こんにちは。ボイストレーニング&ダンスNAYUTAS宇都宮校です。
「ラスサビで転調した瞬間、音程が分からなくなる」
「最後のサビでキーが上がると急に苦しい」
「転調を意識すると、今度はリズムまで崩れる」
こんな経験はありませんか?
まず知っておきたいのは、転調=高い音へジャンプすることではないということです。
転調とは、曲の途中で「調」が変わること。ざっくり言えば、曲の中で音の中心となる場所が変わることです。
J-POPでは、最後のサビで半音〜全音ほど上がる転調もよく使われます。
ただ、そこで歌いにくくなる理由は「転調そのもの」とは限りません。
新しいキーを耳でつかめていない場合もあれば、単純に転調後の最高音が高すぎる場合もあります。
今回は、転調で音程を見失いやすい方に向けて、自宅でも試しやすい3つの練習をご紹介します。
そもそも「転調」とは?
転調とは、曲の途中で調性が別の調へ移ることです。
秋山好一ほかの研究では、日本の歌謡曲530曲を対象に、旋律の音高情報から調性を判別するモデルが検討され、転調を含む楽曲でも調性の変化を捉えられることが報告されています。
つまり転調は、
「急に高い音が出てきた」
というだけではなく、曲全体の音のまとまり方が変わる現象なんですね。
ですので、転調部分で苦しくなったときに、
「高くなったから、とにかく強く出そう」
と頑張るだけでは、うまくいかないことがあります。
なぜ転調すると音程を外しやすいの?
1. 耳が前のキーを基準にしたままになっている
私たちは音楽を聴くとき、無意識に、
「次はこの辺りの音が来そう」
という予測をしています。
石田海・入戸野宏の総説では、音階や和声などの調性に関する心的表象が、聴き手に調性的な期待を生じさせることが整理されています。
この研究は歌唱時の音程ミスを直接調べたものではありませんが、前のキーを基準に感じたまま新しいキーへ移る場面では、音程を見失いやすくなることがあると考えられます。
「転調した途端、最初の1音が分からない」という方は、まずここを疑ってみるとよいでしょう。
2. 転調後の最初の音を準備できていない
転調部分で大切なのは、
新しいキーに入った最初の音を聞けているか
です。
歌いながら音程を探していると、最初の1音がずれたまま、その後のフレーズまで引っ張られてしまうことがあります。
音程そのものが不安定な方はこちらも参考にしてみてください。
3. 「次は転調!」と構えすぎてリズムまで崩れる
これは意外とあります。
「次、転調だ」
「外したくない」
と音程ばかり考えているうちに、伴奏を聞く余裕がなくなってしまうんですね。
すると、
・歌い出しが早くなる
・ラスサビだけテンポが走る
・歌詞を追うので精いっぱいになる
ということもあります。
音程とリズムを一度に直そうとせず、まずは分けて練習してみましょう。
転調を安定させる3つの練習
1. 転調の前後だけを切り取って聴く
最初から1曲通して練習しなくても大丈夫です。
まずは、
転調する2〜4小節前 → 転調直後の2〜4小節
だけを繰り返し聴いてみます。
最初は歌わなくても構いません。
「ここから雰囲気が変わるな」
「ここで音の中心が変わった感じがするな」
くらいで十分です。
音楽理論の用語が分からなくても、まず耳で変化を感じられればOKです。
2. 転調後の最初の1音だけ合わせる
次に、転調後の最初の音だけをピアノや音程確認アプリで鳴らします。
音を聞く
→ 頭の中で高さをイメージする
→ 声を出す
この順番でやってみてください。
最初の1音が安定してきたら、2音、3音と少しずつ増やします。
いきなりラスサビ全部を歌うより、こちらの方がかなり整理しやすいですよ。
3. 転調前後の2〜4小節をつなげる
最後は、
転調前 → 転調 → 転調後
を短いフレーズでつなげます。
ここでは、
・転調直前に力んでいないか
・転調後の最初の音を探しながら歌っていないか
・リズムが急に速くなっていないか
・高く転調するときに声量まで上げていないか
を確認してみてください。
転調後だけ高音が苦しくなる場合は、転調ではなく高音側の発声が課題になっていることもあります。
「転調が苦手」と「高音が苦手」は分けて考えよう
ここはかなり大事です。
特にJ-POPでは、最後のサビで半音〜全音ほど上がる転調があります。
ラスサビで急に苦しくなると、
「私は転調が苦手なんだ」
と思ってしまいがちです。
でも実際には、
・新しいキーを耳で捉えられていない
・転調後の最高音が自分には高い
・高音になると喉に力が入る
・転調を意識しすぎてリズムが崩れる
など、原因は別々です。
転調後の最高音が高すぎるなら、曲全体のキーを下げて練習する方法もあります。
曲全体を1キー下げれば、転調後の部分も同じだけ下がります。
「原曲キーじゃないと練習にならない」と思わなくて大丈夫です。
まずは無理なく歌える高さで、転調前後の音程を安定させてみましょう。
宇都宮校で実際にあった「キーが合わない」ケース
NAYUTAS宇都宮校には、30代男性の生徒さんで、高音が苦しく、カラオケの点数も伸び悩んでいた方がいます。
実際に歌声を確認すると、
・地声のまま高音まで押し上げている
・曲のキーが本人の声域に合っていない
・高音で声量のコントロールが難しくなる
といった状態が見られました。
そこで、
・本人に合うキーの確認
・音程練習
・地声と裏声の切り替え
・録音による確認
などを行いました。
月3回のレッスンを約10か月続け、カラオケ採点も83点から92点へ変化しています。
このケースは「転調そのもの」を練習した実例ではありません。
ただ、「ラスサビが苦しい=転調だけが原因」とは限らず、実際にはキー設定や高音の出し方が関係していることもあるという例として参考になります。
※実在の生徒さんの経過をもとに、個人が特定されないよう一部の表現を調整しています。
※これは宇都宮校の一例であり、同じ期間・回数で同様の変化を保証するものではありません。
自宅練習は「転調部分だけ」でOK
転調を練習するからといって、毎回1曲全部を歌わなくても大丈夫です。
時間がない日は、
- 転調前後を聴く
- 転調後の最初の1音を確認する
- 2〜4小節だけ歌う
- 録音して聞き返す
このくらいでも十分練習できます。
短時間練習の組み方はこちらの記事でも紹介しています。
NAYUTAS宇都宮校では実際の曲で確認します
転調の難しさは、曲によってかなり違います。
NAYUTAS宇都宮校では完全マンツーマンで、
・どこで調が変わるか
・転調後の最初の音を聞けているか
・音程を探しながら歌っていないか
・転調後の音域が本人の声に合っているか
・リズムまで崩れていないか
などを、実際に歌いたい曲を使って確認します。
K-POP、J-POP、洋楽などでも、
「転調があるから難しい」
とひとまとめにせず、その曲のどこでつまずいているのかを一緒に整理していきます。
よくある質問
Q. 転調とは、キーが上がることですか?
上がる場合だけではありません。曲の途中で調が変わることを転調といい、下方向へ変わる場合もあります。
Q. 音が急に高く飛ぶのも転調ですか?
それだけでは転調とは言えません。メロディの音程が大きく跳ぶことと、曲全体の調が変わることは別です。
Q. 転調したら声の出し方も変えた方がいいですか?
転調したという理由だけで、急に別の声を作る必要はありません。
ただし、転調後の音域が高くなれば、声区や発声の調整が必要になることはあります。
Q. 転調が来るとリズムまで崩れるのはなぜですか?
音程に意識が集中し、伴奏を聞く余裕が減っている可能性があります。
そんなときは、音程とリズムを一度別々に練習してみると整理しやすいですよ。
Q. 音楽理論が分からなくても練習できますか?
はい。最初は調の名前を覚えるより、転調前後を繰り返し聴き、新しいキーに入った最初の音を確認するところから始められます。
参考文献
参考:秋山好一、松田稔、中野稔「日本の歌謡曲の調性判別―特徴ベクトルと音高推移エントロピー―」『日本音響学会誌』44巻11号、1988年、809-814頁
https://doi.org/10.20697/jasj.44.11_809
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/44/11/44_KJ00001455569/_article/-char/ja/
最終アクセス:2026年9月21日
参考:石田海、入戸野宏「音楽における調性的期待:事象関連脳電位からわかること」『心理学評論』66巻2号、2023年、193-214頁
https://doi.org/10.24602/sjpr.66.2_193
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/66/2/66_193/_article/-char/ja/
最終アクセス:2026年9月21日
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「ラスサビで転調すると音程を見失う」「転調後だけ高音が苦しい」という方は、無料体験レッスンで実際の曲を使いながら原因を確認することもできます。

