こんにちは!
ナユタス武蔵小金井校のボイトレ講師、月瀬はるひです。
さて、5月にある発表会が近づいてきて、出演される方の曲も少しずつ決まってきました。
普段は基礎の発声を中心に練習している生徒さんたちとも、最近はレッスンの中で「表現」についてお話しする機会が増えてきました。
どう歌えば伝わるのか、自分らしさはどこに出るのか。
そんなお話をする中で、よくお伝えしているのが「歌っているところだけが歌ではない」ということです。
フレーズとフレーズの間や、声を出していない“余白”。
その一瞬の緊張感や空気があるからこそ、曲の世界観がぐっと立ち上がるのではないかと思います。
その中でも特に大切なのが「ブレス(息を吸う瞬間)」です。
ブレスはただの準備ではなく、その一瞬で次のフレーズの空気感や感情の方向が決まっていきます。
さて次は、表現の練習や習得について少しお話ししてみます。
表現という分野は、プロの歌い方を聴くことでとても分かりやすく学べるものです。
① 多くのアーティストを聴く
普段よく聴くアーティストだけでなく、あまり触れてこなかったジャンルや歌手にもぜひ耳を向けてみてください。
そして“楽しむために聴く”というよりも、「ブレスだけに注目する」「語尾の表現だけに注目する」といったように、少し視点を変えて聴いてみるのもおすすめです。
② 真似をしてみる
その中で「いいな」と感じた表現や、自分の声に合いそうだなと思ったものを見つけて、真似をしながら練習してみてください。
このときは、自分の声を録音しながら行うと、より変化に気づきやすくなると思います。
「真似をすると自分らしさがなくなるのでは」と不安に思う方もいらっしゃいますが、
好きなものや合うものを少しずつ集めていく中で、自然とその人らしさが形になっていくものだと思います。
さて今回は、最初にお話しした“ブレス”の使い方が印象的なアーティストを、いくつかご紹介します。
① 椎名林檎 さん
楽曲ごとに歌い方で世界観が大きく変わるところが魅力的です。
ブレスの美しさを特に感じるのは『人生は夢だらけ』や『ギブス』。
『人生は夢だらけ』は、曲の中で雰囲気がどんどん変わっていく中で、ブレスの入れ方も一緒に変化していくのが印象的です。
② Aimer さん
独特の声質ももちろん魅力ですが、“ブレスを聴かせる”ことで世界観を作っている点が印象的です。
『カタオモイ』では、リズムだけでなくブレスも含めて一つの音楽として成立していて、空気ごと作品になっているように感じられます。
③ 平井堅 さん
男性アーティストの中で、ブレスと聞いてまず思い浮かぶ存在です。
『ノンフィクション』や『瞳をとじて』では、ブレスの取り方がとても印象的です。
特に『ノンフィクション』では、一瞬呼吸が止まったような“間”のあとに入るブレスが、強い緊張感や感情を生み出しています。
“言葉としての歌”を大切にしている表現が伝わってきます。
他にもブレスが印象的なアーティストはたくさんいるので、ぜひいろいろ聴いてみてくださいね。
個人的には、YouTubeのTHE FIRST TAKEでのブレスを聴くのもとても好きです。
ブレス一つをとっても、アーティストごとに表現の仕方はさまざまです。
それを意識して聴いてみるだけでも、歌の感じ方が少し変わってくるのではないかと思います。
表現というと少し難しく感じるかもしれませんが、まずは「知ること」や「気づくこと」から、ゆっくり広がっていくものです。
発表会を控えている生徒さんはもちろん、今回は出ないという方も、
「今のブレスはどんな印象に聞こえましたか?」
「このフレーズ、どんな吸い方が合いそうですか?」
といったことを、ぜひ気軽に聞いてみてください。
実際に試しながら、その方の感覚や声に合った表現を一緒に見つけていく時間も、とても大切にしています。
表現にも少しずつ目を向けてみてください。
きっと今までとは違う歌の面白さが見えてくると思います。

