みなさんこんにちは!
先日、若い生徒さんから「LUNA SEAが歌いたいんです!」ときいてテンションが急上昇したボイトレ講師の木皿です。
私は1990~2000年代のバンドやJpopが青春時代でしたので、ど真ん中の楽曲をリクエストされるとついつい嬉しくなってしまいます。
当時はイントロを聴くだけでわくわくどきどきしましたね~
再生ボタンを押して聴く最初の音に心を掴まれたものです。
最近はボーカルからはじまるイントロが無い曲も多いです。
それはそれでかっこいいですが、イントロ・アウトロがなく、ボーカルではじまりボーカルで終わる、そしてブリッジ(間奏)部分も極端に短い曲がずいぶん多いなあと思います。
現代の音楽シーンは、TikTokやYouTubeショートといった短尺動画プラットフォーム、そしてサブスクリプションの普及によって劇的な変化を遂げています。
リスナーは曲の冒頭数秒で、その曲を聴き続けるかスキップするかを判断する「スキップ文化」の中にあり、そのため「イントロなし(即サビ)」や「極端に短いイントロ」が主流となっています。
では、かつての楽曲に多く見られた「長いイントロ」は、もはや時代遅れの遺物なのでしょうか?
結論から言えば、現代においても長いイントロは十分に成立します。
むしろ「演出」としての価値を高めています。
今回は、イントロの存在意義、そして思わず聴き入ってしまう「イントロがかっこいい名曲」について深掘りしていこうと思います!
1. なぜ今「長いイントロは不利」と言われるのか
現在の音楽消費の中心は、サブスクのプレイリスト再生や“ながら聴き”です。
特にサブスクでは、数秒でスキップが可能であるため、YOASOBI、Ado、Vaundy、米津玄師、そして多くのK-POPグループのように、「早く歌に入る」「最初からサビを持ってくる」「情報量を過密にする」という設計の楽曲が増加しました。
これは単に「イントロ文化が衰退した」というわけではなく、リスナーを惹きつけるための「掴み方」が変わったと捉えるのが正確です。
1990年代と2016〜2023年の流行曲を比較した調査では、イントロのある楽曲は依然として高い水準(約80〜100%)で推移していますが、近年は「イントロに歌唱(コーラス等)が含まれる」割合が上昇傾向にあります。
楽器演奏だけで延々と待たせるのではなく、冒頭から人の声で耳を掴む戦略が取られているのです。
2.それでも「イントロ」を聴くべき3つの理由
短尺化が進む一方で、長いイントロを持つ楽曲には、現代の「高速消費」とは対極にある強い価値が存在します。
① 圧倒的な「世界観」の構築
イントロは楽曲の「空気」を作ります。
夜の都会感、孤独、高揚感、ノスタルジーといった情緒は、数秒の短尺では描ききれません。 例えば、世界的に再評価されている竹内まりやの「Plastic Love」は、現代の基準ではかなり長い導入部を持っていますが、あの「夜の始まり感」こそが楽曲の魅力の核となっています。
② “演奏の快感”とライブ映え
印象的なギターリフやドラムグルーヴ、ベースラインから始まる曲は、歌が始まる前からリスナーに快感を与えます。これは特にライブの現場で強みを発揮し、一音目で会場の空気を変える力を持っています。
かっこいい尖ったリフが、イントロでドカンと出てくる曲、みんな好きでしょう???
私の偏見おすすめイントロ曲その1をおいておきます(笑)
③ 「待たせる美学」という個性
情報が速すぎる現代において、あえて「すぐには入らない」「焦らさない」という構成自体が、一つの強力な個性や演出として機能します。
現代で成立する長いイントロは、単に長いだけでなく、「その数秒で空気を作れる」強いフックを備えているのが特徴です。
3.イントロこそが楽曲の命?アレンジャー(編曲家)の仕事
実は、イントロを作るのは作曲家ではなく、「編曲家(アレンジャー)」の仕事であることがほとんどです。
※シンガーソングライターやバンドの場合はイントロも含めてアーティスト自ら行うこともおおいですが
ある編曲家によれば、編曲は「作曲の何十倍、何百倍もの労力がかかる」作業です。音が鳴り始めてから終わるまでのすべての音を構築するアレンジャーにとって、イントロはリスナーをその世界に引き込むための最も重要な「顔」なのです。
4.プロが厳選!イントロがかっこいい名曲解説
ここからは、J-POP史に残る、イントロが秀逸な楽曲を具体的に分析していきます。
宇多田ヒカル「traveling」
宇多田ヒカル氏の音楽的センスが凝縮されているのが、2001年の名曲「traveling」です。
この曲のイントロは、電子音による琴(和楽器)を思わせるアルペジオで始まります。サビ直前の歌詞に「平家物語」の引用があることから、サウンドにも意図的に「和」のテイストを忍び込ませたと考えられます。
単なる生音の琴ではなく、デジタルな質感で鳴らすことで、未来的なサウンドと古典的な情緒を見事に融合させた「和洋折衷アレンジ」の象徴となっています。
渡辺美里「My Revolution」
1986年の大ヒット曲「My Revolution」は、作曲・小室哲哉、編曲・大村正明という、後の音楽シーンを変える二人の才能が火花を散らした作品です。
当時の洋楽のトレンドを日本人の耳に心地よく馴染ませた大村氏のアレンジは、小室氏にも多大な影響を与えました。小室氏は後に「90年代にプロデュースを始めようとした時、一番に背中を押し、絶賛してくれたのが大村さんだった」と語っています。あの疾走感あふれるピアノシンセのイントロは、まさに新時代の幕開けを告げる響きですね。
aiko「キラキラ」
aikoの曲はどれもアレンジが最高なのですが…イントロが特徴的なのはこれ。
2005年のヒット曲「キラキラ」は、冒頭からシンコペーションで始まるピアノとギターのフレーズが印象的です。
ここではギターとピアノが同じ旋律を弾く「ユニゾン」という手法が使われています。歌や楽器をユニゾンさせることでメロディが強調され、ポップでありながら力強い一体感が生まれます。
随所に登場するブレイクも相まって、リスナーを飽きさせない巧妙なアレンジが施されています。
小泉今日子「木枯しに抱かれて」
アルフィーの高見沢俊彦氏が作曲、井上鑑氏が編曲を手掛けたこの曲は、「80年代最強イントロ」の一つに数えられることがあります。
印象的なのは、マーチングドラムのようなリズムです。切ない片思いの歌詞でありながら、あえて勇ましいマーチングの要素を入れることで、凛とした強さやドラマチックな情緒を演出しています。
アレンジャーの井上氏は、自身が手掛けた膨大な楽曲の中でも、特にお気に入りの一曲としてこのイントロを挙げています。
個人的には随所で控えめに主張しているベースのグリッサンドがかっこよくて好き。
5.現代のトレンドと「長いイントロ」の共生
2026年現在のシティポップやR&Bシーンを見ると、再び「長いイントロ」や「空間的な広がり」が支持を集めています。
例えば、Suchmos「STAY TUNE」は都市的な脱力感と夜のドライブ感を象徴する導入部が、現代のプレイリストでも定番となっています。
現在のリスナーは、情報の過多に対する反動として、「空気を味わえる音楽」や「質感としての余白」を求めています。TikTok的な短尺文化と、じっくり浸るための長尺イントロ。
この二つは対立するものではなく、目的やジャンルに応じて使い分けられる豊かな音楽文化の両輪となっているのです。
6. イントロを「聴く」ことで音楽はもっと楽しくなる
「長いイントロ」は、TikTok時代において不利だと言われることもありますが、実際には楽曲の世界観を決定づけ、リスナーに深い感動を与えるための「魔法の扉」として機能し続けています。
イントロには、アーティストやアレンジャーの並々ならぬ情熱が注ぎ込まれています。
正確なリズムや譜面を超えた、その一音一音に込められた意図を感じ取ることができれば、普段聴いている音楽はより一層、鮮やかに響くはずです。
音楽の奥深さを、自分の声や楽器で体感してみませんか?
「あのかっこいいイントロから、自分も歌い始めてみたい」
「リズムの“溜め”や、イントロが持つ空気感を表現できるようになりたい」
そう感じた方は、ぜひナユタス仙台駅前校の体験レッスンへお越しください。
音楽は「聴く」だけでも素晴らしいものですが、自分で「奏でる」ことで、その構造や美しさはより深く理解できるようになります。 レッスンの現場では、今回ご紹介したような楽曲分析はもちろん、
- イントロの拍子を正しく捉え、ベストなタイミングで歌い出す技術
- 楽器の音色に寄り添い、楽曲の世界観を壊さないボーカルコントロール
- 「traveling」のような息の使い分けや、現代R&Bに求められる“質感”の作り方
など、プロの講師がマンツーマンであなたの感性をサポートします。
「音楽を真剣に楽しむ」ための第一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか?正確な技術を身につけた上で、あなただけの「表現」を解放したとき、音楽はもっと自由で楽しいものに変わります。
教室で皆様の素敵な歌声や演奏に出会えることを、スタッフ一同、心よりお待ちしております!

