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倍音とは?歌声・楽器の響きをつかさどる音の物理法則をわかりやすく解説

こんにちは!NAYUTAS(ナユタス)町田校です。

音楽は私たちの日常を彩るだけでなく心を癒し、感情を豊かに表現するための重要な手段です。

そのなかでも「倍音」という音響現象は、楽器の音色や人の声に深い影響を与え、私たちが感じる音楽の魅力を支えています。

同じ音程の音でも、楽器や声の違いで響きが変わるのは、倍音の響きが異なるためです。

倍音は演奏や歌唱の表現力を高めます。

また、倍音を活かすべくボイストレーニングを行えば、歌声はより豊かで感情的な響きを獲得するでしょう。

そもそも倍音は、引力や慣性などと同様にこの宇宙をつらぬく、音声にまつわる物理法則です。

今回はそんな倍音の成り立ちと役割に迫ります。

倍音の理解によって音楽体験を、一層豊かなものにしましょう!

音の物理法則「倍音」とは簡単にいえば

倍音は音楽における基礎的な要素のひとつであり、私たちが耳にする音の美しさや個性に深く関わっています。

たとえば、楽器や人の声から出る単一の音には、実は複数の周波数が含まれています。

そのうち最も低い周波数が「基音」と呼ばれ、その上にいくつもの倍音が重なることで音色が決まります。

また、倍音の構成は、同じ楽器でも演奏方法によって変化するものです。

この章では、倍音の仕組みと役割を見ていきましょう。

倍音の基本原理をギターでわかりやすく説明!

倍音とはある音が鳴ったときに、それを「基音」として同時に自然発生する整数倍の周波数を持つ音です。

倍音を、多くの人にとって身近な楽器であるギターで説明しましょう。ギターに張られた弦の、ナットからブリッジまでの長さは、一般的に648mmです。

ギターのチューニングの際に基準となる音叉のA4(440Hz)は、ギターの5弦の5フレットのハーモニクス音を合わせる場合が多いです。(4弦の7フレットでもできます。)

5弦の開放(A2)と音叉(A4)は、2オクターブの開きがあってもA音同士なのでチューニングは可能です。

しかし正確に行うため、5フレット(648mmの1/4に当たる箇所)に触れて、2オクターブ上の音をハーモニクスで出します。

チューニングが合えば5弦の開放を弾くと、A4からいえば2オクターブ下のA2(110Hz)が鳴ります。

その音は1秒間に110回振動します。このとき、実は弦が大きく振動しながらその半分、1/2の324mmとしても振動しているのです。

この部分は1秒間に2倍の220回振動します。つまり、5弦開放のA2が鳴る時は1オクターブ上のA3(220Hz)も含まれるのです。これがA2から見て2倍音と呼ばれます。

さらに1/3の216mmの部分も110回の3倍(330回)振動し、5弦開放の1オクターブ上のA3+完全五度のE3(330Hz)が鳴ります。これがA2から見て3倍音です。

加えて、1/4の162mmの部分も110回の4倍(440回)振動し、開放の2オクターブ上のA4(440Hz)も鳴ります。これがA2から見て4倍音です。

つまり5弦開放のA2を引いたときに、実はずばり音叉と同じA4も鳴っています。

この要領で、倍音は整数倍にて無限に発生するのです。

とはいえ、人間に聴き取れて共鳴で問題になるのは8倍音(3オクターブ上)くらいまでと考えてよいでしょう。

これと同様のことが、ほかのあらゆる楽器や歌声で起こります。

個々の楽器の構造、人でいえば骨格や共鳴腔の形状がそれぞれ異なるため、楽器や声の響きもそれぞれ異なるわけです。

そのため別の人が同じ音程で歌っても、当然ながら響きは違います。

倍音とは歌声や楽器演奏の個性を形づくる要素

つまり、倍音は歌声や楽器演奏の「個性」を形成する要素として、大きな役割を果たします。

倍音がたくさん鳴れば鳴るほど、音声は豊かに響くのです。

ピアノの1音から、演歌歌手の魂のこもった歌声、シタールの旋律に至るまで、ありとあらゆる音源において倍音が豊かな音楽表現を添えています。

なぜフルートの音は澄み渡り、コントラバスの音は重厚に響くのか?

その答えは、倍音が生み出す音の奥深さにあるといえるでしょう。

倍音による「音の奥深さ」の体感には、NAYUTAS町田校でのレッスンが役立ちますよ!

倍音の脳への影響

興味深いのは倍音が音楽だけでなく、私たちの感情や脳の働きにポジティブな影響を与える点です。

倍音を多く含む音楽を聴くと、脳波がアルファ波に移行し、心身のリラックスを促します。

「音浴」は、倍音の効果を利用したシンギングボウルやクリスタルボウルによって、深い癒しをもたらすヒーリングの方法です。音楽療法の分野で、注目されています。

倍音を利用した音楽療法は、ストレス軽減や集中力の向上に寄与するアプローチです。

幅広い年齢層で導入され、音楽の持つ力が生活の質を向上させる手段として活用されています。

ギターやピアノで簡単にできる倍音の出し方

弦楽器や鍵盤楽器では、演奏方法によって倍音を簡単に引き出すことが可能です。

たとえば、ギターのハーモニクスは、指で弦を軽く押さえて(ミュートして)弾き、倍音のみを響かせる手法です。

チューニング(調弦)や演奏のテクニックとして使われます。

ピアノではダンパーペダル(サスティニングペダル)を踏むとすべての弦、つまり88本の弦が解放され、弾いた鍵盤の倍音に当たる弦が共鳴して響きわたります。

この技術はクラシック音楽の表現に不可欠です。

非整数次倍音とは?整数次倍音との違い

倍音とひとくちにいっても、大きくは整数次倍音非整数次倍音の2つにわかれます。

整数次倍音とは、基音の整数倍の周波数で形成される倍音です。

整数次倍音は力強く透明感があるクリアな響きを多く含みます。

(ちなみに、周波数とは1秒間に振動する回数=振動数を意味し、単位はHz(ヘルツ)です。

一般的な音叉の440Hzは、1秒間に440回振動する音程であり、近年のピアノの調律で多い442Hzなら442回振動する音程となります。)

一方、非整数次倍音は、不規則な周波数で発生する倍音を意味します。

基音とのピッチの微妙なズレによって音がゆらぎ、不安定さを伴いますが、エモーショナルな独特の効果を与える倍音です。

ひとつの音でどちらか一方だけが鳴るというわけではなく、おおむね両方とも鳴ります。

ただし、それぞれの倍音の響きの違いや両者のバランスなどで、音色は無限大に変化しうるのです。

それぞれの倍音について、音質の特徴をまとめてみます。

整数次倍音の音質の特徴

  • クリアで明るい感じ
  • 力強さや存在感
  • 伸びやかで響きがよい

非整数次倍音の音質の特徴

  • ざらつき感(ハスキー)やこもった感じ
  • 温かみのある柔らかい印象
  • 複雑で深みのある音色

とりわけ人の声は、声帯の振動だけでなく、共鳴腔(鼻腔、口腔など)の形状や発声時の口の開け方など、さまざまな要因で複雑な波形を作ります。

そのなかに整数次倍音と非整数次倍音が混ざり合い、個性豊かな声となるのです。

また、倍音の響きは場面に応じて効果を発揮します。

カリスマ的なプレゼンを行う際には整数次倍音が効果的です。

一方、友人間のコミュニケーションで親近感を出すには、温かみがある非整数次倍音が役立つでしょう。

なぜ非整数次倍音が発生するの?

理論上では倍音はその名の通り整数倍になるはずですが、必ずしもそうはなりません。

非整数次倍音は音源の物理的な特性(素材や構造)や振動の振幅と速度の関係、音の伝播する環境などの多くの要因が複雑に絡み合って発生します。

突きつめれば人の声帯や楽器の構造が、「非線形」であるという動かしがたい事実です。

むずかしい言葉ですが、「ある量の変化が別の量の変化と比例関係(=線形)にない状態」を指します。

デジタル上では「線形」の世界が当たり前です。

ところが実際の物理世界では、楽器や声帯が複雑で微妙な非線形であるゆえに、非整数次倍音が発生します。

音楽ジャンルと倍音

誤解をおそれず少々乱暴にいえば、整数次倍音の典型はクラシック系の歌唱やピアノの音、非整数次倍音の典型はブルース系の歌唱やロック系のシャウト、ディストーションのかかったギターサウンドといったところです。

エレキギターの真空管アンプやディストーション系エフェクトは、非整数次倍音を増幅させ、迫力あるサウンドを生み出します。

それによってロック音楽の迫力あるサウンドが作れるのです。

楽器の種類による倍音の響きの違い

楽器の音色を形づくるうえで、倍音は極めて重要です。

同じ音を奏でても、楽器によってまったく異なる音色が生まれるのは、倍音の響きが異なるからにほかなりません。

ここでは、次に挙げる主な楽器の種類による倍音の違いについて見ていきましょう。

  • 鍵盤楽器
  • 弦楽器
  • 管楽器
  • 打楽器

鍵盤楽器の倍音(ピアノ等)

ピアノは、弦をハンマーで叩いて音を出すため、非常に多くの高次の倍音を含みます。

特に、低音域では2倍音が強く響き、豊かな低音を生み出すのです。一方、高音域では高次の倍音が減少し、澄んだ音色となります。

ハモンドオルガンは空気の振動を利用して音を出すため、ピアノとは異なる倍音構成を持つのです。

パイプオルガンは、パイプの長さや形状によって様々な倍音を生み出すことができ、荘厳で広がりのある音色を奏でます。

弦楽器の倍音(ギター等)

ギターやヴァイオリンなど、弦楽器は弦の振動だけでなく、胴体やネックの共鳴によって複雑な倍音構造が生まれます。

弦の材質や弦の長さ、弦の張り方などによって、倍音の構成が変化し、それぞれ特徴的な音色を生み出すのです。

管楽器の倍音(フルート等)

フルートやトランペット、サキソフォンなど、管楽器は管の長さや形状、マウスピースの種類、そして演奏技術によって発生する倍音が異なります。

多くの管楽器は、多くの高次倍音を発生させるのが特徴です。

明るく華やかな音色から、深みのある落ち着いた音色まで、多様な音色を作り出せます。

打楽器の倍音(シンバル等)

シンバルや和太鼓などの打楽器は打面の材質や形状、打撃の強さによって発生する倍音が変化します。

打楽器は不規則な非整数倍音を多く含み、リズムや楽曲の雰囲気を作り出すうえで重要な役割を持つ楽器群です。

吹奏楽と倍音

吹奏楽の魅力は、多くの楽器がただ単に音を重ねるだけでは生まれません。

その核心にあるのは音が響き合い、新たな世界を創り出す「倍音」の妙です。

クラリネットの澄んだ音色にホルンの暖かみが重なる瞬間、トランペットが光のように差し込み、低音楽器が大地のような安定感をもたらします。

ひとつの音が奏でられると、そこには基音とともに微細な倍音が漂い、耳には聴こえないかもしれない音の残響が空間を満たします。

個々の楽器が響かせる倍音同士が絶妙に交錯し、まるで生命を持つように豊かな響きを生み出すのです。

各楽器が独自の倍音を持ちながら、アンサンブルのなかでひとつの調和を目指すプロセスは、まるで異なる性格を持った人たちが互いを尊重しながらコミュニティを築くようにも思えます。

また、演奏者たちは音を出すことだけでなく、無音の瞬間すら楽しみます。

その静寂に漂う倍音の余韻は、まさに音の間(ま)の美です。

吹奏楽によって倍音が描く響きの風景により、オーディエンスはその瞬間、広大な宇宙の一端を垣間見ることができます。

歌手・ヴォーカリストで倍音がよく聞こえる人の例

肉声は最高の楽器ともいわれますが、歌手やヴォーカリストは倍音の響きによって個性が彩られます。

ここでは歌手やヴォーカリストで、倍音がよく聞こえる人たちの例をご紹介しましょう。

個性のかたまりともいえる宇多田ヒカルさんは、非整数次倍音の味わい深い音色と整数次倍音の透明感が交差する魅力的な歌声を持っています。

幅広いファン層を誇る桑田佳祐さんは、非整数次倍音が強く鳴りつつ整数次倍音の芯が通ったゴージャスな声質で老若男女を魅了してやみません。

若くして本格派シンガーの風格を漂わせるmiletさんの声は、非整数次倍音が持つ温かながらもブルージーな気だるさと、整数次倍音の持つクリアさをあわせ持つ素敵な音色です。

世界観の多彩さ、キャッチーさ、さまざまな技術において無双状態ともいえるVaundyさんは、「倍音の何たるか」を体得しているかのような、自在に倍音を使い分ける歌唱で聴くものを圧倒します。

倍音とボイトレ

ボイトレ(ボイストレーニング)では、倍音を意識した発声が重視されます。

声をコントロールするための大切な要素は、基音と倍音のバランスを整えることです。

共鳴腔を適切に調整しつつ声帯のリラックスを保てば、魅力的な倍音を響かせることができます。それによって歌やMCの持つ魅力を、最大限に引き出せます。

倍音を意識し、ブレス(息つぎ)や共鳴の具合をコントロールできるようになれば、個性的な声の響きを獲得できるでしょう。

まとめ

倍音は、私たちが耳にする音の奥深さや個性を生み出す根幹的な要素です。

基音に重なる倍音が声や楽器の音色に影響し、同じ楽曲を無限に変化させます。

整数次倍音は明るさや力強さ、非整数次倍音は温かみやエモーショナルな響きを音色に与えるでしょう。

また、倍音はアルファ波を引き出し、リラクゼーションを促進します。

倍音の理解は音楽活動の質を高め、メンタル的にもよい影響を与えるものです。

 

ナユタス町田校では、聴覚の感度を高め、より豊かな音楽体験をもたらすためのお手伝いをしています。

倍音を意識して音楽に向き合えば日常生活に新たな視点が加わり、表現手段としての歌や演奏がさらに身近になるでしょう。

音楽を通じて自身を豊かにするために、ぜひレッスンを通じて倍音の世界を探求してみてください。

 

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