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【年代別にみる日本の音楽の歴史と特徴 1970年代 】 NAYUTAS水戸校 東郷 海

1970年代の日本の音楽と歌の魅力

1970年代の日本の音楽は、現在のJ-POPへとつながる大きな流れが生まれた重要な時代でした。この頃、日本の音楽シーンではフォークソングやニューミュージックと呼ばれるスタイルが広まり、多くのシンガーソングライターが登場するようになります。それまで主流だった歌謡曲とは異なる新しい表現の形が生まれ、日本のポップミュージックの方向性を大きく変えるきっかけとなりました。

1960年代までの日本の歌謡曲は、作曲家や作詞家、編曲家といった専門のクリエイターが楽曲を作り、歌手がそれを歌うというスタイルが一般的でした。しかし1970年代に入ると、自分で作詞や作曲を行い、自分の言葉で歌うシンガーソングライターが増えていきます。アーティスト自身の体験や感情、日常の出来事などがそのまま歌詞として表現されるようになり、聴く人にとってより身近で共感しやすい音楽が広がっていきました。

フォークソングは、比較的シンプルな楽器編成と素朴なメロディを特徴とし、社会や若者の思いを歌う音楽として人気を集めました。その流れの中で、よりポップで洗練されたサウンドを持つニューミュージックというスタイルも生まれていきます。ニューミュージックはフォークの精神を受け継ぎながらも、都会的で幅広い音楽要素を取り入れた新しいポップミュージックとして、多くのリスナーに受け入れられていきました。

歌詞の内容にも大きな変化が見られます。それまでの歌謡曲では恋愛や人生をドラマチックに描くものが多くありましたが、1970年代のフォークやニューミュージックでは、日常のささやかな出来事や個人的な気持ち、季節の風景などを繊細に表現する歌が増えていきました。こうした等身大の表現は、聴く人の心に自然と寄り添うものとなり、多くの共感を呼びました。

また、この時代の音楽は歌い方にも大きな特徴があります。1970年代の歌唱では、派手なテクニックを見せることよりも、言葉を丁寧に伝えることが重視されていました。歌詞の一つ一つを大切にしながら、まるで語りかけるように歌うスタイルが多く、日本語の響きやリズムを生かしたメロディが印象的です。そのため、歌の世界観や物語が聴き手にしっかりと届くような表現が大切にされていました。

さらに、この時代の楽曲はメロディラインが比較的シンプルで覚えやすいものが多いのも特徴です。複雑な装飾や高度なテクニックよりも、歌の基本となる部分がしっかりと作られている曲が多く見られます。音程を安定させること、息の流れを意識すること、フレーズを自然につなげることなど、歌の土台となる要素が丁寧に組み立てられているため、歌の基本を理解するうえでも非常に参考になる楽曲が多い時代だと言えるでしょう。

1970年代の音楽を聴くと、声の派手さや華やかな演出よりも、歌そのものが持つ魅力がしっかりと伝わってきます。余計な装飾が少ないからこそ、メロディの美しさや歌詞の言葉の力がよりはっきりと感じられます。そのシンプルさの中に、音楽としての深い表現力が込められているのです。

現在の日本の音楽シーンを見ても、この時代の楽曲がカバーされたり、当時の音楽に影響を受けたアーティストが多く存在します。シンガーソングライター文化や、言葉を大切にする歌のスタイルなど、1970年代に生まれた要素は今のJ-POPにも受け継がれています。日本のポップミュージックの原点の一つとして、1970年代は今でも多くの人に大切にされている時代だと言えるでしょう。