コラム
ボイトレ

巻き舌のやり方とは?できない人の特徴や超簡単な練習方法を徹底解説

「巻き舌のやり方を知りたいのになぜか舌を巻くことができない」そんな悩みを抱えていませんか?巻き舌は、歌や外国語の発音など、様々な場面で役立つテクニックです。この記事では、巻き舌の基本的なやり方やできない人の特徴と原因、そして誰でも挑戦できる超簡単な練習方法まで、詳しく紹介します。

  • 滑舌よく発声したい
  • 巻き舌を上手く歌唱に取り入れたい
  • 歌唱の表現の幅を広げたい

上記に当てはまる人は記事を参考に、舌を巻く感覚を掴み、表現力をアップさせましょう。

巻き舌とはどのような発音か


巻き舌は、舌を振動させて音を出す発声テクニックのひとつです。タングトリルとも呼ばれます。日本語の日常会話ではあまり使われることがありませんが、イタリア語やフランス語、ロシア語など、多くの外国語で重要な発音として使われます。

巻き舌、特に「ら巻き舌」は、息を吐く際に舌が外側へ押し出され、舌の筋力で元の位置に戻る現象によって生み出される発音です。舌を巻くように意識するのではなく、舌の自然な振動を利用することで発音できるため、言語に巻き舌を必要とする諸外国では、小さな子どもでも上手に舌を巻いて発音ができます。

ちなみに、巻き舌は英語でTrill Rs。音声学では歯茎ふるえ音と呼ばれます。

巻き舌の仕組み


巻き舌は、息を吐く際に舌を震わせることで生まれる音です。

舌が上顎に軽く触れた状態で息を流すと、口内は密閉状態となります。密閉状態のまま息を吐こうとすると、舌先が外に逃げ、破裂音が作られます。一度逃げた舌先は筋力で元の位置に戻りますが、再び密閉状態の口内から空気を逃がそうとする力が加わって舌先が逃げて破裂音がします。この現象を繰り返すのが巻き舌です。

特に、舌先を上前歯の裏の付け根あたりに当てて息を吐き出すと、舌が震えやすくなります。巻き舌がしやすい舌のポジションを知ることが、習得の鍵です

巻き舌ができる人・できない人の違い

巻き舌は「才能」ではなく、舌や呼吸の使い方の違いによって生まれる差です。

ここでは、できる人とできない人の違いを以下の4つの観点から見ていきましょう。

  • 舌の形や筋肉の使い方の違い
  • 呼吸のコントロールの違い
  • 発音習慣・言語環境の違い
  • 意識と緊張度の違い

これらの違いを理解することで、「なぜ自分は巻き舌が苦手なのか」を客観的に捉えられるようになります。

舌の形や筋肉の使い方の違い

巻き舌ができる人は、舌先の筋肉(舌尖筋)をしなやかに動かせる傾向があります。

一方、できない人は舌全体を動かそうとするため、舌が硬直して振動を生み出せません。

また、舌の形状や厚みも影響します。舌が薄く柔軟な人は空気の流れを受けやすく、自然に震えやすいのです。

つまり、生まれつきの構造差よりも「どの筋肉を使うか」という使い方の違いが、巻き舌の成否を左右しています。

呼吸のコントロールの違い

巻き舌を成功させるには、舌先に一定の息を送り続ける安定した呼吸が必要です。

できる人は無意識のうちに腹式呼吸を使い、細く長い息をコントロールしています。

反対に、胸式呼吸のまま息を強く吹きすぎると、舌が振動する前に息が抜けてしまいます。

つまり、呼吸の浅さや力みができない原因を作り、息の流れを繊細に操れる人ほど、巻き舌を自然に出せるのです。

発音習慣・言語環境の違い

日本語では舌先を使った発音が少ないため、舌の動きが単調になりやすいと言われています。

一方、英語やスペイン語のように「R」や「RR」を頻繁に使う言語では、舌先の筋肉が発達しており、巻き舌が自然に出る人が多い傾向にあります。

つまり、発音習慣や言語環境の差が、舌の可動域や動かし方の癖を大きく左右しているのです。

発声習慣は筋肉記憶として定着しているため、訓練によって後天的に改善が可能です。

意識と緊張度の違い

巻き舌ができる人は、舌をリラックスさせたまま息を通しています。

逆に「うまくやろう」と力を入れすぎる人は、舌や喉の筋肉を固めてしまい、振動を妨げてしまうのです。

心理的な緊張が筋肉の硬直を引き起こし、結果的に舌が動かなくなるケースも少なくありません。

つまり、できる人ほど力を抜いて自然な流れで舌を動かしており、その精神的余裕こそが成功の鍵になっています。

巻き舌のやり方の基本


巻き舌は、基本的なやり方を知ったりコツを掴んだりすることで、できるようになる人が多いです。最初から上手くできなくても、繰り返し練習することで舌の動きに慣れ、巻き舌の感覚を掴めるようになるでしょう。

続いては、巻き舌のやり方や簡単な手順、コツを紹介します。

巻き舌のやり方 簡単な手順

巻き舌の簡単な手順は以下の通りです。

  1. 「ドゥ」を発音する
  2. 「ドゥ」を短く早く繰り返して発音する
  3. 舌の位置を少し奥に移動させて音が変わる位置を探す
  4. そのまま勢いよく息を吐き出す

巻き舌で発声する際には、舌の位置や息の吐き出し方が重要です。まずは、正しい舌の位置や息を吐き出す際に最適な風量などを体で覚えましょう。特に、息を吐き出す際には喉を締めて、強く長く吐き出す必要があります。

最初は連続してできず、短い発声で途切れてしまう人も少なくありません。短い時間でも構いませんので、舌が震える感覚を掴むために練習を繰り返すことが大切です。

鏡を見ながら行うと、舌の位置や口の形を目で見て確認し再現するイメージが掴みやすくなるため効果的です。

巻き舌のやり方をマスターできる超簡単なコツ

巻き舌をマスターするための超簡単なコツとして、「ラ行」の発音を活用する方法もおすすめです。

「ら・り・る・れ・ろ」と繰り返し発声する練習は、巻き舌の感覚を掴むのに効果が期待できます。特に「ら」の発音を長く伸ばしたり、「ララララ」のように繰り返したりすることで、舌が上顎に当たる感覚や息の流れを感じやすくなります。

また、「トゥル・トゥラ」や「プル・プラ」といった単語を繰り返す練習もおすすめです。これらの言葉を発声する際に、舌先を上前歯の裏に軽く当て、喉を締めて強く息を流すことを意識しましょう。舌が振動する感覚が少しでも得られたら、それを維持するように練習を続けてみてください。

巻き舌で発声練習をする前の準備運動


巻き舌をする時には、舌や口回りの筋肉を柔軟に使うことが大切です。発声練習としてタングトリルを行う前や巻き舌を多用する楽曲を歌唱する前には、舌や口回りの筋肉をほぐして柔軟にしておくとよいでしょう。

準備運動は以下の手順で行うのがおすすめです。

  1. 顎骨の下(首の付け根あたりのリンパ節付近)を左右それぞれ親指で優しく押しながら解す
  2. 徐々に顎先まで移動させながらマッサージする(何度か繰り返す)
  3. 舌を大きく出したり戻したりする動きを繰り返す
  4. 口のなかで舌を大きく回す動きを繰り返す

準備運動をしっかりすることで、舌の筋肉が柔軟になり巻き舌での発声がしやすくなります。

巻き舌を上手く発声できるようになる練習方法


巻き舌の練習方法にはいくつか種類があります。さまざまな練習方法を試してみて、一番巻き舌で発声しやすかった練習方法を継続するとよいでしょう。

ラ行の発声で行う練習方法

巻き舌の練習をする際には、「ラ行」を発声する方法がおすすめです。

「ラ行」を息継ぎなしで連続して10回繰り返して発声しましょう。できる限り早く細かく発声します。続いては、母音が「ア」の言葉に「ラ」を続けて巻き舌で発声してみてください。「アrrrrrrrrr」「カrrrrrrrrr」「サrrrrrrrrr」と順に発声していきます。

最初はそれぞれの発声が短く途切れてしまっても問題ないので、1つの発声につき5~10秒を目安に練習するのがおすすめです。

巻き舌になりやすい「ラ行」を発声練習に用いることで、舌を巻く感覚や息を吐く量、強さなどが体感的に身につきます

巻き舌を使う曲を歌う練習

発声練習ばかりではモチベーションが上がりにくいという人は、巻き舌を使う曲を歌って実践的に練習するのもおすすめです。

イタリア語やフランス語など、巻き舌が多く使われる言語の歌唱に挑戦してみましょう。オペラの楽曲には巻き舌が頻繁に登場するため、練習に適しています。

外国の音楽だと歌詞を訳したり覚えたりするのに時間がかかるという人は、J-POPの中でも効果的に巻き舌を使っている楽曲を練習曲に選んでみてください。

  • 「唱」(歌:Ado)
  • 「本能」(歌:椎名林檎)
  • 「Flamingo」(歌:米津玄師)
  • 「勝手にシンドバッド」(歌:サザン・オールスターズ)

上記の楽曲は効果的に巻き舌が使われています。これらの楽曲を本人の歌う癖などに似せて歌うことで、実際の歌唱の中で巻き舌を使う感覚を養うことができるでしょう。

最初はゆっくりとしたテンポで練習し、徐々にスピードを上げていくのがおすすめです。

巻き舌ができない人の特徴


巻き舌ができない原因はいくつか考えられます。多くの場合、巻き舌ができない理由としてテクニックの問題が挙げられますが、なかには身体的な問題によってできない人もいます。現在、巻き舌ができない人は「自分が何故、巻き舌ができないのか」という理由を知ることで、改善策を見つけやすくなるでしょう。

巻き舌ができない人には以下の特徴が見られることが多いです。

  • 舌の筋肉が弱い
  • 舌の柔軟性が足りない
  • 舌をどこに当てればいいのか分からない
  • 喉を締められない
  • 腹式呼吸ができない

ここではそれぞれについて、詳しく解説していきましょう。

舌の筋肉が弱い

巻き舌には舌の先端部分(舌尖)を繊細に動かす筋力が必要です。

しかし日本語の発音では、舌先を細かく震わせる動きをほとんど行わないため、筋肉が発達していない人が多く見られます。

その結果、息を吹き込んでも舌が硬直し、振動せずに音が出ない状態になります。

つまり、日常的な発音習慣が「舌筋の未発達」を招いているのです。

舌の柔軟性が足りない

舌が十分にしなやかでないと、振動を生み出すための“しなり”が生まれません。

特に舌の裏にある筋(舌小帯)が短い人は、舌が上あごまで届きにくく、巻き舌が物理的に難しくなります。

このように舌の構造的制約や、筋肉の硬直が「動きの自由度」を奪っているケースも多いのです。

舌をどこに当てればいいのか分からない

巻き舌では、舌先を特定の位置に当てて息を当てる必要がありますが、その位置感覚を掴めない人が多くいます。

舌先の位置が少しでもズレると、舌に空気の流れがうまく当たらず、振動が起きません。

これは「舌の位置感覚」が未発達なことに加え、日本語では歯茎付近の発音が少ないことが原因と考えられます。

喉を締められない(息のコントロールが弱い)

巻き舌では、息を舌先に集中的に当てるために喉のコントロールが欠かせません。

しかし喉の開閉を意識して発声する習慣がない人は、息が分散してしまい、舌を振動させる圧力が作れません。

喉を締められない=息の通り道を制御できていない状態であり、結果的に音を出すための「推進力」が不足してしまうのです。

腹式呼吸ができない

巻き舌に必要なのは「安定した息の流れ」です。

胸式呼吸では浅い呼吸になりやすく、舌に必要な風圧をかけられません。

腹式呼吸ができない人は、息の量が不安定で、途中で空気が途切れてしまうため、舌の振動が維持できません。

つまり、発声全体を支える「呼吸の土台」が不安定だと、巻き舌も成立しにくいのです。

【できない原因別】巻き舌を上手に発声するための改善策


巻き舌ができない理由について理解したところで、原因別に、巻き舌を上手に発声するためのポイントを紹介します。

しっかりとコツを抑えて、上手にタングトリルを発声しましょう。

【舌の筋肉が弱い人】舌の筋肉を鍛えるコツ

巻き舌をするためには、舌の筋肉の強さと適切な力の入れ方が重要です。巻き舌ができない原因のひとつに、舌の筋肉が弱いことが挙げられます。日本語では巻き舌を使わないため、巻き舌に必要な舌の筋肉が十分に鍛えられていない人も珍しくありません。

特に、早口言葉が苦手な人や明瞭な発声を苦手としている人は、舌の筋肉が弱いケースが多く見られます

舌の筋肉を鍛えるには、舌を上下左右に動かしたり、舌先で口の中の壁を押したりするトレーニングが効果的です。舌は筋肉の塊なので、動かせば動かすほど鍛えられるでしょう。

その他にも、舌を前に突き出して数秒間キープし、舌を丸めて数秒間キープする運動も舌の筋力を鍛えるトレーニングとしておすすめです。鏡を見ながら舌を「の」の字に動かすなど、日常的に筋力を高めるトレーニングを取り入れましょう。

舌の鍛え方については下記で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
舌を鍛クリアな発音に!簡単トレーニングで変わる話し方と歌声

【舌の柔軟性が足りない人】舌を柔軟に動かすコツ

巻き舌をする際に舌や口元、さらには全身に力が入りすぎてしまう人もいます。力を入れすぎると舌が硬直してしまい、振動しにくくなります。巻き舌の基本は舌を柔軟に動かして振動させることなので、無理に舌を巻くのではなく、力を抜いて息の流れで舌が震える感覚を掴むことが大切です。

力を抜くことはもちろん、巻き舌で発声練習をする前に準備運動として顔や口元のマッサージを行って筋肉をほぐすことも、舌の力を抜くのに役立ちます。

【舌をどこに当てればいいのか分からない人】巻き舌をする時の舌の位置を覚えるコツ

巻き舌を成功させるには、口の形と舌の位置が重要です。巻き舌ができない場合、舌の位置が悪く、吐き出した息に舌先が当たっていないことが少なくありません。

舌先は上前歯の裏の根元あたりに舌の裏側が軽く触れているイメージを持つと良いでしょう。「ドゥ」と発音しながら徐々に舌を上あごの奥へと移動させていき、「Dr」という発音に変化した位置を目安に練習してみてください。適切な位置には個人差がありますが、この方法で舌の位置を探ると自分にあったポジションを見つけやすくなります。

舌全体が喉の方に下がりすぎていたり、舌全体が前歯に強く押し付けられていたりすると、息の流れが阻害され、舌が振動しにくくなります。

また、口を閉じすぎていたり、逆に大きく開けすぎていたりすることで巻き舌が上手くできないという人も多いです。口は少し開けて、リラックスした状態を保つのが良いでしょう。

舌の位置の重要性については下記でも詳しく解説していますので併せてご覧ください。
意外と大事な舌の位置−原因と対策

【喉を締められない人】呼吸法のコツ

巻き舌を行う上で、正しい呼吸法は欠かせません。安定した息を送り出すためには、腹式呼吸を意識することが重要です。腹式呼吸では、息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹をへこませます。これにより、深く安定した呼吸が可能となり、巻き舌に必要な息の量と勢いをコントロールしやすくなります。

また、呼気の量をコントロールする際に「喉を締める」「喉を開く」といったテクニックが必要です。巻き舌をする際には、息を強く長く吐き出す必要があるため、喉を締めて呼気の量を減らしながらも、強さを維持します。

喉が締まる感覚を覚えるためには以下の練習方法を実践してみてください。

  1. 「あー」と発声する
  2. 徐々に音程を低くしていく
  3. 「あ゛―」と声に濁りが出るまで下げる

低くガラガラした声が出ている状態が「喉が締まっている」という状態です。喉が締まる感覚が理解できると、歌唱に必要な「喉が開く」感覚も一緒に理解できるようになるでしょう。声帯をコントロールし、求める表現で歌唱するためにも欠かせないテクニックです。

ただし、声帯を閉じた状態で発声し続けると喉を痛めてしまう恐れもあるため、練習は負担を感じない程度に行い、感覚を掴むことを目的としてくださいね。

呼吸法については下記で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
歌いながら呼吸を意識できない人必見!自然と腹式呼吸が身につく練習のコツ [所沢のボイトレ教室]ナユタス所沢校

巻き舌の練習で得られるメリット


巻き舌を習得することには、様々なメリットがあります。自分の歌唱にどのような影響を与えるのか理解すると、練習に向き合うモチベーションをより高めることができるでしょう。

続いては、巻き舌の練習が歌唱や発声に与えるメリットを紹介します・

滑舌や表現力の向上

巻き舌の練習は、滑舌を良くし、言葉の表現力を高める上で非常に効果的です。巻き舌を行うことで、舌の筋肉が鍛えられ、舌の動きがより滑らかになります。これにより、言葉をはっきりと、そして正確に発音できるようになるでしょう。

人前で話す機会が多い方や、声を使う仕事をしている方にとって、滑舌が良いことは大きな強みとなります。

また、巻き舌は、言葉に豊かな感情やニュアンスを加える表現力を養うことにも繋がります。力強い「R」の音を使うことで、よりダイナミックな表現が可能となり、聞く人に与える印象を大きく変えることができます。言葉のひとつひとつをより魅力的に伝えたいと考える方にとって、巻き舌の習得や継続した練習は表現の幅を広げるための一歩となるでしょう。

歌唱力アップやウォーミングアップ効果

巻き舌を習得することは、歌唱力の向上に大きく貢献します。巻き舌を使った発声は、声に深みや響きを与え、表現の幅を広げることができます。力強さや情熱を表現したい楽曲において、巻き舌は非常に効果的なテクニックです。

また、巻き舌は歌う前のウォーミングアップとしても優れています。巻き舌を行うことで、舌や口周りの筋肉がほぐれ、発声がスムーズになるでしょう。舌や口回りの筋肉の柔軟性は、歌唱時の声の安定や音域の拡大にも繋がります。

巻き舌を活用したタングトリルは、ボイストレーニングの基礎としても取り入れられており、歌に必要な筋肉をリラックスさせ、呼気のコントロール能力を高める効果が期待できるエクササイズです。

楽器演奏や外国語の発音に役立つ

巻き舌のスキルは、歌唱だけでなく、楽器演奏や外国語の発音においても役立ちます。

管楽器、特にトランペットやリコーダーなどの演奏では、舌を使ったタンギングというテクニックが重要になりますが、巻き舌の練習で培われる舌の繊細なコントロール能力は、タンギングの精度向上に繋がる可能性があるでしょう。

また、イタリア語、フランス語、ロシア語、ドイツ語など、多くの言語で巻き舌を使った「R」の発音が存在します。これらの言語を習得したい、あるいはこれらの言語を用いた歌を歌いたい場合、巻き舌ができることは非常に有利です。巻き舌の発音を習得することで、よりネイティブに近い自然な発音が可能となるでしょう。

巻き舌の練習を続けるポイント


巻き舌の練習を続ける上で大切なのは、無理なく、そして楽しく取り組むことです。最初から完璧を目指す必要はありません。少しずつでも舌が振動する感覚が得られたら、自分を褒めてモチベーションを維持しましょう。

毎日数分で良いので、継続して練習することが上達への鍵となります。

上手くできない原因が舌の筋肉の弱さにあると感じたら、舌のストレッチや筋力トレーニングを取り入れてみるのも良いでしょう。また、全身に力が入ってしまう場合は、練習前にリラックスする時間を設けたり、深呼吸をしたりすることが効果的です。

練習に行き詰まりを感じたら、巻き舌ができる人にコツを聞いてみたり、オンラインの動画などを参考にしたりするのも良い方法です。最も重要なのは、諦めずに根気強く続けることです。継続することで、ある日突然できるようになることも少なくありません。

巻き舌ができない人がよくやる間違った練習法

巻き舌を練習しているのに、なかなか音が出ない。

それは「練習量の問題」ではなく、練習方法そのものが間違っている可能性があります。ここでは、できない人が陥りがちな誤ったアプローチを4つ紹介します。

  • 舌に力を入れすぎてしまう
  • 息を強く吹きすぎる
  • 喉の動きを意識していない
  • 舌の位置が間違っている

正しい方法を身につける前に、まずは“NG練習”をやめることが上達の第一歩です。

舌に力を入れすぎてしまう

多くの人が「舌を震わせる=筋力で動かす」と勘違いしています。実際には、舌の筋肉に過度な力を入れると舌が硬直し、息の流れを受け止められません。

巻き舌は筋力ではなく、脱力と空気の流れで舌が自然に振動する現象です。

「力むほど出なくなる」という逆効果を理解しておくことが大切です。

息を強く吹きすぎる

「勢いで音を出そう」と強く息を吹くのもよくある間違いです。息が強すぎると舌先が空気に弾かれてしまい、かえって振動が続きません。

必要なのは「細く一定の気流」で、息を「勢い」ではなく「流れ」としてコントロールする意識が重要です。

巻き舌は「強さ」よりも「安定」がカギになると覚えておきましょう。

喉の動きを意識していない

舌だけに集中してしまうと、喉の開き具合を忘れがちです。喉が開きすぎていると息が拡散し、舌先に風圧が届きません。

逆に、喉を締めすぎると息が詰まり、舌が動かなくなります。

喉を「軽く締める」感覚が、空気の流れを舌先に集めるポイントです。

発声と連動していない練習は、いくら続けても成果が出にくいでしょう。

舌の位置が間違っている

舌先を歯の裏や上あごの奥に当ててしまうと、息の流れがズレて振動が起きません。

正しい位置は上前歯のすぐ後ろの歯茎部分。

しかし多くの人はこの位置感覚をつかめていないため、音が出ない状態のまま練習を繰り返しています。

まずは「当てる位置」を体感的に理解しない限り、どれだけ時間をかけても上達しにくいのです。

巻き舌のよくある質問(FAQ)

巻き舌の練習を始めた人から多く寄せられる疑問をまとめました。

できない原因や上達のコツをもう一度整理しながら、よくある質問に答えていきます。

Q1:巻き舌ができるようになるまでどれくらい時間がかかりますか?

個人差がありますが、正しい舌の位置と息の流れを理解すれば、数日〜数週間で音が出る人が多いです。

ただし、舌の柔軟性や筋肉の使い方がまだ未発達な場合は、1〜2か月ほどかけて少しずつ習得するケースもあります。

焦らず「正しい感覚を掴む練習」を継続することが最短ルートです。

Q2:巻き舌は才能ですか?生まれつきできない人もいますか?

いいえ、巻き舌は才能ではありません。

確かに舌の長さや舌小帯の短さなど、わずかに影響する要素はありますが、正しい練習で誰でもできるようになります。

できる・できないの差は、筋肉の使い方や呼吸のコントロールの違いで生まれるもの。

後天的に改善できる能力です。

Q3:巻き舌の練習を毎日しても喉が痛くなるのはなぜ?

喉に痛みを感じる場合は、息を強く出しすぎているか、喉を締めすぎている可能性があります。

巻き舌の練習は筋トレではなく「発声訓練」に近いため、力を入れるほど逆効果です。

喉の負担を感じたときは、一度休憩を取り、軽いブレス練習やストレッチで喉をリセットしましょう。

Q4:巻き舌は歌や英語の発音にも役立ちますか?

はい、非常に役立ちます。

巻き舌をマスターすると舌先のコントロール力が上がり、滑舌・発音・声の響きがすべて改善されます。

特に英語のR音やスペイン語のRR発音では、舌先の使い方が巻き舌と共通しており、表現力の幅を広げる練習にもなります。

Q5:一人で練習してもできるようになりますか?

独学でも可能ですが、間違った舌の使い方を続けると上達が遅れることがあります。

特に舌の位置や喉の締め方は、自分では感覚的に掴みにくいため、ボイストレーナーなどの専門家に一度見てもらうのが理想です。

巻き舌を習得して発声や歌唱のレベルを上げよう

巻き舌は、舌を巻く特別な動きではなく、舌をリラックスさせて息で振動させる発声テクニックです。今回紹介した内容を元に、ぜひ巻き舌の練習をしてみてください。

巻き舌ができるようになると、滑舌や表現力の向上、歌唱力アップ、外国語の発音への応用など、様々なメリットが得られます。焦らず、楽しみながら、毎日少しずつ練習を続けることが、巻き舌習得への一番の近道と言えるでしょう。

NAYUTAS(ナユタス)では、発声や歌唱のレベルを上げたい人に効果的な個別指導を行っています。当スクール独自の厳しい採用基準をクリアした講師が、あなたの理想を叶えるために全力でサポートいたします。巻き舌の習得に限らず「こんな風に歌えるようになりたい」「美しい滑舌や発声ができるようになりたい」という希望をぜひ、お聞かせください。NAYUTASで理想の発声や歌声を手に入れましょう。