こんにちは、ナユタス月島校です🌙
アニメ『薬屋のひとりごと』第2期のオープニングテーマ、Mrs. GREEN APPLEの「クスシキ」。
少し前になりますが、楼蘭妃をめぐるエピソードが一区切りしましたね。
最後の舞のシーンでは、私も涙が止まらず、思わず食い入るように画面を見つめてしまいました。
そして改めてこのオープニング曲を聴くたびに、こう感じます。
「この歌詞は、子の一族の宿命と心情を映す鎮魂歌のように響いてくる」 と。
子の一族は代々「偽り」をまとい、皇帝や権力に翻弄されながらも、誇りや愛を抱えて生き抜いてきました。
「クスシキ」の歌詞は、その歩みと重なり合い、一節ごとに深い意味を帯びて聞こえてきます。
「疎まれた先帝」と「愛された壬氏」
♪摩訶不思議だ 言霊は誠か
偽ってる彼奴は 天に堕ちていったって
聞いたんだけども 彼奴はどうも
皆に愛されてたらしい
ここでいう「偽ってる彼奴」とは、先帝を指していると考えられます。
先帝は幼児嗜好を隠して生きており、表向きは“華やかな皇帝”を演じながら、裏では多くの妃や一族を翻弄しました。
例えば、
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神美は妃でありながら先帝からお手付きにされることはなく、誇りと屈辱のあいだで生きざるを得ませんでした。
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神美の侍女は先帝のお手付きに遭って子を身ごもり、しかし先帝は自らの子として認めず、その子は子昌のもとに預けられます。
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子昌は先帝からの直接の申し出を断ることができず、その子を育て、最終的には本人の希望もあり妻とするに至りました。
こうして見れば、神美も子昌もその人生を大きく先帝に振り回されていたことがわかります。
まさに「偽ってる彼奴は 天に堕ちていった」と表現できる存在です。
一方で、
「彼奴はどうも 皆に愛されてたらしい」の部分は、壬氏に重なります。
壬氏は先帝と瓜二つの容姿を持ちますが、宦官として偽りを背負いながらも、誰からも慕われ、愛される存在でした。
同じ姿を持ちながら、先帝と壬氏は真逆の評価を受ける――この対比が歌詞の一節に鮮やかに響きます。
「あなたが居る」=翠苓という救いと罪悪感
♪ 奇しき術から転じた まほろば
「あなたが居る」 それだけで今日も
生きる傷みを思い知らされる
ここでも神美と子昌の話に結び付けられますが、子翠と翠苓の話で見てみましょう。
ここでの「あなた」は翠苓。
姉がいたからこそ、子翠は後宮の孤独に耐えられた。
しかし同時に、正妻の子である自分の存在が、
翠苓を母・神美から冷遇させたのではないか――という罪悪感も抱いていた。
翠苓は「救い」であり、「痛みを突きつける鏡」でもあったのです。
「愛してる」と「ごめんね」の差 ― 神美と子昌、交わらない月と太陽
『愛してるとごめんねの差って まるで月と太陽ね』
この一節は、神美と子昌 の関係性を鮮やかに映し出しています。
夏目漱石の「月が綺麗ですね」からの連想
日本文学では、有名な言葉に 夏目漱石の「月が綺麗ですね」 という表現があります。
これは「I love you」を直接訳すのではなく、間接的に愛を伝える言葉として広まりました。そしてその告白に対する断りの返事として、
「私は太陽の方が好きです」 という言葉があるのだそう。
つまり、月=愛の告白、太陽=拒絶の返答。
神美と子昌に重ねると
子昌=月
幼い頃から神美を慕い、まっすぐに「愛してる」という想いを抱き続けていた存在。
しかしその想いは、常に間接的で、言葉にならない「月が綺麗ですね」に近いものでした。神美=太陽
誇り高く、強烈な光を放つ存在。
けれどその誇りの高さゆえに「愛してる」とは返せず、心の奥に秘めた言葉は「ごめんね」という拒絶に変わっていった。
月と太陽という比喩の二重性
この歌詞は「告白と拒絶」を示す一方で、もう一つの意味も含んでいるように思えます。
月と太陽はまったく異なる存在ですが、どちらもなくてはならないものです。すなわち ―
神美と子昌は、交わらないままにすれ違い続けた。
しかし、互いがいなければその人生は成立しないほど深く結びついていた。
「愛してる」と「ごめんね」は、矛盾でありながら不可分な言葉。
それは月と太陽の関係そのものなのです。
来世への祈り ― クスシキが響かせる鎮魂歌
歌詞のラストにある ―
♪愛してるよ ごめんね じゃあね
クスシキ時間の流れで
大切を見つけた魂も
貴方をまた想う 来世も
ラストのフレーズは、子の一族すべての魂の言葉のように響きます。
神美から子昌へ。子翠から翠苓へ。
愛とごめんねを抱えたまま滅びていった者たちの「来世もまた会いたい」という祈り。
『薬屋のひとりごと』を背景に「クスシキ」を読むと、この曲はただのラブソングではなく、
子の一族を慰める鎮魂歌として輝きを増すのです。
✨ まとめ:「クスシキ」は姉妹の鎮魂歌
Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」を『薬屋のひとりごと』と重ねると、
-
疎まれた先帝と愛された壬氏の対比
-
神美と子昌のすれ違いを象徴する月と太陽
-
子の一族全体が背負った「偽り」と「愛」
-
来世に託された鎮魂の祈り
が浮かび上がってきます。
この多層的な解釈こそが、薬屋のひとりごと 子の一族 クスシキ 歌詞考察の面白さであり、
原作を知る人にとって、この曲は一層深い響きを持つでしょう。
🌕 ナユタス月島校から
音楽を歌詞や物語と重ねて読むことで、見えてくる景色は一層深くなります。
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