「歌に抑揚をつける」とは、声の大きさ(強弱)、
速さ(テンポ)、音程の上下、声質などを変化させる
ことで、歌に表情や感情、奥行きを与えることです。
1. 声の強弱(ダイナミクス)をつける
最も基本的で分かりやすい抑揚のつけ方です。
〇 意識するポイント:
・小さい声(ピアノ): 囁くように歌う部分、
内省的な歌詞、曲の始まりや静かな部分などで使います。
・大きい声(フォルテ): 盛り上がるサビ、感情を
爆発させる部分、力強いメッセージを伝えたい部分
などで使います。
・クレッシェンド(だんだん大きく)/
デクレッシェンド(だんだん小さく): 音の始まりから
終わりにかけて、徐々に声量を変化させます。
感情の盛り上がりや収束を表現できます。
〇 練習方法:
・シンプルなフレーズを、小さな声から大きな声まで
段階的に変化させて歌ってみる。
・一音一音を長く伸ばしながら、だんだん大きく、
だんだん小さくを繰り返す練習(ロングトーンで
ダイナミクスをつける)。
2. テンポ(速さ)を変化させる
楽曲全体のテンポは変えなくても、フレーズ内で微妙に
速さを調整することで抑揚が生まれます。
〇 練習方法:
・歌詞の内容を深く読み込み、どの言葉を強調したいか、
どの部分で感情をためたいかを考える。
・カラオケや伴奏に合わせて、意図的にテンポを
ずらしてみる練習。
3. 音程の変化を意識する(ピッチとメロディ)
音程は楽譜通りに歌うのが基本ですが、細かなピッチの
コントロールで感情を加えることができます。
〇 意識するポイント:
・しゃくり(下から音に到達する): 感情がこみ上げて
くるような、切ない、あるいは力強い感情を
表現する際に使われます。
・フォール(上から音に滑り落ちる): 余韻を残したり、
諦めや憂鬱な感情を表現したりする際に効果的です。
・ビブラートの深さや速さ: ビブラートの質を変化
させることで、感情の揺らぎや安定感を表現できます。
〇 練習方法:
・歌詞の感情に合ったしゃくりやフォールを意識して、
実際に声に出してみる。
・ボーカルレッスンCDなどで、プロの歌い方を真似てみる。
4. 声質や響きを変化させる
声のトーンや響き方を変えることでも、感情を表現できます。
〇 意識するポイント:
・柔らかい声/硬い声: 優しさや繊細さを表現したい時は
柔らかく、力強さや決意を表現したい時は硬めに。
・ブレス(息)の混じり具合: 囁くような、あるいは
切ない表現には、あえて息の音を多めに含ませる。
・ファルセット(裏声)/ミックスボイス/
チェストボイス(地声)の使い分け: 高い部分を
ファルセットで歌い、儚さを表現したり、サビで
ミックスボイスで力強さを出したり。
〇 練習方法:
・同じフレーズを、異なる声質で歌い分けてみる。
・様々なジャンルの曲を聴き、歌手がどのように声質を
使い分けているか分析する。
練習のプロセス
1.曲をよく聴き込む
2.歌詞を読み込む
3.歌ってみる(録音する)
4.改善点を見つける
5.繰り返す
抑揚は、歌い手の個性を引き出し、聴き手を惹きつける
魔法のようなものです。様々な表現方法を試しながら、
自分の歌に合った抑揚のつけ方を見つけていってください。

