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プロが教える“伝わる歌声”の秘密:共鳴と母音形成の科学【ナユタス川西】

「上手い」と「心に響く」は、似て非なるものです。音程やリズムが正確なだけでは、リスナーの心を動かすことはできません。では、伝わる歌声には何が必要なのでしょうか?

答えのひとつが「共鳴」と「母音形成」です。これは単なるテクニックではなく、声を通じて人の心に届く“音の構造”に関わる、科学的かつ芸術的な要素なのです。


声の響きは「共鳴腔」で決まる

人の声は、声帯で作られた音が、のど・口・鼻などの空間を通って響くことで完成します。これらの空間を「共鳴腔(きょうめいくう)」と呼びます。具体的には次の3つが主な共鳴腔です。

  • 咽頭腔(いんとうくう):喉の奥の空間

  • 口腔(こうくう):口の中の空間

  • 鼻腔(びこう):鼻の中の空間

声を「共鳴させる」とは、この空間に音波をうまく響かせること。これにより、同じ声量でも遠くまで届く声、透明感のある声、芯のある声が生まれるのです。

クラシック声楽の世界では、「マスケラ(仮面)」と呼ばれる顔の前面に響きを集める意識が重視されます。一方、ポップスやミュージカルでは、共鳴の種類を歌のジャンルに合わせて調整する柔軟性が求められます。


母音が音色を作る

実は、私たちが話す・歌うとき、もっとも音色に影響を与えているのは「母音」です。
「ア・エ・イ・オ・ウ」という母音は、それぞれ音の通り道が違い、共鳴の仕方も変わります。

たとえば、「イ」の母音は舌が高く、口腔が狭くなり、明るくて鋭い音に。逆に「オ」は舌が低く、口腔が広がり、丸く深い響きになります。
プロの歌手が母音を少し変化させることで高音を楽に出したり、音色を整えているのは、まさにこの効果を使っているのです。

ここで重要になるのが、「フォルマント」という概念です。フォルマントとは、母音ごとに特定の周波数帯域が強調される現象で、これによって人間は「あ、これは“ア”の音だ」と認識できます。つまり、正しく響く母音は、聴き手にとって心地よく、かつ明瞭に届くのです。


よく響く声=よく伝わる声

声は単なる音ではありません。感情や表現、意志を伝えるメッセージです。
だからこそ、正確な発音や高い声量よりも、「どう響かせるか」「どう伝えるか」が重要になります。

“伝わる”歌声は、単にパワフルだったり技巧的だったりするわけではありません。共鳴を適切に使い、母音を美しく響かせることで、自然と声に説得力が生まれるのです。

また、良い共鳴が生まれると、声帯への負担が減り、長時間歌っても疲れにくくなります。これはプロの現場で非常に重要なポイントです。


ボイストレーニングで変わる「伝わる声」

「自分の声が通らない」「高音がキンキンする」「録音するとこもって聴こえる」——そんな悩みを抱える方の多くは、共鳴腔の使い方や母音の響かせ方に原因があります。

逆に言えば、これらをトレーニングすることで、誰でも「聴きやすく、伝わる声」に変わる可能性があるのです。

実際のレッスンでは、次のようなことを行います。

  • ミラー練習による口腔の動きチェック

  • ストロー発声(SOVT)で共鳴腔を開放

  • フォルマントを意識した母音別トレーニング

  • 歌詞の母音を意識したフレーズ練習

「声って、こんなに変わるんだ」と驚かれる方も少なくありません。


体験してこそ分かる「響きの感覚」

声の響きや母音のコントロールは、知識だけでは身につきません。体感して、自分の声の変化を“聴く”ことで初めて理解が深まります。

もしこの記事を読んで、「もっと響く声で歌いたい」「心に届く歌を歌いたい」と思ったなら、一度レッスンでその感覚を体験してみませんか?

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