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ボイストレーニングコース

【おさと先生】「あなただけの声を見つける」おさとのレッスン部屋④ 〜「緊張」とどう付き合う?〜|NAYUTAS武蔵小杉校

おさとです。

今日はレッスンの様子をお届け!
人前で歌う時、つい緊張してしまうAさんのレッスンです。


「人前で歌うと、どうしても声が震えてしまう」

そう打ち明けてくれたのは、レッスンに通い始めて4ヶ月のAさん(仮名)。
落ち着いたトーンの声で、絢香の『三日月』や中島美嘉の『雪の華』などの
バラードをいつもレッスンでしっとりと聞かせてくれます。
そんなAさんの悩みが人前になると声が震えて上手く歌えないこと。


何かを人前で披露する時、いつもエゴとの戦いが始まります。
「上手いと思われたい」「上手く歌えるかな」
なんて自分がどう見られるかが気になって、外野に気が散ってしまう。
要するに、曲に集中できないのです。
Aさんは言いました。

「前奏の時間が一番気まずいです。」

わかる…会話の沈黙みたいな気まずさですよね。
と言って、そうそう!と2人で笑いました。
この日のレッスンテーマは“曲に集中すること”にしました。


やってもらったのは、目を瞑って歌うこと。
視界を塞ぐと、外界の情報がシャットアウトされます。
感じられるのは耳から入ってくる音と、空気感だけ。

前奏の時間をどう過ごすか、私が実演して見せた後にAさんに真似してもらうことに。
「うまく歌おうとしなくていい。自分のことはどうでもいい。」
そう声をかけると、彼女は小さく「はい」と言って目を瞑りました。


前奏の間、呼吸が静かに落ち着いているのがわかる。
見よう見まねでも、曲に集中しようとするAさんの気持ちが心地よい沈黙を産んでくれました。
この時間が世界で1番好きかもしれない。
「ハラを決める」というのは、力むことではなく、気持ちの置き場所を定めること。
彼女はその感覚をちょうど掴み始めているようでした。


歌い始めると、まあ、ホント不思議。
具体的に発声をいじったわけではないのに、
“安心して聴ける声”になっているのです。音程も良くなっている。
曲の世界に入り込み、最後まで集中が途切れない。
途切れないように努力している。
大きなフレーズも息が自然に伸び、曲の表情まで豊かになった。

歌い終えた彼女は、少し驚いた顔をしていました。
「なんだか、安心して歌えました。」


緊張の元は見栄やエゴ。
私たち歌手がやるべき第一は曲を理解し、愛することです。
自分のことはちょっと脇に置いて、ただ音の流れに身を預けていく。
そうすると、声はおのずと本来のまろやかさを取り戻してくれるのです。

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