米津玄師さんと菅田将暉さんとの共演で話題となった『灰色と青』。
この楽曲は、子どもの頃の無邪気な青と、大人になって現実を生きる灰色を対比しながら、「変わってしまったもの」と「変わらないもの」について描かれています。
今回は、話題となった『灰色と青』の歌詞解説をしていきます。
米津玄師+菅田将暉『灰色と青』の歌詞解説
“灰色”は、大人になって感じる現実・虚しさ・平凡な日常。
一方の“青”は、少年時代の夢・自由・純粋さ・情熱を象徴しています。
米津玄師さんと菅田将暉さんの声が交差することで、「かつて同じ景色を見ていた友」「今は別々の場所で生きる大人」。
そんな二人の人生の対話が音楽として描かれています。
『灰色と青』のパートごとに歌詞に込められた意味を解説してきます。
冒頭“袖丈が覚束ない夏の終わり～”
“袖丈が覚束ない夏の終わり
明け方の電車に揺られて思い出した
懐かしいあの風景
たくさんの遠回りを繰り返して
同じ様な町並みがただ通り過ぎた
窓に僕が映ってる”
冒頭は、過去を思い出す瞬間を切り取った描写。
“袖丈が覚束ない”からは、成長途中の少年時代が想像できます。
明け方の電車に揺られる今の自分と、ふと蘇るあの頃の記憶を表現しています。
青い日々“君は今もあの頃みたいに～”
“君は今もあの頃みたいに
いるのだろうか
ひしゃげて曲がったあの自転車で走り回った
馬鹿馬鹿しい綱渡り
膝に滲んだ血
今はなんだかひどく虚しい”
ここでは、過去の友人（もしくは自分自身の分身）への想いが描かれます。
あの頃は何も恐れず、ただ夢中で走っていた、“膝の血”さえ誇らしく感じられた日々。
しかし今は、大人になって「あの青い日々」が遠く感じられ、取り戻せない時間への切なさが表現されています。
サビ“どれだけ背丈が変わろうとも～”
“どれだけ背丈が変わろうとも
変わらない何かがありますように
くだらない面影に励まされ
今も歌う 今も歌う 今も歌う”
大人になることで、環境も価値観も変わっていく。それでも、心の奥に残る“青いもの”は失いたくない気持ちが見えます。
“くだらない面影”とは、過去の思い出、笑い合った記憶、あの頃の夢。
その青い記憶に支えられながら、“今も歌う”という言葉が、自分を励ましているように聞こえます。
“忙しなく街を走る～”
“忙しなく街を走るタクシーに
ぼんやりと背負われたまま くしゃみをした
窓の外を眺める
心から震えたあの瞬間に
もう一度出会えたらいいと強く思う
忘れることはないんだ
君は今もあの頃みたいにいるのだろうか
靴を片方茂みに落として 探して回った”
“忙しなく街を走るタクシー”という現実的な景色は、仕事や日常に追われる灰色を表現しています。
その中で“ぼんやりと背負われたまま”という受動的な描写が、かつて夢を追っていた自分とのギャップを感じさせます。
少年期に感じた純粋な感情（青）を、もう一度取り戻したいという切実な想い。
しかし現実では叶わないことを知っているからこそ、“忘れることはないんだ”という言葉が、過去への祈りのようです。
ラスト“朝日が昇る前～”
“朝日が昇る前のかけた月を
君もどこかで見ているかな
何もないと笑える朝日がきて
始まりは青い色”
ラストでは、夜（過去）から朝（未来）へと移ろう瞬間が描かれ、希望を表現しています。
“かけた月”は、かつての夢や青春のなごりで、月を見上げる姿には「たとえ離れても心はつながっている」という想いが感じられます。
昇る朝日は、灰色の現実を受け入れながらも、前へ進む決意。
そして“始まりは青い色”は、自分の原点が青だったことを胸に刻んで、今を生きる力に変えていく姿を表現しています。
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