです。

まず歌詞について、原文は

「名も知らぬ遠き島より 流れ寄(よ)る椰子の実一つ ふるさとの岸をはなれて なれはそも波にいく月(つき) もとの樹(き)は生(お)ひやしげれる 枝(えだ)はなほ影(かげ)をやなせる われもまたなぎさをまくら ひとり身のうきねの旅ぞ 実をとりて胸(むね)にあつれば 新たなり流離(りゅうり)の憂(うれ)ひ 海の日のしづむを見れば たぎり落つ異郷(いきょう)のなみだ 思ひやる八重(やえ)の潮々(しおじお) いづれの日にか国に帰らん」。

現代語に訳してみると

「名前も知らない遠い島から流れよってきた椰子の実が一つ。ふるさとの岸をはなれて、おまえはそもそも波に何ヶ月うかんでいたのか。実をつけていたもとの木は今も生いしげっているのだろうか。えだは今もなお、かげをつくっているのだろうか。わたしもまた、なぎさの波の音をまくらに一人さびしくふるさとから遠くはなれたところをさまよっている。この実を持ってむねにあてれば、あてもなくさまよう旅の不安がいっそうあざやかになる。海に日がしずむのを見ればはげしくあふれ落ちてくる、ふるさとを思うなみだ。椰子の実が流れてきたはるかな潮(しお)の流れを思うと、わが身の人生の遠い道のりも思いやられる。いつの日にかふるさとに帰ろう」。

このような歌詞になります。
歌詞の元になったエピソードとして、島崎藤村の親友の柳田國男(やなぎたくにお・のち民俗学者)が愛知県渥美半島の伊良湖で一ヶ月余りを過ごしたある日の早朝、伊良湖岬の恋路ヶ浜で、南の島から黒潮に乗って何年もかかって浜辺に打ち上げられている椰子の実に遭遇し、帰京して、その感動を島崎藤村に話した所、心を動かされた藤村は、椰子の実の漂流の旅に故郷を離れて居を転々としてさまよう“漂泊の詩人”である自らの憂いを重ね、この詩を書いたそうです。

夏の季節の歌を楽しんでみられてはいかがでしようか😊♬