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声量を増やす5つのトレーニング方法!歌唱に必要なパワーのある声を手に入れよう

歌唱において声量は非常に重要な要素です。声量を増やすことで、歌に力強さや表現力が生まれ、聴き手に感動を与えられるようになります。

この記事では、声量を増やすための基本的なポイントや自宅でできる具体的なトレーニング方法、カラオケで声量をアップさせるためのヒントなどを紹介します。

  • 「もっと力強く歌いたい」
  • 「声を大きくしたい」
  • 「自宅で声量アップトレーニングをしたい」

という人は、ぜひ参考にしてみてください。

声量はどう決まる?医学と科学から見た仕組み

声量は単に「大きな声を出す力」ではなく、呼吸・声帯・共鳴・姿勢といった体の仕組みが複雑に関わっています。ここでは、専門的な見地も交えながら、声量が決まるメカニズムをわかりやすく解説します。

呼吸と横隔膜の力

声の大きさを左右する最初の要素は「呼吸」です。声は肺から送り出された空気が声帯を振動させることで生まれます。そのため、肺にどれだけ効率よく空気をため込み、押し出せるかが重要になります。

特に横隔膜をしっかり動かす「腹式呼吸」は声量アップに直結します。医学的には「声門下圧」と呼ばれる、声帯直下の空気圧が高まることで声が力強く響くのです。

正しい呼吸法を身につけることで、声に必要なエネルギーを安定的に供給できるようになります。

参考:日本医師会・深呼吸をしましょう

声帯の振動と閉じ方

声そのものを作るのは、喉にある「声帯」です。声帯は2枚の筋肉のひだで構成されており、息を送り込むと振動して音が生じます。ここで重要なのが声帯の閉じ方。しっかり閉じずに隙間があると息漏れが起こり、声が弱々しくなります。

医学的には「声帯閉鎖不全」と呼ばれ、発声障害の原因にもなります。逆に声帯が適度に閉じ、効率よく振動すると、少ない力でも十分に大きな声を出すことが可能です。

つまり、声量の差は肺活量だけでなく、声帯のコントロール力によっても大きく変わるのです。

参考:慶應義塾大学病院 KOMPAS・声帯の病気

共鳴腔での響き

声量を決定づけるのは、声帯が作った音を「いかに大きく聞かせるか」という点です。実際には、声帯が発する音は小さなものですが、口腔・鼻腔・咽頭といった空間(共鳴腔)が天然のスピーカーの役割を果たし、音を増幅させています。特に口をしっかり開けて声を前に響かせると、同じ声量でも相手には大きく、クリアに聞こえるのです。歌手や声優が「響きを意識せよ」と指導されるのはこのため。科学的にも、共鳴腔の使い方次第でデシベル値が大きく変わることが確認されています。響きを活かすことが、実用的な声量アップの鍵となります。

共鳴腔については下記でより詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

鼻腔共鳴とは?「歌への影響」から「やり方」まで解説!

姿勢と筋肉のサポート

最後に見落とされがちなのが「姿勢と筋肉」です。背中が丸まった姿勢では肺が十分に膨らまず、横隔膜の可動も制限されます。その結果、呼吸が浅くなり、声量も弱くなってしまいます。

逆に背筋を伸ばし、胸を開くことで空気の出入りがスムーズになり、自然と声が力強く響くのです。

また、腹筋や背筋、首回りの筋肉は声を安定させるための土台。実際にプロのアナウンサーや歌手は、発声練習と同じくらい体幹トレーニングを重要視しています。体を支える筋肉と姿勢を整えることは、声量アップに欠かせない基本条件と言えるでしょう。

姿勢の重要性については下記で詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。

歌は姿勢で決まる!1分セルフチェックで声量UPする正しい立ち方ガイド [所沢のボイトレ教室]ナユタス所沢校

声量を増やすための基本ポイント


声量を増やすためには、単に大きな声を出すだけでなく、発声のメカニズムを理解することが重要です。最初に、発声の基礎や声量を上げるために必要な要素についての理解を深めましょう。

発声の基礎を学ぶ

大きい声や小さい声、細い声、太い声など、声を効果的に使うためには発声のメカニズムを学ぶことが不可欠です。

声は、肺から送られてきた呼気によって声帯が振動することで起こります。この時、送られてきた呼気の量や声帯の開き方、体内での音の響き方によって、さまざまな声になります。これが発声の基礎的なメカニズムです。

発声練習は、声帯や呼吸筋を強化し、声の安定性を高めることを目的としています。正しい発声方法を習得することで、声質の向上、滑舌の改善、長時間歌っても疲れにくくなる効果などが期待できます。

また、発声は身体の筋肉の質や動きに大きく影響されるため、筋力をつけたり、血流を良くしたり、筋肉を動かしやすい状態にしたりすることで、大きく太い声を出せるようになります。発声練習は歌唱力を上げるための基礎であり、ボイストレーニングにおいて全ての基盤と言えるでしょう。

呼吸法と発声の関係

発声において呼吸は非常に重要であり、声量を増やすためには適切な呼吸法を身につける必要があります。

発声に適した呼吸方法として広く知られているのが腹式呼吸です。腹式呼吸は、声を安定させる際に有効な呼吸法といえるでしょう。腹式呼吸を習得することで、喉に負担をかけずに効率よく息を使い、声量を増やすことが可能です。

複式呼吸を行う際には、息を吸う時にお腹を膨らませ、吐く時にお腹をへこませることを意識します。これを繰り返すことで、横隔膜を鍛え、より多くの空気を取り込めるようになるでしょう。腹式呼吸を日常生活でも意識することで、自然と張りのある声が出せるようになります。

発声に用いる主な筋肉

声量を増やすためには、発声に必要な筋肉を鍛えることも重要です。声量を左右する筋肉の中でも特に重要なのが腹筋と横隔膜です。横隔膜の働きによって息を吸い込み、腹筋の力によって吐き出す力が発生するため、これらの筋肉を鍛えることで、息の圧力を高め、声帯の振動を強くすることができます。

ちなみに、発声でよく聞かれる「声帯」という器官ですが、これも筋肉で構成されています。声帯におけるメインの筋肉である声帯筋は緊張と弛緩によって震わせ方を変え、さまざまな声を発するのが特徴です。

姿勢が発声に与える影響

声量を増やすためには、正しい姿勢を意識することが重要です。姿勢が悪いと、呼吸が浅くなったり、声帯に負担がかかったりして、声量が出にくくなることがあります。

特に、猫背になったり、顎が上がったりする姿勢は、発声にとって好ましくありません。発声する際には、背筋を伸ばし、顎を軽く引いた状態を保つように心がけましょう。

正しい姿勢を保つことで、体幹が安定し、腹式呼吸も行いやすくなるため、より効率的に声量を増やすことができます。

自宅で簡単にできる声量を上げる5つの練習法


声量を上げるには、日々の練習が欠かせません。ここでは、自宅で簡単に取り組める効果的な練習方法を5つご紹介します。

トレーニング方法その1.腹式呼吸トレーニング

腹式呼吸は声量をあげるための基本となる呼吸法です。

仰向けになり、お腹に手を置いて呼吸をします。息を吸うときにお腹が膨らみ、息を吐くときに凹むのを感じながらゆっくりと呼吸しましょう。これを繰り返すことで、横隔膜と腹筋を使った呼吸の感覚を掴むことができます。

慣れてきたら、立った状態でも腹式呼吸を意識して発声練習を行いましょう。意識的にお腹を動かすことで、腹筋や横隔膜が鍛えられ肺活量が上がり、発声の際に大量の呼気を送り出すことができるようになります。

トレーニング方法その2.ロングトーントレーニング

ロングトーントレーニングとは、一定の音程で、できるだけ長く声を出し続ける練習です。

安定したロングトーンを出すためには、息をゆっくりと一定の量で吐き続けることが重要になります。最初は短い時間から始め、徐々に声を伸ばす時間を長くしていきましょう。

息が続かない場合は、まず声を出さずに息だけを長く吐くロングブレスの練習から始めるのもおすすめです。ロングトーントレーニングを継続して行うことで、呼気を効率良く吐き出せるようになり、長く音を伸ばす際にも声がぶれにくくなります。

当スクールに通う生徒さんのなかにも、声量アップを意識し過ぎてしまい呼気コントロールが疎かになってしまうケースが度々見られます。声量を上げるトレーニングと平行して安定した歌声を保つためのトレーニングを行うことで、歌唱力を効率的に向上させることができるでしょう。

トレーニングその3.リップロールトレーニング

リップロールとは、唇を軽く閉じて息を吐き、唇をブルブルと振動させる簡単かつ効果的な発声トレーニングです。プロの歌手もウォーミングアップに取り入れており、声帯周辺の筋肉の柔軟性を向上させたり、安定した呼吸で声を出す感覚を掴んだりしやすくなります。

唇を安定して振動させるためには、一定量の息を吐き続ける必要があるため、自然と呼吸のコントロール力を養うことができるでしょう。

緊張して硬くなった声帯を強い呼気で無理に振動させると、喉を痛めてしまう原因にもなります。大きな声に対応するためには、声帯も大量の呼気に対応できるよう柔軟にしておく必要があるでしょう。歌唱中に怪我をしないための準備運動だと思って、声量アップトレーニングの前には必ず行うようにするのがおすすめです。

トレーニングその4.お風呂で発声練習

お風呂は声量を増やすトレーニングに適した場所のひとつです。浴室は湿度が高く、声帯への負担を軽減しながら発声練習に取り組めます。また、音が響きやすい空間なので、自分の声がどのように響くかを確認しながら練習できます。

温度が高いため血流が良くなり筋肉が動きやすくなるほか、プライベートな空間であるため周りの目を気にせずリラックスできるのもお風呂で練習するメリットと言えるでしょう。

ちなみに浴室で声が響く理由として湿度の高さが挙げられます。湿度が高いと音は響きやすい傾向にあるため、換気扇を止めた時と回した時では音の響き方が変わります。自分の声が響き方によってどう変わるのかチェックしたい時にも、お風呂で練習すると分かりやすいでしょう。

トレーニングその5.表情筋を動かす練習

表情筋をしっかりと動かすことも、声量を増やす上で重要な練習です。最終的に声の大きさをコントロールするのは口唇の開き具合です。大きな声を出す時には口が大きく開き、小さな声を出す際には小さく開きます。

いくら声量を上げるために肺活量を上げて、声帯の動きをコントロールしても、表情筋が上手く動かなければ大きな声を出す妨げになってしまうでしょう。

「あ」「い」「う」「え」「お」と、それぞれの母音をはっきりと発音するように口を大きく動かす練習を繰り返しましょう。声を出さずに、口の形だけを意識して行う練習も効果的です。表情筋を意識的に動かすことで、口の中の空間が広がり、声が響きやすくなる効果も期待できます。

カラオケで声量をあげるには


カラオケで声量を上げるためには、単にマイクのボリュームを上げるのではなく、以下のポイントを押さえることが大切です。

  • 声を響かせる
  • 喉を開く
  • 発声に適した姿勢で歌う
  • 自信を持って歌う

声を響かせるためには、口の中に空間を作り、あくびをする時のように喉を開くことを意識しましょう。姿勢を正し、腹式呼吸でしっかりと息をコントロールすることも声量アップに繋がります。

また、自信を持って歌うことも大切です。声が小さいと感じる原因の一つに、自信のなさが挙げられます。日頃の練習で声量を増やし、自信をつけることで、カラオケでも自然と声が出せるようになるでしょう。

カラオケで毎回マイクの音量を上げてしまうという人のなかには「確かに声は大きく聞こえるけど何か違う」と違和感を覚える人も少なくありません。それは、声自体のパワーや響きが足りないことが原因かもしれません。

カラオケを上手に歌いたいのであれば、今回紹介したポイントを意識して、自分自身の声量をアップさせて歌ってみてください。

逆にやっちゃいけないこと

カラオケは声量アップの練習に適した場所ですが、やり方を間違えると喉を傷めたり逆効果になることもあります。

とくに避けたいのは、力任せに大声を張り上げることや、マイクを口に近づけすぎて声量を錯覚することです。さらに、休憩や水分補給を怠って長時間歌い続けるのもNG。乾燥した室内では声帯がダメージを受けやすく、声枯れの原因になります。

また、高音ばかりを無理に出そうとするのも喉への負担が大きく、効率的な発声練習にはなりません。声量を伸ばすには「喉を守る」ことも大切であり、無理のない正しい方法を意識することが上達への近道です。

声量を増やすトレーニングを行う際の注意点


声量を増やすためのトレーニングは、正しい方法で行わないと喉を痛める原因にもなります。トレーニングを行う際には以下の注意点に気を付けましょう。

練習前にはセルフチェックをする

声量を増やす練習を始める前に、自分の声や喉の状態をチェックすることが重要です。

喉に痛みや違和感がある場合は、無理に発声練習を行わないようにしましょう。また、体が疲れているときや体調が優れないときも、無理なトレーニングは避けるべきです。

発声は多くのスポーツと同様に人間の体を使って行うものです。いくらスキルを練習しても、ベースとなる体に疲労や不調があっては効率良く習得できず、返って怪我などの思わぬ事故を招いてしまうリスクもあります。

喉に負担をかけない

声量を増やすために無理に大きな声を出そうとすると、喉や過剰な負担がかかり、声帯を傷つけてしまう可能性があります。喉に力が入った状態での発声は、声が枯れやすくなったり、声の大きさにムラができたりすることにもつながり、歌唱において望ましくありません。

リラックスした状態で、腹式呼吸を意識し、息の流れに乗せて声を出す感覚を掴むことが大切です。また、トレーニング中に喉の痛みや違和感があったら、すぐに練習を中断し、休憩を取りましょう。適切な水分補給も忘れずに行い、喉の乾燥を防ぐように心がけてください。

歌唱において喉に痛みが生じるケースとして2つのパターンがあります。1つは歌っている最中や歌い終わった直後に生じる痛み、もう1つは歌った翌日などに生じる痛みです。歌った翌日などに痛みが生じる場合、筋肉を使った事による筋肉痛の可能性が高いです。このケースでは、筋肉が修復される際により強くなっていくため特に危険視する必要はないでしょう。

ただし、歌っている最中や歌い終わった直後に痛みが出る場合、歌い方などに問題があり、喉に負担がかかっている可能性が高いです。練習を中断するだけでなく、歌い方の改善なども視野に入れて対処する必要があります。

録音して状態を確認する

声量を上げる練習の効果を確認するためには、自分の声を録音して客観的に聴いてみることが非常に有効です。録音することで、自分の声がどの程度の声量で出ているか、響きはどうか、不自然な力みはないかなどを判断できます。

また、練習の前後で録音を比較することで、声量の変化や改善点を具体的に把握でき、今後の練習の方向性を定める上で役立つのでおすすめです。定期的に録音を行うことで、自身の成長を実感し、モチベーションを維持することにもつながるでしょう。

声量が下がる3つの原因と対策


声量が小さい、あるいは声量が下がってしまったと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。それぞれの原因を知り、適切な対策を行うことで、改善できる可能性があります。

【原因1】口の開き方

声量が下がる原因の一つに、口の開き方が小さいことが挙げられます。声を出す際に口を十分に開けていないと、声がこもってしまい、声量が小さく聞こえてしまいます。

改善するには、意識的に口を大きく開けて発声する練習を取り入れるとよいでしょう。母音をはっきりと発音する練習や、鏡を見ながら口の開き方を確認するのも効果的です。

【原因2】喉の使い方

不適切な喉の使い方も声量が下がる原因となります。声を出す際に喉に余計な力が入ってしまうと、声帯がスムーズに振動できず、声量が抑えられます。また、喉を痛める原因にもなりかねません。

改善するには、喉をリラックスさせた状態で発声することが大切です。あくびをする時のように喉を開くことを意識したり、ハミング練習で喉の響きを感じたりすることで、喉への負担を減らしながら声量を増やす練習ができます。

【原因3】背中の姿勢

声量が下がる原因として背中の姿勢の悪さも関係しています。

猫背など、背中が丸まった姿勢で発声すると、肺が圧迫されてしまい、十分に息を吸い込むことが難しくなります。声を出すための息の量が不足し、声量が小さくなってしまうことがあるでしょう。

日頃から背筋を伸ばし、正しい姿勢を意識することで、呼吸が深くなり、発声に必要な息をしっかりと供給できるようになります。

また、姿勢を美しく保つためには背筋をはじめとした筋力が必要です。日頃から姿勢の美しさを意識することで、必要な筋肉が鍛えられ、歌唱時に意識しなくても美しい姿勢を保てるようになるでしょう。意識しなくても姿勢を保てるようになれば、歌唱に集中でき、より豊かな表現をしやすくなります。

発声・声量強化に役立つトレーニングを継続させるコツ


発声や声量強化のためのトレーニングは、継続することで効果を実感できます。ここでは、トレーニングを楽しく続け、習慣にするためのコツを紹介します。

習慣化する

声量を増やすトレーニングを効果的に行うためには、習慣化し継続することが大切です。

決まった時間に練習する、お風呂に入りながら行う、通勤・通学中に意識するなど、日常生活の中にトレーニングを組み込む工夫をしましょう。

短時間でも良いので、毎日続けることが重要です。習慣になれば、意識せずとも自然とトレーニングに取り組めるようになり、声量アップへの近道となります。

目標設定でモチベーションを保つ

声量を増やすトレーニングを継続する際は、具体的な目標を設定することがモチベーション維持に繋がります。例えば、「〇ヶ月後までにこの曲を歌えるようになる」「カラオケで〇点以上を目指す」など、達成可能かつ具体的な目標を立てましょう。

目標があることで、練習の意義を感じやすくなり、困難にぶつかっても乗り越える力になります。目標達成の際には、達成感によって自己肯定感の向上も期待できるでしょう。目標はスモールステップで達成できる小さなハードルをいくつも用意することが重要です。

自己肯定感が向上すれば、自信を持って大きな声で歌えるようになる効果も期待できます。

成長を実感できる工夫をする

声量を増やす練習のモチベーションを保つためには、自身の成長を実感できる工夫を取り入れることが有効です。

定期的に声を録音して聞き返したり、以前は歌えなかった曲に挑戦してみたりすることで、声量の変化や表現力の向上を具体的に感じることができます。また、ボイストレーニングの記録をつけるのも良い方法です。練習内容や気づきを記録することで、自身の進歩を可視化でき、継続への励みになります。

その他にも、カラオケアプリなどを使って得点ランキングなどに挑戦するのもよいでしょう。順位が上がることがモチベーションに繋がり、トレーニングを楽しめるようになる効果も期待できます。

声量が伸びない人の落とし穴!やりがちなNG習慣

「声量を上げたい」と練習をしていても、実は逆効果になるクセを続けてしまっている人は少なくありません。とくに多いのは、喉に余計な力を入れること、呼吸が浅いこと、そして姿勢が崩れていること。この3つは声の響きを妨げる大きな落とし穴です。ここでは、それぞれのNG習慣について詳しく解説します。

喉に力を入れてしまうと逆効果!

大きな声を出そうと意識するあまり、喉に力を入れてしまう人は多いですが、これは声量アップの大きな妨げになります。

喉を締め付けるようにして声を出すと、声帯の自由な振動が妨げられ、かえって声がかすれたり、長時間声を出せなくなったりします。また、過度な力みは喉の炎症や声帯結節といったトラブルにつながるリスクも。

声は筋肉や呼吸のバランスで自然に響くもので、喉そのものに力を入れる必要はありません。むしろリラックスして発声することで、声帯が効率的に振動し、結果的に大きな声を出せるようになります。

浅い呼吸は声のエネルギー不足に

声は空気の流れによって作られるため、呼吸が浅いと十分な声量を得ることはできません。胸だけを使った浅い呼吸では肺に取り込める空気が少なく、声を支えるエネルギー源が不足してしまいます。

その結果、声が弱々しく、すぐに息切れする原因になります。正しい声量を出すには、横隔膜をしっかり動かす腹式呼吸が欠かせません。深く息を吸って吐くことを意識するだけでも、声の響きや持続力は格段に変わります。

呼吸が声量の土台であることを理解し、練習の際には「まず息から」と意識することが大切です。

呼吸については下記で詳しく取り上げていますので併せてご覧ください。

【呼吸について~腹式呼吸と胸式呼吸~】

猫背は声の通り道をふさぐ最大の敵

声量不足の原因として意外と多いのが「姿勢の悪さ」です。特に猫背の状態では胸が圧迫され、肺が十分に膨らまず、呼吸そのものが浅くなってしまいます。

さらに、喉や気道が狭くなるため、声の通り道がふさがれ、声がこもって小さく聞こえるのです。反対に、背筋を伸ばして胸を開くと、肺が大きく広がり、空気をスムーズに出し入れできます。

その結果、声帯や共鳴腔にしっかり空気が行き渡り、自然と声量が増します。発声練習をするときはもちろん、日常生活でも姿勢を整える意識を持つことが、声量アップの大きな第一歩です。

猫背では声が出にくい理由については下記でより詳しく解説していますので、気になる方はこちらも併せてご覧ください。

https://nayutas.net/school/motoyama/blog/53543/

声量を増やして理想の声に近付こう

声量を上げるには、姿勢や呼気をコントロールするテクニックおよび筋力が必要なことが分かりましたね。これらのテクニックや筋力は日々のトレーニングで養うことができます。

ぜひ、理想の歌声に近付けるよう声量アップトレーニングに取り組んでみてください。

NAYUTAS(ナユタス)は、子どもから大人まで誰でも通えるミュージックスクールです。個人レッスン制なので、自分の苦手な分野を集中的に学ぶことができるため、効率良くボイストレーニングをしたい人におすすめです。声量を上げたいと悩んでいる人や声量を上げたら声の安定性を失ってしまって困っている人は、ぜひNAYUTASをチェックしてみてください。

声量アップに関するよくある質問

声量を上げたいと思っても「練習すれば誰でも出せるの?」「喉を痛めない?」など、疑問や不安を抱える人は多いものです。ここでは、声量に関して特に多い質問をまとめました。

Q1:声量は生まれつきで決まるものですか?

A:声の響き方や声帯の形には個人差がありますが、声量そのものは練習次第で改善できます。呼吸法や姿勢を見直すことで、もともと小さな声の人でも大きく聞こえる声を出せるようになります。

Q2:声量を上げると喉を痛めませんか?

A:正しい方法であれば喉を痛める心配はありません。逆に、喉に力を入れすぎたり無理に大声を出したりすると声帯に負担がかかります。腹式呼吸や共鳴を活かす練習を意識することが大切です。

Q3:短期間で声量を上げる方法はありますか?

A:即効性があるのは「姿勢を正す」「しっかり息を吸う」といった基本動作です。ただし、本当の意味で持続的に声量を上げるには、日々のトレーニングが欠かせません。

Q4:声量がある=歌が上手い、ということですか?

A:声量と歌の上手さは別物です。声量があると迫力や表現力は増しますが、音程やリズム感も同じくらい大切です。声量アップは歌を支える大事な要素のひとつと考えると良いでしょう。

Q5:独学でも声量を上げられますか?

A:基本的な練習で一定の改善は可能ですが、自己流では喉に負担をかけるリスクもあります。短期間で効率よく改善したい場合は、プロの指導を受けるのがおすすめです。