こんにちは。ボイストレーニング&ダンスNAYUTAS宇都宮校です。
「カラオケの1曲目だけ声が出にくい」
「いきなり高音を歌うと喉に力が入る」
「歌う前は何をすればいいの?」
そんなときに確認したいのが、歌う前のウォームアップです。
ただし、ウォームアップは「高音を出せるようにする魔法の準備」ではありません。
最初から大きな声や高い音を狙うのではなく、その日の声の状態を確認し、無理なく歌い始めるための準備と考える方が分かりやすいでしょう。
今回は、自宅やカラオケ前でも試しやすい3つの準備を紹介します。
ウォームアップの目的は「最高音を出すこと」ではありません
音楽療法士を対象とした羽石英里ほかの予備研究では、身体のウォームアップ、ボーカルウォームアップ、声の衛生指導、自宅学習などを組み合わせた発声訓練プログラムが行われています。
対象は、声のかすれなどを訴える音楽療法士2名です。
また、職業歌手の音声障害に対する音声治療の総説でも、声の衛生指導としてvocal warm-up・cool-downが挙げられています。
ただし、羽石ほかの研究はウォームアップだけの効果を調べた研究ではなく、声の衛生指導や自宅学習を含むプログラム全体を評価した予備研究です。
そのため、一般の方に「この順番でやれば必ず声が出る」と当てはめることはできません。
ウォームアップでは、
・今日の声は出しやすいか
・喉や首に力が入っていないか
・楽な音域で声が続くか
を確認することを優先しましょう。
歌う前にできる3つのウォームアップ
1. まず体の余計な力を確認する
歌う前に、肩や首、あご周りに強い力が入っていないか確認します。
肩を軽く動かしたり、姿勢を整えたりしながら、
「大きく吸おう」「胸を張ろう」と力みすぎていないか
を見てください。
羽石ほかの発声訓練プログラムでも、ボーカルウォームアップの前に身体のウォームアップが組み込まれています。
ただし、ストレッチそのものが直接高音を出すわけではありません。
あくまで発声前の状態確認として使います。
2. 楽な高さで小さく声を出す
次に、普段の話し声に近い楽な高さから始めます。
例えば、
・ハミング
・リップロール
・小さめの「ウー」
などです。
最初からサビの最高音や大きな声を出す必要はありません。
「今日は少し声が重い」
「この高さなら楽に出る」
という感覚を確認します。
ストローを使ったSOVTについて詳しく知りたい方はこちらです。
水を入れたペットボトルとストローを使うWater Resistance発声はこちらです。
ペットボトルを使った発声練習とは?水とストローを使う方法と注意点
どちらも全員に必要な練習ではありません。現在の声の状態に合わせて選びます。
3. 少しずつ音域を広げる
楽な高さで声が出たら、低い音から少し高い音へゆっくり移動します。
「ウー」や「ホー」など出しやすい音で、
低い音 → 少し高い音 → 低い音
と滑らせてみてください。
途中で喉や首に力が増える場合は、それ以上高くしません。
高音を出す前のウォームアップで、限界の高さを確認する必要はありません。
高音になると力みやすい方はこちらの記事も参考にしてください。
ウォームアップで避けたいこと
いきなり大声で歌う
「声を起こそう」として最初から強く歌う必要はありません。
まずは楽な音量で状態を確認します。
最高音を何度も出す
ウォームアップは最高音チャレンジではありません。
高音練習は、声の状態を確認してから別の課題として行いましょう。
声がれや痛みを「ウォームアップ不足」と考える
声がかすれている、喉が痛い、普段より声が出しにくい場合に、
「もっと発声すれば戻る」
と考えて無理に続けないでください。
症状が続く場合は、ボイストレーニングだけで判断せず耳鼻咽喉科への相談を検討してください。
何分ウォームアップすればいい?
「必ず5分」「必ず10分」と全員に共通する時間はありません。
その日の声の状態や、その後に歌う内容によっても変わります。
重要なのは、
楽な声が出る → 少し音域を動かす → 問題なければ曲へ進む
という流れです。
練習時間全体の考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。
時間がほとんど取れない日は、こちらの5分メニューも参考にしてください。
ウォームアップ後は実際の曲で確認する
発声練習で声が出ても、実際の曲では状況が変わります。
歌詞、母音、音域、リズムなどが加わるためです。
最初の1曲は、
・無理のないキー
・極端な高音が少ない
・普段から歌い慣れている
曲から始める方法もあります。
ロングトーンが不安定な方はこちらの記事も参考にしてください。
ロングトーンが安定しない原因は?音程・音量・息を整える3つの練習
歌い終わった後はクールダウンも考える
歌った後も、いきなり大きな声を出し続けるのではなく、楽な高さへ戻して終える方法があります。
例えば、
・小さめのハミング
・楽な高さの「ウー」
・無理のない音域で短く声を出す
などです。
前川圭子氏の職業歌手に対する音声治療の総説でも、声の衛生指導の一つとしてvocal warm-upとcool-downの両方が挙げられています。
ただし、クールダウンにも「必ず○分」という一律の時間基準があるわけではありません。
歌った後の声の状態を確認しながら、無理なく終えることを優先しましょう。

NAYUTAS宇都宮校では、その日の声から確認します
同じ人でも、毎回まったく同じ声の状態とは限りません。
NAYUTAS宇都宮校では完全マンツーマンで、
・今日の声が出しやすいか
・高音で力んでいないか
・地声と裏声の切り替えはどうか
・その日に歌う曲の音域が合っているか
などを確認しながらレッスン内容を調整します。
「毎回決まったウォームアップをこなす」ことより、今の声に必要な準備を選ぶことを大切にしています。
よくある質問
Q. 歌う前は必ずウォームアップが必要ですか?
全員に同じメニューが必須とは言えません。ただし、いきなり高音や大きな声を出すより、楽な発声からその日の状態を確認する方法があります。
Q. ウォームアップは何分すればいいですか?
一律の時間はありません。楽な高さで無理なく声が出ることを確認し、その日の状態に応じて進めてください。
Q. ハミングとリップロールは両方やる必要がありますか?
両方必須ではありません。無理なくできる方法を選びましょう。
Q. ウォームアップで高音まで出した方がいいですか?
限界の高音まで出す必要はありません。まずは楽な音域から少しずつ広げます。
Q. 喉が痛い日はウォームアップすれば歌えますか?
痛みがある状態で無理に発声することはおすすめしません。症状が続く場合は耳鼻咽喉科へ相談してください。
参考文献
参考:羽石英里、齋藤毅、城本修、エリクソン ドナ、岸本宏子、八尋久仁代「音楽療法士を対象とした発声訓練プログラム―開発に向けた予備的研究―」『音声言語医学』54巻3号、2013年、186-196頁
https://doi.org/10.5112/jjlp.54.186
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/54/3/54_186/_article/-char/ja
最終アクセス:2026年9月21日
参考:前川圭子「職業歌手の音声障害に対する音声治療」『音声言語医学』63巻4号、2022年、241-247頁
https://doi.org/10.5112/jjlp.63.241
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/63/4/63_241/_article/-char/ja/
最終アクセス:2026年9月21日
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