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「鼻炎」による歌・ボイトレへの影響〜鼻づまりに悩むあなたへ

「鼻炎」による歌・ボイトレへの影響〜鼻づまりに悩むあなたへ

歌うことが好きな方のなかには、鼻炎の症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか?今や国民病と称されるほどの花粉症やそのほかのアレルギー鼻炎で、「季節問わず年中、鼻の調子が良くない!」という方もいることでしょう。

そこで今日は「鼻炎と歌」の関係に注目し、歌の上達を目指しながら鼻炎と上手く付き合っていく方法をご紹介します。

「そもそも、鼻炎の状態でボイトレってやっていいの?」
「鼻炎持ちでも、歌を上手く歌えるようになるの?」
「鼻がつまってると声が上手く響かないって聞いたことあるけど、実際どうなの?」

など、鼻炎にまつわるよくある疑問にもお答えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

本当のところ・・「鼻炎」だとやっぱり歌に良くない?

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まず最初に、皆さんが一番気になる「鼻炎の歌への影響」についてですが、結論から申し上げますと「鼻炎持ちの方でも、歌が上手くなれる可能性は十分にある!」というのが回答です。

もちろん、鼻炎の症状の程度や、個人のスキルによって差は出てきますが、基本的に軽度の鼻炎であれば、ボイトレをすることもできますし歌の道に進むことも問題ないでしょう。

鼻炎持ちでも活躍するプロの歌手たち

それを証明するのが、鼻炎持ちの歌手たちです。

さまざまな世代から愛されるシンガー、スピッツの草野マサムネさんや国民的女性アーティストのaikoさんもアレルギー性鼻炎(花粉症)をお持ちだそうです。

参考に、aikoさんが花粉症に触れている公式Twitterの投稿を掲載します。

aikoさん、治療して症状が良くなっているみたいですね。

そして、プロの歌手も鼻炎と向き合いながら素晴らしい名曲たちを残していると思うと、「鼻炎でも諦めなくて良いんだ!」と励まされます。

鼻炎の症状が軽い方がベター◎治療のすすめ

鼻炎でも歌が上手くなれる可能性は十分にあると言いつつも、歌を歌うときやボイトレをするときに症状がないにこしたことはありません。鼻炎の症状がないほうが発声の開発もスムーズですし、声の響きも良くなります。

もし「歌を上達させたい」「本格的にボイトレを始めたい」と考えている方は、まず鼻炎の治療を試してみても良いかもしれません。

自覚症状がありながら、まだ病院にかかったことがないという方は、お早めに耳鼻咽喉科を受診し鼻炎の状態が、練習に影響がない程度なのかを確認しましょう。

鼻炎を放置すると・・

「よく痰が絡む」「常に鼻が通ってない」といった鼻炎の症状を放置し、そのまま歌い続けても良いことはありません。

声帯がきちんと振動することで、発声は行われます。痰や鼻水が声帯に絡んでいる状態は正常な発声を阻害するため、歌いにくさも感じやすいです。

治療で症状を抑えることができる場合もありますので、しっかり専門家の医師に診てもらいましょう。

参考:厚生労働省・アレルギー性鼻炎・花粉症

歌うと鼻が詰まる原因とは?

歌っているときに鼻が詰まると感じる原因は、単なる鼻炎や花粉症などの病気だけではありません。発声時の体の使い方や呼吸の癖が影響していることも多く、歌唱フォーム全体の見直しが必要になるケースもあります。

特に考えられているのが下記の3つの原因です。

  • アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの炎症
  • 鼻腔共鳴がうまくいかない発声習慣
  • 喉や舌の緊張による気流の滞り

それぞれ詳しく解説していきましょう。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの炎症

もっとも多い原因が、鼻腔や副鼻腔の炎症による鼻づまりです。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)になると、粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなり、息の流れが滞ります。これにより、歌う際の共鳴が失われ、声がこもったように感じたり、鼻声になったりします。

特に春や秋などの花粉シーズンには、アレルギー反応で粘膜が敏感になりやすいため、慢性的に鼻が詰まる人も少なくありません。鼻づまりが長引くと発声に悪影響を与えるだけでなく、息が浅くなり、安定した呼吸コントロールも難しくなります。

鼻腔共鳴がうまくいかない発声習慣

鼻の通り道に問題がなくても、鼻腔をうまく使えていない発声習慣が原因で「詰まっているように感じる」ことがあります。

特に口先だけで声を出していたり、喉に力を入れすぎていたりすると、鼻腔共鳴(鼻や頭部に響かせる感覚)が失われます。

共鳴がうまく機能しないと、声がこもり、響きのない音色になってしまうのです。

鼻腔を意識して息の通り道を開くように発声すると、自然と声が抜けやすくなります。これは「ハミング」や「んー」といった練習で改善できるケースが多く、ボイストレーニングでも重視されるポイントです。

喉や舌の緊張による気流の滞り

意外と見落とされがちなのが、喉や舌の筋肉が硬くなっていることで鼻の通りが悪く感じるケースです。

発声時に喉を締めたり、舌を後ろに引きすぎたりすると、口腔から鼻腔へ抜ける空気の流れが妨げられ、鼻づまりのような圧迫感が生まれます。

これは、体そのものが「緊張した状態」で歌っているサインでもあります。リラックスした姿勢で、喉を開きながら発声することを意識するだけでも、気流の通りが改善しやすくなります。

特に腹式呼吸とセットで練習すると、鼻に抜ける自然な響きが戻り、滑らかな声を出しやすくなります。

鼻が詰まると歌にどんな影響が出る?

鼻が詰まると、声の響きや音程の安定、ブレスのコントロールにさまざまな悪影響が出ます。単に「鼻声になる」というだけでなく、共鳴や発声の仕組みそのものが乱れるため、歌全体のバランスが崩れてしまうこともあります。

特に鼻づまりが歌唱に与えるものとして、以下の3つが挙げられます。

  • 鼻腔共鳴が失われて声がこもる
  • 高音が出にくくなる
  • 息のコントロールが乱れる

それぞれ詳しく解説していきましょう。

鼻腔共鳴が失われて声がこもる

鼻づまりによって最も顕著に現れるのが、声の「響き」の減少です。

人の声は鼻腔や口腔、頭部などに共鳴して豊かに響きますが、鼻が詰まるとこの鼻腔共鳴が機能しなくなります。その結果、声が鼻の奥にこもったような音になり、クリアさや抜けの良さが失われてしまうのです。

また、本人は「詰まって聞こえるのをカバーしよう」と力んでしまい、余計に喉に負担をかけることもあります。共鳴が減ると声量や表現力も落ちるため、鼻の通りを整えることは歌声のクオリティを保つうえで非常に重要です。

高音が出にくくなる

鼻が詰まると高音が出にくくなるのは、共鳴の不足だけでなく、息の流れが不安定になるためです。

高音を出すときには喉の位置が上がりやすく、鼻腔への空気の通りも重要になりますが、鼻づまり状態では息の圧力がうまく伝わりません。

結果として、声帯が過度に締まり、ピッチが不安定になったり、裏声に切り替わる瞬間がぎこちなくなったりします。

また、高音を出そうと力任せに発声すると、喉の筋肉が硬直してさらなる悪循環に。高音が思うように出ないときは、まず鼻づまりの有無をチェックすることも大切です。

息のコントロールが乱れる

歌は「息の使い方」が土台ですが、鼻が詰まるとその流れが大きく乱れます。

鼻呼吸がしづらくなると、歌唱中に口呼吸に偏り、息の吸い込み方や吐き出し方が不均等になってしまいます。

その結果、フレーズの途中で息が足りなくなったり、逆に過剰に息を使ってしまったりと、ブレスのタイミングが崩れます。

息が安定しないと、音程やビブラートの揺れも大きくなりやすく、全体的に不安定な印象の歌になってしまうのです。安定した発声には、鼻呼吸と口呼吸をバランスよく使う意識が欠かせません。

鼻炎のよく聞くウワサ「鼻がつまっていると声がキレイに響かない」ってホントなの?

よく鼻炎の方が気にされるのが、声の響きについてです。

ネット上では、「鼻炎持ちだと鼻腔共鳴ができなくなるので、声がキレイに響かない」という話を目にするため、気にされている方も多いかと思います。

ここでの回答としては、「確かに響きにくいけれど、そこまで気にすることはない」です。

鼻腔共鳴とは、鼻の奥にある「鼻腔」という空間で声を響かせる発声のテクニックです。※正確には「共鳴」でなく「共振」であるとする説もありますが、ここでは割愛します。

鼻炎持ちの方はこの鼻腔の粘膜に炎症が起き腫れている状態なので、空間が狭くなり「鼻腔共鳴をさせづらくなる」と考えられます。

共鳴腔は「鼻腔」だけではない

しかし、鼻腔にそこまで神経質になることはありません。

発声で主に用いる共鳴腔は、「咽頭腔、口腔、鼻腔」の3つ。

鼻炎がひどく鼻腔が使いづらくても、そのほかの咽頭腔や口腔を使って響きを作ることができます。

もちろん、鼻腔を活かすことでしか実現できない声色もあると考えられますが、それはあくまで装飾的なイメージです。基本的には主に口腔や咽頭腔を使った発声を整えていくことを意識しましょう。

日頃からのセルフケアも大切「鼻づまり解消法」をご紹介!

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鼻炎持ちの方は日頃から行うセルフケアも大切です。鼻づまりを解消し、気持ち良く歌える準備を行いましょう。今回は3つの方法をご紹介していきます。

鼻うがい

市販されている鼻洗浄器を使って、生理食塩水で鼻の中を洗います。

ティッシュだけではかみきれなかった、鼻の中に溜まったホコリや鼻水を流す方法です。

鼻の中に入り込んだ花粉を取り除けるので、アレルギー性鼻炎の方にも効果が期待できます。

蒸しタオルで鼻を温める

蒸しタオルを鼻の上におき、温度と蒸気で鼻通りを良くする方法です。

蒸しタオルを作る際に、鼻づまりに良いとされているペパーミントやティーツリーなどのアロマオイルを垂らしひと工夫を加えれば、よりスッキリし気持ちもリフレッシュ。リラックス効果も高まります。

運動やストレッチで血流を良くする

運動により交感神経が刺激されると、粘膜の腫れが引き鼻の通りが良くなるといわれています。

1日1分でも良いので、ストレッチや軽い運動を心がけましょう。

運動が苦手な方はヨガがおすすめです。
ヨガの「うさぎのポーズ」は頭頂部にあるツボを刺激することで鼻通りを良くし、「ねじりのポーズ」は、腹部に刺激を与え内臓を活性化し全身の血流を良くしてくれるといわれています。

鼻づまりに効くツボを押す

鼻づまりに良いツボはいくつかありますが、すぐに効果が出やすいところで選ぶと、「迎香」「印堂」がおすすめです。10秒を1セットとし、グーッと強めに押してみましょう。

迎香:小鼻の両わきの少しへこんだところ。
印堂:眉毛の間。ちょうど真ん中にあたる部分

それでも鼻声が改善しないのは、発声のクセが原因かも!?

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鼻炎の治療もし日頃からセルフケアもしているのに、それでも鼻声が治らないという方は、もしかしたら「鼻にかかった発声」がクセになっているかもしれません。

鼻にかかった発声とは、鼻腔側へ過剰な呼気(声)が流れ込んでしまっている発声状態のことです。まるで鼻をつまんだままの状態で発声しているかのような、こもった声になってしまいます。

これには「口の開き方」や「舌の位置」が影響している可能性も考えられます。

ボイトレで改善する場合もありますので、ぜひ一度ボイストレーナーに相談してみると良いでしょう。

鼻炎を治すべき? それとも受け入れて歌に活かすべき?

鼻炎による鼻づまりは、歌う人にとって避けたいコンディションの一つですが、実際には完全に治療するのが難しいケースも多くあります。

薬や手術で一時的に改善しても、季節や環境によって再発する人も少なくありません。では、鼻炎を徹底的に治すべきなのでしょうか?

それとも、鼻声という特性を受け入れて歌に活かす道を探すべきなのでしょうか?

いくつかの角度から考えてみましょう。

医療的治療が必要な鼻炎のケース

まず、鼻炎が日常生活にも支障をきたしている場合は、迷わず耳鼻科を受診すべきです。

慢性的な鼻づまり、嗅覚の低下、頭痛や倦怠感を伴う場合は、単なるアレルギーではなく副鼻腔炎などの炎症を起こしている可能性があります。

発声だけでなく睡眠や集中力にも影響するため、治療を優先するのが賢明です。最近では、内服薬や点鼻薬に加え、レーザー治療など低侵襲な方法も増えています。

無理に我慢して練習を続けるより、まず体を整えることが歌唱力向上の第一歩といえるでしょう。

鼻声を個性として活かすという考え方

一方で、軽度の鼻炎やアレルギー体質による「鼻声」をあえて個性として活かす歌手も少なくありません。

たとえば、少しハスキーで柔らかい声質は感情表現に深みを与え、リスナーに独特の印象を残します。実際、世界的に活躍するアーティストの中にも鼻にかかった声を「魅力・武器」に変えている人は多くいます。

完全に鼻づまりをなくすことを目指すより、自分の声質を理解して活かす方向性も立派な選択肢です。

大切なのは「不完全さをどう表現に変えるか」という視点を持つことです。

鼻炎と上手に付き合うための発声ポイント

鼻炎を完全に治せない場合でも、発声の工夫で歌いやすくすることは十分可能です。まず意識したいのは「息の通り道を意識する」こと。

鼻が多少詰まっていても、口腔内を広く保ち、喉を締めないことで空気の流れを確保できます。

また、リップロールやハミングなど軽い共鳴練習を日課にすることで、鼻腔の振動を感じ取りやすくなります。

さらに、レッスンでは発声前に軽いストレッチや深呼吸を取り入れると、喉・舌の緊張をほぐし、より自然な響きが得られるようになります。

よくある質問|鼻づまり・鼻炎と歌に関するQ&A

鼻が詰まって思うように歌えない、鼻声が治らない。このような悩みを抱える人は少なくありません。

ここでは、鼻炎や鼻づまりと発声の関係について、よく寄せられる質問に答えていきます。日常のケアから練習時のポイントまで、改善のヒントを見つけてみてください。

Q1:鼻が詰まるときに無理して歌っても大丈夫ですか?

軽い鼻づまりであれば問題ありませんが、呼吸がしづらいほどの状態で無理に歌うのは避けましょう。

鼻づまりのまま発声を続けると、喉や舌に余分な力が入り、発声フォームが崩れる原因になります。一時的に休んで、吸入や加湿などで鼻の通りを改善してから再開する方が、結果的に声への負担が少なくなります。

Q2:鼻声を完全に治すことはできますか?

鼻声の原因が「鼻炎や副鼻腔炎」であれば、治療によって改善できますが、もともとの声質による鼻声は完全に変えることは難しいです。

ただし、発声練習によって鼻腔共鳴のバランスを整えれば、こもりを減らして自然な響きに近づけることが可能です。ボイトレでは「ハミング」や「んー」などの練習で共鳴のコントロールを養うのが一般的です。

Q3:鼻炎持ちでも歌が上手くなれますか?

もちろん可能です。鼻炎があっても、呼吸法や発声フォームを工夫すれば十分上達できます。実際、鼻づまりを抱えながらも表現力豊かな歌声を持つアーティストは多く存在します。

重要なのは「完全な治癒」ではなく、「鼻づまりと付き合いながら最適な発声を探す」ことです。鼻呼吸が難しいときは、ブレスを浅くせず、腹式呼吸で安定させましょう。

Q4:歌う前にできる鼻づまり対策はありますか?

あります。即効性のある方法としては、蒸しタオルやスチーム吸入で鼻腔を温めること、また加湿器で喉と鼻の乾燥を防ぐことが効果的です。

軽いストレッチや深呼吸を取り入れて、体全体をリラックスさせるのもおすすめです。市販の点鼻薬を使用する場合は、一時的な対処にとどめ、長期使用を避けるようにしましょう。

Q5:鼻づまりで高音が出にくいときの練習方法は?

鼻づまりのときに高音が出にくいのは、息の流れが不安定だからです。無理に張り上げるのではなく、まず「小さな声で響きを感じる練習」から始めましょう。リップロールやハミングで空気の通りを意識すると、鼻腔共鳴が戻りやすくなります。

また、鼻をすっきりさせてから軽くスケール練習を行うことで、喉への負担を防ぎながら声を整えることができます。

悩んだら・・無料体験でボイストレーナーに相談をしてみよう!

ナユタスでは、全てのコースで無料体験レッスンが受講可能です。

「歌の世界に進みたい!」
「歌を上手く歌えるようになりたい!」

と、志を高く持っているにもかかわらず、鼻炎を理由に諦めてしまうのは非常にもったいないことです。

鼻炎と上手く付き合いながらボイトレもすることができますので、ぜひ気になる方は無料体験レッスンを受講してみてください。

自分では気づけなかった、声の可能性に気づけるかもしれません。

【まとめ】
「鼻炎」による歌・ボイトレへの影響〜鼻づまりに悩むあなたへ

2019年に行われた「鼻アレルギーの全国疫学調査2019」によると、今や国民の2人に1人はアレルギー性鼻炎に悩まされているそうです。(引用元:「鼻アレルギーの全国疫学調査2019」

それだけ多くの方がかかっているということは、鼻炎の症状がありながら歌を楽しんでいる方も多いということ。

この記事では、鼻炎でも十分に歌を楽しめることをお伝えしました。鼻炎を理由に歌を諦めかけていた方にとって励みになれば嬉しいです。

また、鼻炎ではあるけど、でも歌を上達させたい。そんな思いを抱いている方は是非ナユタスまでご相談ください!