こんにちは!ナユタス堺東校です😊
別れた相手には幸せになってほしい。
そう思えたら、きっと綺麗な別れなのかもしれません。
でも実際の恋愛は、そんなに簡単ではないですよね。
「不幸を願っているわけじゃない。でも、私のことを忘れて幸せになられるのも嫌。」
monet feat.花隈千冬『分かっちゃいないね』には、そんな矛盾した感情が何度も登場します。
タイトルにもなっている「分かっちゃいないね」という言葉も、
最初は相手へ向けられているように見えます。
ところが曲が進むにつれ、
「分かっていないのは、本当に君だけだったのか?」
という疑問が浮かんできます。
今回は『分かっちゃいないね』の歌詞を追いながら、
別れた二人の間に残った「愛」と「呪い」、
そして最後まで消えない主人公の気持ちについて考察していきます。
「君の不幸を願ったりはしないわ」に隠れた本音
私の居ない将来に
どうぞよろしく伝えて頂戴ね
知らない生活を想像して
だけど君の不幸を願ったりはしないわ
冒頭から主人公は、自分がいなくなったあとの「君」の生活を想像しています。
「不幸を願ったりはしない」という言葉だけを見れば、
相手の未来を受け入れようとしているようにも感じられます。
しかし、少し引っかかるのが
「私の居ない将来に/どうぞよろしく伝えて頂戴ね」
という表現です。
まるで「将来」を自分とは別の誰かのように扱い、
自分の代わりに君を任せているようにも読めます。
本当に気持ちを整理できているなら、
わざわざ君の知らない生活を想像する必要もないはず。
「不幸になってほしいわけではない」。
それは本音なのでしょう。
でも同時に、
「私がいなくても普通に幸せになる君」を、まだ受け入れきれていない。
この微妙な感情が、曲の始まりから滲んでいます。
新しい街に慣れていく「君」と、取り残される「私」
新しい街の違和感に
そろそろ慣れた頃でしょうか
鈍色の空 きっとこの先も
素直に晴れることはないでしょう
ここから見えてくるのは、別れたあとに新しい生活へ進んでいる君です。
主人公は「そろそろ慣れた頃でしょうか」と、離れた場所からその生活を想像しています。
一方で空は「鈍色」。
さらに、
「素直に晴れることはないでしょう」
と続きます。
新しい街で少しずつ前へ進んでいる君に対して、主人公の心はまだ晴れていない。
そんな二人の時間の進み方の違いを表しているようにも感じます。
そして主人公は、もう一緒に生活していないにもかかわらず、
「今日何食べた?」
「どこ行った?」
と君の日常を考えてしまう。
恋人ではなくなったのに、恋人だった頃の思考だけがまだ身体に残っているのです。
「私の愛で呪ってあげるわ」は、この曲を象徴する言葉
さよなら
もう会ったりはしないから
せめて私の愛で呪ってあげるわ
腕の中 眠る 馬鹿な君
ああ何も分かっちゃいないね
この曲で最も印象的なのが、
「私の愛で呪ってあげるわ」
という表現ではないでしょうか。
普通なら「愛」と「呪い」は正反対に見えます。
でも、この主人公にとってはそうではありません。
もう会わない。
恋人にも戻らない。
それでも、君の中から完全に消えてしまうのは嫌。
だから、
「私がいなくなったあとも、この愛を忘れられないでいてほしい」
という願いが「呪い」という言葉に変換されているように感じられます。
幸せを壊したいわけではない。
でも、私との時間を何事もなかったように過去にしてほしくもない。
愛情が行き場を失ったとき、それは祝福ではなく呪いのように相手へ残る。
タイトルの「分かっちゃいないね」には、
「君は私がどれほど愛していたのか分かっていない」
という悔しさも含まれているのかもしれません。
「君は分かっていない」から「私は君を分かっていない」へ
最後は こうなっちゃうって気づいてた
知りたかったことばかり残ったまま
あの笑顔の意味は何?
ああ 何も分かっちゃいないね 君のこと
ここでタイトルの意味が大きく揺らぎます。
それまでは、
「何も分かっちゃいないね 私のこと」
と、理解していないのは「君」でした。
ところが今度は、
「何も分かっちゃいないね 君のこと」
となります。
主人公自身も、君のことを理解できていなかったと気づくのです。
「あの笑顔の意味は何?」という疑問も切ないところです。
付き合っていた頃には当たり前に見ていた笑顔さえ、
別れてから振り返ると意味が分からなくなる。
本当に幸せだったのか。
何かを隠していたのか。
いつから気持ちが離れていたのか。
答えを聞けない関係になったからこそ、過去の出来事に次々と疑問が生まれてしまいます。
別れによって分からなくなったのではなく、
別れたことで「最初から分かっていなかった」と気づいてしまった。
ここは、この曲のタイトルを考えるうえでも重要な場面だと思います。
「片付いた部屋」と「冷え切ったワンルーム」が表すもの
片付いた部屋の違和感に
慣れる日はいつ来るでしょうか
注ぐ春の光はきっと
君との呪いの鎖になるでしょう
君には「新しい街」。
主人公には「片付いた部屋」。
この対比も印象的です。
君がいなくなり、部屋は片付いている。
物理的には整理されたはずなのに、主人公の感情はまったく整理されていません。
むしろ、君の物がなくなったことで、
「君がいない」という事実だけがはっきり見える部屋になってしまった
とも考えられます。
さらに季節は春。
一般的には新生活や始まりを連想しやすい季節ですが、
この曲では明るい春の光さえ「呪いの鎖」になります。
新しい季節が来ても、新しい自分にはなれない。
景色が明るくなればなるほど、一緒にいた頃との違いが浮かび上がってしまう。
この曲では、未来へ進むはずのものがことごとく
過去を思い出させる装置へ変わっているのです。
「馬鹿な君」から「馬鹿な私」へ
夢の中 踊る馬鹿な私
ああ 何も変わっちゃいないね
前半では、
「腕の中 眠る 馬鹿な君」
でした。
ところが後半では、
「夢の中 踊る馬鹿な私」
へ変わります。
ここにも主人公の心境の変化が表れているように思えます。
最初は「君は何も分かっていない」と相手を責めていた。
しかし時間が経つにつれて、別れた相手のことを考え続け、
夢の中にまで登場させている自分自身に気づく。
変われていないのは君ではなく、私の方でもある。
この曲では「分かっちゃいないね」と「変わっちゃいないね」が響き合います。
相手を責めていた言葉が、少しずつ主人公自身へ返ってくる。
だから単なる失恋相手への恨みの歌では終わらないのだと思います。
「縦の糸・横の糸」を思わせる表現を、自ら噛み千切る
私の居ない将来が
どうか正しく綻びますように
織りなす布で涙拭って
横の糸を噛み千切るわ
ここは非常に印象的な比喩です。
「織りなす布」「横の糸」という言葉からは、
人と人との縁や、二人で作ってきた時間を連想できます。
しかし主人公は、その糸をきれいにほどくのではありません。
「噛み千切る」のです。
別れを受け入れて、穏やかに手放したわけではないことが伝わります。
さらに興味深いのが、
「正しく綻びますように」
という願いです。
「幸せになりますように」でも、「うまくいきますように」でもない。
綻ぶことを願っている。
冒頭では「君の不幸を願ったりはしない」と言っていた主人公ですが、
ここまで来ると、その綺麗事だけでは収まらない感情が露出しています。
幸せでいてほしい。
でも、私を忘れて幸せにはならないでほしい。
前へ進みたい。
でも、君との糸は簡単には切れない。
だから最後は、自分で噛み千切るしかない。
この矛盾こそが、『分かっちゃいないね』という曲の生々しさなのかもしれません。
最後の一行で「さよなら」が全部ひっくり返る
冷え切ったワンルームこの先も
まだ君が帰るのをずっと待っている
曲中では何度も、
「さよなら/もう会ったりはしないから」
と宣言しています。
糸も噛み千切りました。
もう終わったはずです。
ところが最後に残るのは、君の帰りを待っている主人公。
ここで、それまでの強い言葉が一気に違って聞こえてきます。
「愛で呪ってあげる」。
「幸せになれるなんて思わないで」。
「横の糸を噛み千切る」。
どれも君を突き放すための言葉に見えました。
でも本当は、自分自身を納得させるために言い続けていたのではないかとも読めます。
そしてタイトルの「分かっちゃいないね」も
最後には主人公自身へ向けられているように感じられます。
君は私のことを分かっていなかった。
私は君のことを分かっていなかった。
そして私は、
自分がまだ君を待ってしまうほど好きだったことさえ、分かっていなかった。
だから最後に残るのは怒りでも復讐でもなく、
冷え切った部屋で帰ってこない人を待ち続ける姿なのです。
まとめ|『分かっちゃいないね』は「嫌いになれないから、呪うしかない」失恋の歌?
monet feat.花隈千冬『分かっちゃいないね』には、
別れたあとの感情が綺麗に整理されないまま残されています。
「不幸を願ったりはしない」と言いながら、「幸せになれるなんて思わないで」と言う。
「もう会わない」と言いながら、君の日常を想像する。
「糸を噛み千切る」と言いながら、最後には君が帰ってくるのを待っている。
一見すると矛盾だらけです。
でも、失恋した直後の気持ちは、むしろそのくらい矛盾しているものなのかもしれません。
そして特に印象的なのが、タイトルにもなっている
「分かっちゃいないね」という言葉の変化です。
最初は自分を理解してくれなかった君への言葉。
やがて、君を理解できなかった自分への言葉になる。
そして最後には、まだ君を待っている
自分自身の本心すら理解できていなかった主人公へ返ってくるように感じられます。
「私の愛で呪ってあげるわ」という強烈な言葉も、本当に相手を苦しめたいからではなく
「私との時間だけは、どうか忘れないで」
という願いの裏返しなのではないでしょうか。
だからこの曲の「呪い」は、憎しみだけではありません。
忘れられない記憶そのものが、二人の間に残ってしまった「愛の形」なのだと思います。
NAYUTAS堺東校では、歌詞の世界観や感情を大切にしたボーカルレッスンも行っています。
音程や発声を整えることはもちろん大切ですが、歌詞の「誰に向けた言葉なのか」「どこで感情が変化するのか」まで考えると、同じ一曲でも歌い方は大きく変わります。
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