腹式呼吸とは、横隔膜(おうかくまく)という筋肉を主に
使って行う呼吸法のことです。胸ではなく、お腹が膨らんだり
へこんだりする様子から、「腹式」と呼ばれています。
普段、多くの人が無意識に行っているのは、胸が主に上下する
「胸式呼吸」です。しかし、歌や発声、リラックス、集中など、
様々な場面で腹式呼吸が推奨されます。
なぜ腹式呼吸が重要なのか?
腹式呼吸が歌や発声に重要とされる理由はいくつかあります。
・安定した息の供給: 腹式呼吸では、横隔膜が大きく動くことで、
肺により多くの空気を効率的に取り込むことができます。
これにより、安定した息の量と圧力を維持でき、声のロングトーン
(長く伸ばす声)や声量をコントロールしやすくなります。
・喉への負担軽減: 息が安定すると、無理に喉で声を出そうとする
必要が減り、喉への負担が軽くなります。これは、喉枯れや声の
不調を防ぐ上で非常に重要です。
・豊かな声の響き: 横隔膜の動きがスムーズになると、身体全体が
リラックスし、声が身体の深部から響きやすくなります。
特に低音を出す際には、胸や腹部への響き(共鳴)が重要に
なるため、腹式呼吸は不可欠です。
・リラックス効果: 腹式呼吸は副交感神経を優位にする働きが
あるため、心身をリラックスさせる効果があります。
緊張しやすい発表の場や、集中したい時に役立ちます。
腹式呼吸のやり方
言葉で説明すると少し難しく感じるかもしれませんが、
ポイントを押さえればすぐに感覚を掴めます。
1.姿勢を整える:
立っても座ってもOKですが、最初は仰向けに寝るのが最も感覚を
掴みやすいです。膝を軽く立てるとよりリラックスできます。
肩や首の力を抜いて、リラックスしましょう。
2.お腹に手を置く:
・片手をおへその少し下あたり、もう片手を胸に置きます。
これは、どこが動いているかを意識するためです。
3.息を吸う:
鼻からゆっくりと息を吸い込みます。この時、お腹が自然に
膨らむのを感じてください。胸はできるだけ動かさないように
意識します。
・「お腹に空気が入る」というよりは、「横隔膜が下がることで
内臓が押し出されてお腹が膨らむ」というイメージです。
4.息を吐く:
・口からゆっくりと、細く長く息を吐き出します。
・この時、お腹がへこんでいくのを感じてください。
お腹の筋肉を使って、お腹をへこませていくイメージです。
・全て吐き切ったら、再びお腹が自然に膨らむように
息を吸い込みます。
練習のコツとポイント
・焦らない: 最初は難しく感じるかもしれませんが、
繰り返し練習することで徐々に慣れてきます。
・意識を向ける: 「お腹が膨らむ・へこむ」という感覚に
ひたすら意識を向けましょう。
・リラックス: 力が入るとうまくできません。肩や首、
顔の力を抜いて、楽に行いましょう。
・毎日続ける: 短時間でも良いので、毎日続けることが
習得への近道です。
・ドッグブレス(ハッハッハッ): 犬が息をするように
「ハッハッハッ」と短く素早く息を吐く練習も、横隔膜を鍛え、
腹式呼吸の感覚を掴むのに非常に効果的です。
腹式呼吸が身につくと、普段の話し声にも深みが増したりと、
様々な良い影響があります。ぜひ、焦らず練習してみてくださいね。
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