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星野源『好き』歌詞考察「自分を好きになる」ではなく、“好き”を通して自分を受け入れていく歌

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こんにちは!ナユタス堺東校です😊

今回歌詞を考察するのは、星野源『好き』

タイトルだけを見ると、
誰かへの恋心を描いたラブソングを想像する方も多いのではないでしょうか。

しかし歌詞を読み進めていくと
この曲で描かれる「好き」はもっと広く、そして少し複雑です。

何かを好きになる気持ち。

自分自身への気持ち。

周囲からどう見られるか。

そして、変わり続ける「私」。

特に印象的なのが、

   私この好きが好きだ

という言葉です。

「自分が好き」と言い切るのではなく、
まずは自分の中に生まれた“好き”という感情を好きになる。

そこから少しずつ「君が好き」へと変わっていきます。

今回は、この変化を中心に『好き』の歌詞を考察していきましょう。

「好き」は誰かに認めてもらう必要がない

   不意に胸に咲いた
   この心が跳ねて仕方ないな
   誰の許可もいらないもの
   幼い日にあったもの

冒頭で描かれる「好き」は、頭で考えて生まれた感情ではありません。

「不意に胸に咲いた」ものです。

好きになろうと決めたわけでも、誰かから「好きになっていい」と言われたわけでもない。

気づいたら心が跳ねていた。

そして非常に重要なのが、

「誰の許可もいらないもの」

という言葉ではないでしょうか。

大人になるほど、

「こんなものを好きって言ったら変かな」

「周りからどう思われるかな」

「もっと評価されているものを好きな方がいいかな」

と、他人の視線が入り込んできます。

でも子どもの頃は、もっと単純だったはず。

好きだから好き。

それだけでよかった。

この曲はまず、その原始的な感情を取り戻すところから始まっているように感じます。

「これが“好き”か」――感情に名前をつける瞬間

   これが “好き” か
   言葉には
   しなくていいけど

ここも面白い部分です。

「好き!」と力強く宣言するのではなく、

「これが“好き”か」

と、自分の中に生まれた感情を発見したような言い方になっています。

さらに、「言葉にはしなくていい」と続きます。

誰かへ説明する必要もない。

SNSで発信する必要もない。

誰かに理解してもらえなくてもいい。

自分の心が動いたという事実そのものに価値がある。

この曲における「好き」は、誰かに認めてもらうためのものではなく
自分と自分自身をつなぎ直すための感情なのかもしれません。

「私が好き」ではなく「この好きが好き」なのが重要

   いま すべて嫌いな
   鏡の君がきらり
   まだ 変われないけど
   私この好きが好きだ

ここで一気に、この曲の核心へ近づいていきます。

主人公は、自分のことを完全に好きになれているわけではありません。

むしろ、

「すべて嫌いな 鏡の君」

とまで表現されています。

鏡に映る「君」は、おそらく自分自身なのでしょう。

それなのに一瞬、「きらり」と光る。

そのきっかけになっているのが、
自分の中に生まれた「好き」という感情なのではないでしょうか。

そして主人公はまだ、

「私は私が好きだ」

とは言いません。

言うのは、「私この好きが好きだ」です。

自分自身を丸ごと肯定することはできない。

でも、何かを好きになれた自分の心なら、少し好きになれる。

この一段階を挟んでいるところが、とてもリアルです。

「月が綺麗なのは気のせい」がこの曲らしい

   月が綺麗なのは
   気のせいだが
   それが私たちだ

「月が綺麗」という言葉には、どこかロマンチックな響きがあります。

ところが、この歌ではすぐに、

「気のせいだが」

と続きます。

とても星野源さんらしい、ロマンチックさと現実感が同居した表現にも感じられます。

月そのものが昨日より美しくなったわけではない。

自分の気持ちが変わったから、綺麗に見えているだけかもしれない。

でも、それでいい。

人は客観的な事実だけで生きているわけではありません。

同じ景色でも、幸せな日は美しく見える。

落ち込んでいる日は灰色に見える。

世界がどう見えるかは、自分の心によって変わる。

その「気のせい」まで含めて私たちなのだ、と歌っているように感じます。

「誰も見向きしなくていい」――好きに“価値”はいらない

   誰も見向きしなくていい
   笑うなら危すよ
   どうでもいいや
   彼らには
   勝ちなどないから

ここでは、周囲の評価からさらに距離を取っていきます。

自分が好きなものを、他人が評価してくれるとは限りません。

誰にも注目されないかもしれない。

笑われるかもしれない。

でも、

「どうでもいいや」

なのです。

さらに興味深いのが、

「彼らには 勝ちなどないから」

という表現。

好きなものを笑う人と争って、
「自分の好きの方が正しい」と証明する必要さえないのでしょう。

そもそも「好き」は勝ち負けを決めるものではない。

誰かから高い評価をもらったから価値が生まれるものでもない。

自分の心が動いた時点で、もう成立している。

冒頭の「誰の許可もいらないもの」ともつながっているように感じます。

「この好きが好き」から「この君が好き」へ

   いま すべて嫌いな
   鏡の君がきらり
   まだ 変わらなくても
   私この君が好きだ

最初のサビでは、

「私この好きが好きだ」

でした。

ところが、ここでは、

「私この君が好きだ」

へ変わります。

たった一文字のような小さな変化ですが、この曲全体で見ると非常に大きな変化です。

最初は自分の中に生まれた「好き」という感情しか肯定できなかった。

でも、その気持ちを大切にしていくうちに、

そんな感情を持っている「君=自分」まで好きになり始める。

しかも、

「まだ変わらなくても」

なのです。

理想の自分になれたから好きなのではありません。

欠点を全部直したからでもない。

今の自分のままでも、少しだけ好きだと思えるようになった。

この変化こそ、『好き』という曲の大きな物語なのではないでしょうか。

「ありのままでいい」を、そのまま肯定しない

   本当は
   ありのままでいい なんて嘘でしょ
   そのまま 君は
   大きくて 多すぎて
   移ろえるから

ここは、この曲の中でも特に印象的な部分です。

自己肯定をテーマにした歌なら、

「ありのままの自分でいい」

と着地しても不思議ではありません。

ところが『好き』は、それを

「嘘でしょ」

と言ってしまいます。

なぜなのでしょうか。

その答えが、

「移ろえるから」

にあるように思います。

人間はずっと同じではありません。

昨日好きだったものが、今日は違うかもしれない。

昔の自分には似合わなかったものが、今は好きかもしれない。

考え方も、性格も、価値観も少しずつ変わっていく。

つまり「ありのままの自分」を一つの完成形として固定すること自体が、
この曲では少し違うのかもしれません。

今の自分を無理に固定しなくていい。

変わってもいい。

その時々の自分を見つけ続ければいい。

そんな自己肯定の形が見えてきます。

最後は「変わらなくても」から「変わり続ける」へ

   いま 変わり続ける
   鏡の君がきらり
   まあ どうでもいいけど
   私この君が好きだ

ここで、それまでの歌詞が一つにつながります。

最初は、

「まだ変われないけど」

でした。

次は、

「まだ変わらなくても」

になります。

そして最後には、

「変わり続ける」

へ。

主人公が突然、理想の人間へ生まれ変わったわけではありません。

むしろ、

人はずっと変わり続けるものなのだ

と気づいたようにも読めます。

だからこそ「鏡の君」がきらりと光る。

完璧になったからではありません。

好きなものを見つけたり、嫌いになったり、迷ったりしながら変化していく。

そんな不安定な自分も含めて、

「私この君が好きだ」

と思えるようになった。

そして最後には、

   胸の中から
   こんな歌聴こえる
   聴こえる!

と、歌そのものが自分の内側から湧き上がってきます。

冒頭では「好き」という感情を発見しただけだった主人公が、
最後にはその気持ちを自分自身の声として鳴らせるようになった

そんな変化にも感じられます。

まとめ|星野源『好き』は「自分を好きになろう」と無理をしない歌

『好き』を読み解いていくと、この曲は単純に、

「自分を好きになろう!」

と背中を押す歌ではないように感じます。

むしろ最初の主人公は、

「すべて嫌いな 鏡の君」

を見ています。

そこからいきなり自分を愛するのではなく、

何かを好きになった。

そんな「好き」という気持ちを持つ自分が少し好きになった。

やがて「君=自分」そのものを好きだと思えた。

という順番で、少しずつ変化していきます。

そして最終的には「ありのまま」という言葉に留まることさえせず、

変わり続ける自分を好きになる。

ここが、この曲の面白いところではないでしょうか。

「自分を好きになれないなら、好きにならなきゃ」

と無理をする必要はない。

まずは、

「私はこれが好き」

と思えるものを大切にしてみる。

音楽でも、服でも、食べ物でも、趣味でも、人でもいい。

誰の許可もいらないし、誰かに評価される必要もない。

その小さな「好き」を大切にしているうちに、

それを好きだと思っている自分自身まで、少し違って見えるかもしれない。

だから最初は「この好きが好き」で、最後には「この君が好き」。

『好き』というシンプルなタイトルには、何かを愛することから自分自身との関係まで変わっていく物語が込められているのかもしれません😊

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