楽曲のイントロで、かすかに混じる“ザラッ”とした声。
サビ前の語尾で、ふっと力が抜けるような低い響き。
あの正体が「エッジボイス」です。
英語ではボーカルフライと呼ばれ、声帯をゆるく閉じた状態で低く振動させる発声法。単なるかすれ声ではなく、声帯閉鎖をコントロールして生み出す意図的な音色です。
日本では去年の紅白歌合戦にも出場したサビ前のエッジボイスが魅力的なあの人などが思い浮かぶでしょう。
気づかないうちに聴いているけれど、実は“印象を決定づける重要なテクニック”。それがエッジボイスです。
なぜプロはエッジボイスを使うのか?
理由はシンプルです。
「感情の解像度が上がるから」
人の声は、ただ音程が合っているだけでは心に届きません。
息の量、声帯の閉じ具合、倍音のバランス――その微細なニュアンスが、聴き手の感情を動かします。
エッジボイスは、
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ささやきよりも芯がある
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地声よりも脱力している
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裏声よりも現実的
という“中間の質感”を持っています。
だからこそ、色気・切なさ・アンニュイさといった繊細な感情を描写できるのです。
エッジボイスの出し方【感覚からつかむ】
難しく考える必要はありません。まずは体感してみましょう。
① 声を限界まで低くする
ため息をつく直前のような、最も低い声を出します。
「あ゛ーー」と、ほぼ息だけに近い感覚です。
このとき、声が「プツプツ」と途切れるように振動すれば成功。
それがエッジボイスの基本形です。
② 息を減らす
多くの人は息を出しすぎます。
ポイントは最小限の呼気。声帯だけが小刻みに振動している感覚を探します。
③ 地声へスライドさせる
「あ゛ーー」から、そのまま自然に「あーー」に変化させます。
この“接続”ができると、曲中で実践的に使えるようになります。
エッジボイスが与える3つの印象
1. 距離が近い声
語尾に軽くエッジをかけると、耳元で話しているような親密さが生まれます。ラブソングで特に効果的です。
2. 心の揺らぎ
曲の入りやブリッジで使うと、「本音がこぼれた」ようなニュアンスになります。感情の“裏側”を表現できます。
3. 抜け感のあるクールさ
あえて力を抜いた響きは、今どきの洗練された印象につながります。頑張っていないのに上手い――そんな雰囲気を演出できます。
※ただし、やりすぎはNG※
エッジボイスは強力なスパイスです。
常に使うと、
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疲れている印象
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だらしない印象
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発声が弱い印象
につながる可能性があります。
また、喉に力を入れて無理に出すと声帯を痛めます。痛みや違和感がある場合は即中止が鉄則です。
実は「基礎トレ」にもなる
エッジボイスは表現技法であると同時に、声帯閉鎖トレーニングとしても活用されます。
正しく行えば、
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息漏れの改善
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地声の安定
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ミックスボイスの基礎強化
にもつながります。
つまり、オシャレなテクニックでありながら、実は“基礎力”そのものなのです。
まとめ:エッジボイスは「武器」になる
エッジボイスは、ただのかすれ声ではありません。
使いどころを理解し、コントロールできれば、
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色気
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深み
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クールさ
を自在に操れる表現ツールになります。
まずは脱力して、最小限の息で、低く小さく。
そこからあなたの声の可能性は一段階広がります。
「なんとなく上手い」から
「なぜか惹きつけられる声」へ。
その差を生むのが、エッジボイスです。
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