歌っていると「高音になると喉が苦しい」「張り上げないと出ない」と感じることはありませんか？
高音が出しやすくなるには、声帯の仕組みと、喉を締めている状態と正しい発声の違いを理解することが重要です。
今回は、声帯の仕組みと高音の出しやすさの関係をやさしく解説していきます。
声帯が音をつくる仕組み
声帯は、喉の奥にある左右一対のヒダのような組織です。
声を出すとき、肺から出た息が声帯にあたり、声帯が振動することで声の元となる音が生まれます。
このとき、声帯が適切に閉じていると、息が無駄に漏れすぎず、少ないエネルギーでも効率よく振動できます。
つまり声は喉で力任せにつくっているのではなく、声帯が振動することで自然に生まれている音なのです。
そして音程は、声帯の振動の速さによって決まります。
高い音になるほど、声帯は前後に引き伸ばされて細くなり、より速く振動する状態になります。
高音になるときの筋肉の役割
声帯の動きはまわりの筋肉によってコントロールされています。
高音の声を出すとき、輪状甲状筋、甲状披裂筋という2つの筋肉が特に重要です。
高音をつくる主役「輪状甲状筋」
輪状甲状筋は、声帯を前後に引き伸ばす役割を持っています。
この筋肉が働くことで声帯は細くなり、振動スピードが上がり、高音が出しやすくなります。
高音がラクに出る人ほど、輪状甲状筋が自然に働き、声帯が無理なく伸びている状態になっています。
地声感をつくる「甲状披裂筋」
甲状披裂筋は声帯を分厚くし、太く芯のある地声感を作る筋肉です。
この筋肉が強く働きすぎると、声帯が分厚いまま高音を出そうとするため、苦しさや無理が生じやすくなります。
高音が出にくい原因の多くは、「高音向きの筋肉が足りない」よりも「地声側の力が抜けていない」ことにあります。
喉が締まる状態とは
高音になると、首や喉まわりに力が入ってしまうことがあります。
一般的に、喉が締まる状態と言われます。
声帯そのものの問題ではなく、喉の外側の筋肉（発声に直接関係しない筋肉）が声帯を押さえつけてしまっている状態です。
その結果、声帯は自由な動きができず、音程を上げるために必要な伸びが妨げられてしまいます。
ラクに高音が出ているときは、次のような状態になっています。
・声帯が薄く伸び振動している
・必要な筋肉だけが動いている
・余計な部分には力が入っていない
高音が苦しいと感じるときは、出そうとしている音そのものではなく、本来使わなくていい場所に力が入っている可能性があります。
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ここまで、高音が出しやすくなる声帯の仕組みや、喉を締めてしまう状態との違いについて解説してきました。
理屈として理解できても、「自分の声帯が今どう動いているのか」「ちゃんと閉じているのか、外側が力んでいないのか」を自分一人で判断するのは難しいものです。
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